目次
1. 保冷剤の「中身」は何?

クーラーバッグに入れて食品を冷やしたり、ケガをしたときに患部を冷やしたりなど、なにかと重宝するのが保冷剤である。だが冷凍庫内の収納スペースを圧迫してしまうほど数が増えてきたら、さすがに処分しなければならない。そこで疑問に感じるのが「保冷剤は何ごみとしての捨て方が正しいのか?」ということだ。
中の液体らしきものを出すべきか、袋ごと捨ててよいのか迷う方もいるだろう。まずは保冷剤の中身や袋の素材などを確認しよう。
中の液体らしきものを出すべきか、袋ごと捨ててよいのか迷う方もいるだろう。まずは保冷剤の中身や袋の素材などを確認しよう。
保冷剤の「中身」は高吸収性ポリマーと水
保冷剤の中身は一般的に「高吸収性ポリマー(高吸水性ポリマーとも)」と「水」だ。高吸収性ポリマーは紙おむつなどの吸収剤としても使われている素材で、自重の何百倍もの水分を吸収することができる。発熱時におでこに貼る冷却シートなどにも使われている。保冷剤の中に詰められているジェル状の中身のうち、高吸収性ポリマーの量は1~2%程度、残りほとんどは水だ。
また袋の素材は、ケーキに付いてくるような小さな保冷剤であれば「ポリエチレンフィルム」にパックされているものが多いが、水滴が付きづらい「ナイロン不織布」を使用している保冷剤もある。ホームセンターやアウトドアショップで売られているような大きいサイズの保冷剤は「プラスチック製の硬い容器」に入っているものが多い。
また袋の素材は、ケーキに付いてくるような小さな保冷剤であれば「ポリエチレンフィルム」にパックされているものが多いが、水滴が付きづらい「ナイロン不織布」を使用している保冷剤もある。ホームセンターやアウトドアショップで売られているような大きいサイズの保冷剤は「プラスチック製の硬い容器」に入っているものが多い。
子どもやペットなどの「誤飲」に要注意
基本的に、日本国内で製造されている保冷剤は人体や環境に無害の原料が使われているという。そのため、袋が破れるなどして触れてしまった程度であれば、さほど大きな問題にはならないだろう。だが口に入れることだけは絶対に避けてほしい。
万が一その保冷剤に「エチレングリコール」という成分が含まれていた場合、体内に吸収されることで中毒症状が現れるおそれがあるためだ。お使いの保冷剤の成分など気にしない方がほとんどだろう。袋に成分表がプリントされているわけでもないため、エチレングリコールが使われているかどうかは分からない。
子どもやペットがいるご家庭はとくに、保管方法や処分方法を誤らないよう、注意することが大切だ。
万が一その保冷剤に「エチレングリコール」という成分が含まれていた場合、体内に吸収されることで中毒症状が現れるおそれがあるためだ。お使いの保冷剤の成分など気にしない方がほとんどだろう。袋に成分表がプリントされているわけでもないため、エチレングリコールが使われているかどうかは分からない。
子どもやペットがいるご家庭はとくに、保管方法や処分方法を誤らないよう、注意することが大切だ。
2. 保冷剤の正しい捨て方

それでは、保冷剤の正しい捨て方について見ていこう。
多くの自治体は「可燃ごみ」として処分できる
お伝えしたように、保冷剤の中身は高吸収性ポリマーと水、袋はポリエチレン製のフィルムやナイロン不織布、プラスチック容器などである。これらは「可燃ごみ」としての捨て方を指定している自治体が多い素材だ(後述のように、プラスチックがNGな自治体もある)。「可燃ごみ」として処分できる自治体であれば、袋や容器に入った状態でそのままごみ袋に入れて捨てることができる。
ただし「不燃ごみ」の場合もあるため一度確認を
自治体によっては「不燃ごみ」とするのが正しい捨て方であったり、ソフトタイプは「可燃ごみ」、ハードタイプは「不燃ごみ」といったように分けている自治体もある。一例を挙げると、東京都国分寺市は「もやせないごみ」、神奈川県横須賀市は「燃せるゴミ」、岡山県岡山市は「可燃ごみ」、千葉県柏市は「可燃ごみ(ハードタイプは不燃ごみ)」といった具合だ。
また同じ「可燃ごみ」でも「一般ごみ」「普通ごみ」など呼称が異なる地域もあるので、まずは必ず、お住まいの自治体のホームページなどで確認しよう。
また同じ「可燃ごみ」でも「一般ごみ」「普通ごみ」など呼称が異なる地域もあるので、まずは必ず、お住まいの自治体のホームページなどで確認しよう。
自治体によって捨て方が異なる理由
保冷剤に限ったことではないが、自治体によってごみの分別方法が異なるのには理由がある。たとえばごみの焼却設備やコストなどが関係している。比較的新しい焼却炉を持っている自治体は、プラスチックやビニールを処分するときダイオキシンを出さずに高温焼却できる。そのため「可燃ごみ」扱いになっている場合が多い。逆にプラスチックの焼却設備が整っていない自治体では「不燃ごみ」扱いになるといった感じだ。
また東京都など人口が多い自治体では、細かく分別するとゴミ収集車をたくさん出す必要がある。人件費などのコストもその分だけかかるので、分別ルールがざっくりしているといった事情もあるかもしれない。とにかく、自治体ごとの分別のルールを確認し正しい捨て方を守ることが大切だ。
また東京都など人口が多い自治体では、細かく分別するとゴミ収集車をたくさん出す必要がある。人件費などのコストもその分だけかかるので、分別ルールがざっくりしているといった事情もあるかもしれない。とにかく、自治体ごとの分別のルールを確認し正しい捨て方を守ることが大切だ。
3. 保冷剤の中身を排水口などに流すのはNG

使わなくなった化粧水やジェル、調味料などの液体は、中身を水道で流して容器だけごみに出すということも多いのではないだろうか。液体物はごみに出せない自治体もあり、その場合は水道に流せるものは流す、流せないものは新聞紙や古布などにしみ込ませてごみとして出す、といった方法で処分するしかない。保冷剤の中身も液体なので水道に流せると考える方がいるかもしれないが、保冷剤の中身は絶対に水道に流してはいけない。
保冷剤の中身を水道に流してはいけない理由
たとえ外側の袋が破れてジェル状の中身が出てきてしまった場合でも、新聞紙で包んだり、袋に入れたりしてゴミとして処分しよう。先述の通り保冷剤の中身に使われる高吸収性ポリマーは、自重の何百倍もの水分を吸収するパワーがあるからだ。
キッチンのシンクに流してしまうと、高吸収性ポリマーが排水管の中で水分をぐんぐん吸収して膨らみ、詰まってしまうおそれがある。大掛かりな修理が必要となればそれこそ大変だ。たとえ少量だとしても、排水口には流さないように注意しよう。キッチンに限らず洗面所やトイレなどに流すのも同じくNGだ。
キッチンのシンクに流してしまうと、高吸収性ポリマーが排水管の中で水分をぐんぐん吸収して膨らみ、詰まってしまうおそれがある。大掛かりな修理が必要となればそれこそ大変だ。たとえ少量だとしても、排水口には流さないように注意しよう。キッチンに限らず洗面所やトイレなどに流すのも同じくNGだ。
4. 不要な保冷剤の意外な活用方法とは?

使わなくなった保冷剤、増えすぎて使いきれない保冷剤などは正しい捨て方で処分してもよいが、ちょっとしたアイデアで活用できることも多い。一例を紹介するので、ぜひ試してみてはいかがだろうか?
「消臭剤」「芳香剤」として使う
常温に戻した保冷剤の中身を瓶に入れる。蓋はせず、そのままトイレなどに置いておけば消臭剤として、香水を含ませて竹串などで混ぜれば芳香剤として使うことができる。おおよそ1〜2週間は効果が持続する。
冬場に「カイロ」の代わりとして使う
保冷剤をお湯に入れてしばらく待てば、カイロ代わりとして使うこともできる。薄いタオルなどを巻いてアイマスク代わりにする方法もある。ただしこのとき電子レンジを使用するのは絶対にNGなので気をつけよう。また袋の素材によっては溶けやすいものもあるので、温度にも注意してほしい。熱湯で温めるのは避け、40℃程度にとどめておくなどするとよいだろう。
切り花の固定や保水剤など「園芸用品」としてに使う
保冷剤の中身を瓶に入れて花を生ける。吸水スポンジ代わりに使うイメージだ。だが保冷剤の中身がいくら吸水力・保水力に優れているとはいえ、時間が経てば乾燥してしまう。ときどきは水を与えるようにしよう。また花壇にまくなどすれば、保水剤代わりにもなる。
「キャンドルスタンド」として使う
飾り付け用の瓶などの容器に保冷剤の中身を入れ、キャンドルを立てる。手軽なうえ溶けたロウを保冷剤の中身がしっかり吸収してくれるなど、片付けもラクラクだ。味気ないと感じるなら、まわりに小物をデコレーションするなどして変化をつけよう。
5. 保冷剤は取扱注意!ルールに沿った「正しい捨て方」で処分しよう

お伝えしてきたように、保冷剤は体内に吸収されてしまうと中毒症状が出るおそれがある。子どもやペットが誤飲しないよう、くれぐれも保管方法や処分方法に注意しよう。また自治体によって「可燃ごみ」「不燃ごみ」などルールが異なる。まずはお住まいの自治体のルールを確認し、正しい捨て方で処分しよう。
結論
あると重宝する便利な保冷剤だが、正しい使い方や捨て方を知っておくことが大切だ。とくに、保冷剤の中身をシンクの排水口やトイレなどに流してしまうと、排水管が詰まってトラブルになることがある。水道には流さないようにくれぐれも注意してほしい。
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