1. ガジュマルの基本情報
まずはガジュマルがどういった植物なのか、基本的なところから学んでいこう。
ガジュマルの基本情報
- 学名:Ficus microcarpa
- 属名:クワ科イチジク属(フィカス属)
- 園芸分類:観葉植物
- 樹高:鉢植えの場合で2m程度
- 耐寒性と耐暑性:寒さに弱く暑さに強い
- 原産:東南アジア、台湾、インド、オーストラリア、日本など
熱帯から亜熱帯に分布する常緑高木
ガジュマルといえば沖縄を思い浮かべる方も多いかもしれないが、そのとおりガジュマルは熱帯から亜熱帯地方にかけて広く分布する常緑高木の一種である。太くてしっかりした幹と、厚みや丸みのある濃い緑色をした葉はまさに「生命力」を感じさせてくれる。
とくに沖縄では「キジムナー」という火の精霊が宿るといわれ大切にされている。キムジナーは赤い髪をした少年のような精霊で、幸せを呼び込むと言い伝えられているのだ。ちなみに「多幸の木」と呼ばれる所以は、根がタコの足のように育つ様子からきているという。
とくに沖縄では「キジムナー」という火の精霊が宿るといわれ大切にされている。キムジナーは赤い髪をした少年のような精霊で、幸せを呼び込むと言い伝えられているのだ。ちなみに「多幸の木」と呼ばれる所以は、根がタコの足のように育つ様子からきているという。
国内最大のガジュマルは樹齢100年を超える
国内でもっとも大きなガジュマルは、鹿児島県・沖永良部島にある国頭小学校の校庭に植えられているもので、樹齢100年を超えるとされる。新日本名木百選のひとつであり、和泊町の指定天然記念物にもなっている見事な個体だ。
ガジュマルの花言葉と風水
ガジュマルには「健康」という花言葉が付けられている。生命力の象徴のようなガジュマルらしい花言葉だ。また風水では、玄関やベランダなど入り口に置くことで運気アップが期待できるとされている。あるいは癒しの作用があることから、寝室などに置くのもよいとされる。
2. ガジュマルの種類と株の選び方
ガジュマルにはいろいろな種類(品種)がある。主なものとその特徴および、株を選ぶ際のポイントをまとめたので参考にしてほしい。
ガジュマルの種類・品種と特徴
- ニンジンガジュマル
- センカクガジュマル
- パンダガジュマル
- 黄金ガジュマル など
一般的によく知られているのはニンジンガジュマルだろう。幹がニンジンのようにぷっくらしていることからこう名付けられている。またその名前からも分かるように、尖閣諸島に自生している希少性の高い品種がセンカクガジュマルである。葉が肉厚で小ぶりなひし形をしているのが特徴で、日本では接ぎ木をして育てられたものが多く流通している。
そのセンカクガジュマルの突然変異によって誕生したのが、より希少なパンダガジュマルだ。数あるガジュマルの中でも葉が丸く肉厚なのが特徴で、観葉植物の中でも高価で知られている。
そのほか、黄金ガジュマルは台湾で育った園芸品種であり、葉が明るい黄緑色をした美しい品種でもある。沖縄では公園などで見かけることがあるほか、海外などでは街路樹に利用されることもある。
そのセンカクガジュマルの突然変異によって誕生したのが、より希少なパンダガジュマルだ。数あるガジュマルの中でも葉が丸く肉厚なのが特徴で、観葉植物の中でも高価で知られている。
そのほか、黄金ガジュマルは台湾で育った園芸品種であり、葉が明るい黄緑色をした美しい品種でもある。沖縄では公園などで見かけることがあるほか、海外などでは街路樹に利用されることもある。
ガジュマルの株の選び方
生命力の象徴であることからも分かるように、葉と幹にツヤがあって健康的な株、そして幹の形がよい株を選ぼう。ハダニやアブラムシといった害虫が付着していないかどうかもきちんと確認するのが、よいガジュマルの株選びのポイントだ。
3. ガジュマルの年間栽培スケジュール
ガジュマルを栽培するにあたっての年間スケジュールを一覧にした。環境などで多少前後する場合もあるが、基本的には以下の時期を目安にしよう。
ガジュマルの栽培カレンダー
- 植え付け・植え替え:4月後半〜7月
- 水やり:11〜3月は控えめ、4〜10月は表面が乾いてきたら
- 肥料:5〜10月
- 剪定:4〜7月
- 挿し木:4月後半〜8月
ガジュマルの生命力には目を見張るものがあり、コンクリートを突き破ることもあれば、周囲の木に巻きついて死に至らしめることもあるという。比較的育てやすい観葉植物だが注意点もあるので、次節よりひとつずつ解説していこう。
4. ガジュマルの栽培に適した環境
ここからはガジュマルの育て方について解説を進めていく。まずは栽培に適した環境から確認していこう。
日当たり(置き場所)
ガジュマルは春から秋にかけてであれば屋外で育てることが可能だ。ただし、夏の強い直射日光が常に当たる状態にあると葉焼けを起こすおそれがある。環境によるが、遮光ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)を使うなどして、3割から5割程度遮光してやるとよいだろう。
同じく、気温が高すぎる環境でも葉焼けを起こすことがある。とくに猛暑や酷暑が続く時期は日陰に移すなどの工夫が必要だ。なお遮光ネットや寒冷紗はホームセンターや園芸店はもちろん、最近は100均でも手に入る。ガジュマルを購入すると同時に用意しておこう。
一方、ガジュマルには耐陰性があることから日光が差し込む屋内でも育てることができる。とはいえ太陽の光を好むのがガジュマルだ。健康に育てるためにも日光が当たる場所に置くことを意識しよう。なお室内であっても、直射日光に当たると葉焼けするおそれがある。レースのカーテンを一枚隔てるなど工夫しよう。
もうひとつ、室内で育てる場合に気をつけたいのがエアコンや扇風機などの風である。直接当たると葉が傷むおそれがあるため注意してほしい。
同じく、気温が高すぎる環境でも葉焼けを起こすことがある。とくに猛暑や酷暑が続く時期は日陰に移すなどの工夫が必要だ。なお遮光ネットや寒冷紗はホームセンターや園芸店はもちろん、最近は100均でも手に入る。ガジュマルを購入すると同時に用意しておこう。
一方、ガジュマルには耐陰性があることから日光が差し込む屋内でも育てることができる。とはいえ太陽の光を好むのがガジュマルだ。健康に育てるためにも日光が当たる場所に置くことを意識しよう。なお室内であっても、直射日光に当たると葉焼けするおそれがある。レースのカーテンを一枚隔てるなど工夫しよう。
もうひとつ、室内で育てる場合に気をつけたいのがエアコンや扇風機などの風である。直接当たると葉が傷むおそれがあるため注意してほしい。
管理温度
暑さには強いが寒さには弱いのがガジュマルだ。具体的な管理温度の基準があるわけではないが、一般的には5度を下回ると葉が落ちてしまうことがある。寒さで生長が緩やかになってしまうこともあるため、屋外で育てる際は気温が低くなるタイミングで室内に移すようにしよう。
しっかり根が張り健康に育っているガジュマルであれば、暖かい地域(関東以南など)で屋外越冬できる場合もある。
しっかり根が張り健康に育っているガジュマルであれば、暖かい地域(関東以南など)で屋外越冬できる場合もある。
用土
熱帯から亜熱帯という高温多湿の気候で育つガジュマルだが、水はけが悪い土で育ててしまうと根腐れを起こすおそれがある。市販の観葉植物用の土で水はけがよいものを選ぶようにしよう。自分で用土をブレンドしたい場合は、観葉植物用の土と赤玉土、鹿沼土などを合わせるのがおすすめだ。
5. ガジュマルの育て方|水やりと肥料
続いて具体的な育て方を解説していく。水やりと肥料・追肥のポイントをまとめたので参考にしていただきたい。
水やり
ガジュマルの育て方で重要になるのが、季節に応じて水やりのタイミングを変えることだ。夏場など暑い時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えて切らさないようにしよう。
一方で冬場など寒い時期は、土の表面が乾いてから数日(2〜3日)待って水やりをするのが基本となる。数日待つ間にガジュマルが乾燥し、樹液の濃度が高まる。これにより耐寒性がアップするというわけだ。ただし葉がしおれるといった場合は、水やりの回数を増やすなど工夫してほしい。
一方で冬場など寒い時期は、土の表面が乾いてから数日(2〜3日)待って水やりをするのが基本となる。数日待つ間にガジュマルが乾燥し、樹液の濃度が高まる。これにより耐寒性がアップするというわけだ。ただし葉がしおれるといった場合は、水やりの回数を増やすなど工夫してほしい。
肥料・追肥
ガジュマルは肥料を与えなくても育つ植物だが、そうはいっても与えたほうが生長は早い。春から秋にかけての生長期に、緩効性の化成肥料を置き肥するか10日に1回ほどのスパンで液肥を与えるとよい。コバエなどの発生を防ぐため、有機肥料よりも化成肥料を選ぶのがおすすめだ。
またガジュマルは冬場に生長が緩やかになる。このタイミングで肥料を与えると葉が肥料焼けを起こすおそれがあるため気をつけよう。
またガジュマルは冬場に生長が緩やかになる。このタイミングで肥料を与えると葉が肥料焼けを起こすおそれがあるため気をつけよう。
6. ガジュマルの育て方|植え替え
続いてガジュマルの植え替えについて解説する。
植え替えのタイミング
2年以上植え替えていない、あるいは鉢底から根が出てしまっているなど根詰まりを起こしそうといったタイミングで植え替えるようにしよう。時期としては5〜6月、遅くとも7月が目安になる。このときの用土も、先ほどお伝えした市販の観葉植物用の土などでOKだ。
7. ガジュマルの育て方|剪定
ガジュマルはよく育つため剪定が必要になる。伸びすぎた枝を切ることで樹形が整うだけでなく、全体の成長を促進させることにもつながることから大切な作業のひとつだ。
ガジュマルの剪定に必要な道具
- 手袋(園芸用)
- 剪定バサミ
- ノコギリ
- 癒合剤
ガジュマルを剪定すると切り口から樹液が出てくる。皮膚に触れるとかぶれることがあるため、手袋は必須と思っておこう。また切り口から雑菌が入ってしまうこともあるので、剪定したところには癒合剤を塗布するとよい。
剪定の手順
- まっすぐ上に伸びる枝の先端を切る(高くなりすぎるのを防ぐため)
- 枯れた枝を根元から切る
- 外側に勢いよく伸びた枝、内側に向かった枝を全体のバランスを見ながら切る
- 重なっている枝のどちらかを切る
- 鉢の生え際から生えている枝を切る
- 切った箇所に癒合剤を塗布する
剪定を怠ると日光が届かなかったり、水や養分が全体に行き渡らなくなったりするおそれがあるので気をつけよう。植え替え時期と同じ5〜7月に実施するのがおすすめだが、それ以外でも夏の生長期に合わせて4〜6月の間には剪定をしておこう。
8. ガジュマルの育て方|挿し木
ガジュマルは、剪定した枝を利用して増やすことができる。やり方とポイントを解説しよう。
挿し木による増やし方
剪定した枝の中から元気そうなものを選び、適当な長さ(2〜3節が目安)にカットする。このときも樹液が出てくるので、触れないように注意しつつ洗い流そう。次に、上のほうの葉を2〜3枚残して下の葉を落とし、枝を斜めにカットする。あとは、あらかじめ用意しておいた鉢と用土にその枝を半分程度挿してたっぷりと水を与えれば完成だ。
1〜2週間は直射日光が当たらない風通しのよい場所に置いて管理し、3週間程度経ったら少量の液肥を与えよう。
1〜2週間は直射日光が当たらない風通しのよい場所に置いて管理し、3週間程度経ったら少量の液肥を与えよう。
9. ガジュマルで注意すべき害虫
ガジュマルは病気にかかりにくい植物とされてはいるものの、アブラムシやカイガラムシ、ハダニといった害虫には気をつけよう。
ガジュマルの害虫対策
すす病などを媒介するアブラムシは、吸汁されると病気にかかったり枯れたりしてしまうおそれがある。発見し次第、ピンセットなどで取り除くようにしよう。体長3mm程度の小さなカイガラムシも同様だ。吸汁されることで株が弱り、枯れてしまう場合がある。白い綿毛のようなものがある小さな虫を見つけたら、即座にピンセットなどで取り除こう。とくに根の間に入り込みやすいため、見逃さないように注意してほしい。
0.5mm程度とさらに小さいのがハダニである。葉の裏側を吸汁されると葉に白っぽい斑点のようなものができてしまう。手遅れになると枯れてしまうことがあるため、定期的に葉の表面や裏側に葉水をしたり、見つけ次第殺ダニ剤などを使って駆除しよう。
0.5mm程度とさらに小さいのがハダニである。葉の裏側を吸汁されると葉に白っぽい斑点のようなものができてしまう。手遅れになると枯れてしまうことがあるため、定期的に葉の表面や裏側に葉水をしたり、見つけ次第殺ダニ剤などを使って駆除しよう。
10. 「多幸の木」ガジュマルをぜひ育ててみよう
ガジュマルは比較的育てやすい植物である。ユニークな形をしたガジュマルは見ているだけで元気をもらえるし、癒しにもなる。観葉植物を育てるのが初めてという方にもおすすめなので、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか?
結論
ガジュマルは日光を好む観葉植物であるため、日の当たる場所に置くのが好ましい。ただし葉焼けしないよう、日差しが強い季節は遮光することを忘れてはいけない。定期的に剪定も行って、美しく健康的に育ててほしい。慣れてきたら希少種を育ててみるのもおすすめだ。
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