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パクチーの栄養素と効果効能は?実は健康や美容に嬉しい成分が豊富!

パクチーの栄養素と効果効能は?実は健康や美容に嬉しい成分が豊富!

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 岩切千晃(いわきりちあき)

鉛筆アイコン 2021年10月 4日

エスニック料理に欠かせないパクチーは、独特の風味が特徴だ。香り付けとしての役割が強いが、栄養面はあまり知られていない。本記事では、パクチーに含まれる栄養成分や各栄養素の作用について解説していく。効果的な食べ方をチェックして、健康や美容に役立てよう。

  

1. 栄養ないは嘘?パクチーの栄養素

パクチーはタイ語の呼び名で、英名は「コリアンダー」という。本来はいずれも同じセリ科の野菜を指すが、日本ではパクチーを乾燥させて作ったスパイスの名称をコリアンダーとしている。生の葉野菜であるパクチーに豊富に含まれる栄養についてみていこう。

パクチーの栄養成分表

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※1)によると、パクチー100gあたりに含まれる主要な栄養素の値は次の通りである。
  • たんぱく質:1.4g
  • 脂質:0.4g
  • 炭水化物:4.6g(うち食物繊維:4.2g)
主なミネラル類
  • カリウム:590mg
  • カルシウム:84mg
  • マグネシウム:16mg
  • リン:59mg
  • 鉄:1.4mg
主なビタミン類
  • β‐カロテン:1700μg
  • ビタミンE:2.1mg
  • ビタミンC:40mg
  • 葉酸:69μg

パクチーの栄養素:ビタミンC

パクチーにはバジルの2.5倍のビタミンCが含まれている(※1、2)。ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンの合成に欠かせない栄養素だ。また抗酸化作用もあり、ビタミンEとともに活性酸素を消去し細胞を保護する働きをもつ。(※3)

パクチーの栄養素:ビタミンE

ビタミンEにも抗酸化作用があり、酸化障害を防ぐために役立つ。ビタミンCと異なり脂溶性ビタミンだが、通常の食品からの摂取で過剰症を起こすことはない。(※4)
パクチーのビタミンE含有量はバジル(100gあたり3.9mg、※2)の半量ほどだが、クレソン(100gあたり1.6mg、※5)よりは多い。

パクチーの栄養素:β-カロテン

β‐カロテンを摂取すると、体内でビタミンA(※6)に変わる。β-カロテンはカロテノイドの一種で、抗酸化物質として働く。活性酸素の発生や働きを抑制するため、過酸化脂質により引き起こされる障害などを防ぐ。(※7)
パクチー100gあたりには1700μg含まれるが(※1)、ハーブ類では、バジル(6300μg、※2)やクレソン(2700μg、※5)のほうが含有量が多い。

パクチーの栄養素:食物繊維

パクチーには100gあたり4.6gの炭水化物が含まれるが、そのうち4.2gとほとんどを食物繊維が占める(※1)。食物繊維は人の消化酵素で消化されないため、腸まで運ばれ便通を整える働きをする。便秘を防ぐほか、余剰な脂質や糖、ナトリウムを吸着し体外に排出する役割ももつ。(※8)
バジル(4.0g、※2)、クレソン(2.5g、※5)と比較すると、パクチーの食物繊維含有量が最も多い。

パクチーの栄養素:香り成分

パクチーの独特な香りは、リナロール、ゲラニオールなどの精油成分によるものだ。これらの成分には、胃腸の働きを助け、食欲不振を防ぐ効果などがある。(※9)

パクチーのその他の栄養

パクチーにはミネラル類も多く含まれている。とくに含有量の多いカリウム(※10)は、主に細胞内液の浸透圧の調整を行う栄養素だ。神経の興奮性や筋肉の収縮にも関わり、ナトリウムの排出を促す役割もある。また、胎児の健全な成長に欠かせない葉酸(※11)や、ビタミンB群も含まれる(※1)。

2. どんな作用がある?パクチーの栄養素の効果効能

パクチーには、ビタミンやミネラル、食物繊維などさまざまな栄養素が含まれる。カロリーも100gあたり18kcal(※1)と低く、美容や健康に役立つ食材としても注目されている。パクチーの栄養素による主な効果について、まとめてみていこう。

パクチーの美容への効果

  • アンチエイジング:ビタミンC、E、β-カロテンによる抗酸化作用で細胞を若々しく保つため、更年期の女性にも向く(※3、4、7)
  • 美肌を保つ:ビタミンCには皮膚を健やかに保つ働きがある(※3)
  • ダイエット向き:カロリーや脂質、糖質が低く、食物繊維による便秘予防効果もある(※1、8)

パクチーの健康への効果

  • 疾病などの予防:抗酸化物質の摂取は、美容に役立つだけでなく健康維持にも効果があるといわれる(※3、4、7)
  • 目の健康を保つ:β‐カロテンが体内で変化したビタミンAには、網膜細胞を保護する働きがある(※6)
  • 有害物質の排出(デトックス効果):便秘予防効果のある食物繊維や抗酸化物質の作用により、老廃物や過酸化脂質など人体に有害な物質が蓄積されにくくなる(※3、4、7、8)
  • 胎児の健康:妊婦に積極的な摂取が推奨される葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害を予防する働きをもつ(※11)

3. パクチーの栄養素の効果的な摂取方法

パクチーに含まれる栄養素を効果的に摂取するには、食べ方も重要である。そこで、パクチーの適切な調理方法を紹介する。また、栄養面だけでなく美味しく食べる方法についても併せてみていこう。

加熱せず生のまま食べる

パクチーには、さまざまな種類のビタミンが含まれるが、加熱調理により減少してしまう。栄養をまるごと摂取するには、サラダなど生で食べたほうがよい。加熱する場合は、なるべく短時間で調理しよう。炒めるよりも茹でたほうが、β‐カロテンなど脂溶性ビタミンの残存率は高い。また、水溶性ビタミンは茹で汁に溶け出すが、スープにすれば流出した栄養も摂取できる。(※12)

葉だけでなく茎も使う

パクチーは一般的に葉の部分が食べられているが、茎にも栄養が含まれている(※13)。ただし葉に比べて繊維質で食べにくい場合もあるため、葉はサラダ、茎はスープなどの加熱調理というように、使い分けるとよいだろう。

パクチーの美味しい料理方法

栄養面では生で食べることが望ましく、サラダやベトナム風サンドイッチ(バインミー)などがおすすめだ。スープは、トムヤムクンなど辛みの強いものによく合う。スープや炒めものにパクチーを使う場合は、火の通りにくい肉やほかの野菜を先に加熱し、最後に加えるとよい。タイカレーにパクチーの葉をトッピングすると、風味が加わりより本格的な味を楽しめる。また、根の部分も軽く潰してカレーと一緒に煮込めば食べられる。

4. パクチーの食べ方の注意点

パクチーにはさまざまな栄養素が含まれる反面、たんぱく質や炭水化物、脂質などエネルギー源となる栄養素は微量で、ほとんどが水分である(※1)。栄養価が高い食品とはいえないため、ほかの食品と組み合わせて栄養バランスを整える必要がある。

食べ過ぎのデメリット

香りの強いパクチーを食べ過ぎると気分が悪くなり、逆に食欲が減退する可能性もある。また、食物繊維の便を出しやすくする作用(※8)や精油成分による胃腸の働きを助ける作用(※9)も、過剰摂取により下痢を引き起こすリスクがある。ただし、パクチーを一度に大量に食べることは現実的には難しい。美味しいと感じられる量を守れば、不調を起こすほど食べ過ぎてしまう心配はないだろう。

結論

パクチーにはビタミン類をはじめ、さまざまな栄養素が含まれる。ただし実際に食べる量で考えると、含有量は決して多くない。また、パクチーだけでは栄養バランスが偏ってしまう。ほかの食品で不足する栄養を補いながら美味しく食べることが、美容や健康の維持につながるのだ。
(参考文献)
※1、2、5出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※1:野菜類/コリアンダー/葉/生 
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06385_7
※2:野菜類/バジル/葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06238_7
※5:野菜類/クレソン/茎葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06077_7
※3、4、6出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」 Ⅱ各論1エネルギー・栄養素
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
※3:1-6 ビタミン(2)水溶性ビタミン⑨ビタミン C(p244)
※4:1-6 ビタミン(1)脂溶性ビタミン③ビタミン E(p188)
※6:1-6 ビタミン(1)脂溶性ビタミン①ビタミン A(p171)
※7、8、10、11出典:厚生労働省e-ヘルスネット
※7:「カロテノイド」
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
※8:「食物繊維」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
※9出典:一般財団法人 日本educe食育総合研究所
「好き嫌いの分かれる筆頭!?パクチーの旬がやって来ます」
https://www.educe-shokuiku.jp/news/food/pakuchi/
※10:「カリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※11:「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
※12出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「ビタミンについて」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail178.html
※13出典:丸田ひとみ(岡山県立大学)2020 年度 独創的研究助成費 実績報告書「パクチーの品種による栄養成分の比較分析 」
https://www.oka-pu.ac.jp/media_images/files/r2/kenkyuu_tiikirennkei/tokken_houkoku/2020D22.pdf
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  • 更新日:

    2021年10月 4日

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