目次
- 1. ライチの基本情報
- 2. ライチの栽培環境
- 3. ライチの栽培方法1|植え付け・水やり・肥料
- 4. ライチの栽培方法2|剪定・収穫・増やし方・越冬
- 5. ライチの栽培で注意したい病害虫と対策
- 6. 楊貴妃も好んだライチの果実。ぜひご家庭で栽培してみては?
- 分類:ムクロジ科・レイシ属 (常緑小高木)
- 学名:Litchi chinensis(英名Lychee)
- 別名:レイシ(茘枝)、ライチー
- 原産地:中国南部
- 開花期:3〜6月
- 収穫期:6〜8月
- 耐寒性:弱(3℃程度)
- 耐寒性:強
- 生育適温:15〜30℃
1. ライチの基本情報

まずはライチについて詳しくなっておこう。押さえておきたい基本情報をまとめたので見ていこう。
中国南部原産の果樹
中華料理におけるデザートとしてもおなじみのライチは、中国南部を原産とする果樹の一種だ。そのほか台湾や東南アジア、ハワイなど温暖地域を中心に栽培がおこなわれている。日本には江戸時代頃に持ち込まれて栽培が始まったとされており、現在では宮崎や沖縄など温暖な地域を中心に栽培されている。
ライチの基本情報
ライチの樹
ライチの樹は、野生のもので樹高8〜10mと非常に高くなる。一方、栽培用は収穫がしやすいように樹高を2〜3mほどに抑えて育てられる。一般家庭ではスペースに限りがあるため、樹高を調整しても実がなるというのはありがたいところだ。
ライチの実と種
東南アジアなどでは、露店でライチが山積みにされて売られている光景も珍しくない。実の大きさは直径2〜3cm、外側の皮は濃い紅色をしており、表面はまるで亀の甲羅のような網目状で隆起している。ライチの実で特徴的なのはやはり内側の果肉だろう。
真っ赤に熟した実を半分に割ると白色半透明の「プルッ」「ツルッ」とした食感の実が姿を現す。果肉をすべて取り出すとコロンとした白い球形になる。この白色半透明の果肉の中に種が一粒入っている。
2. ライチの栽培環境

ライチをご家庭で栽培するにあたって知っておかなければならないのが、栽培に適した環境である。
日当たり
ライチは日当たりがよく高温多湿の場所を好む。ご家庭で育てる際はぜひ日当たりがよい場所を確保してあげよう。
温度
ライチは地植えでも鉢植えでも栽培できるが、栽培適温は15〜30℃とされている。暑さには強いものの耐寒性がないため、冬は暖かい場所に動かせるよう鉢植えで育てるのがおすすめだ。
用土
ライチは弱酸性の土を好むが、市販の野菜や花の培養土をそのまま使ってもよいし、そこに鹿沼土を全体の3割程度配合して使うのもよい。
3. ライチの栽培方法1|植え付け・水やり・肥料

それではライチの栽培方法をお伝えしていこう。苗を購入して鉢植えで育てる場合のポイントを解説する。
植え付け
苗を植えるなら6〜8月頃が適期だ。まずは植木鉢と培養土を用意して鉢底石を敷いたら、鉢底から1/3ほどの高さまで培養土を入れる。中心に苗を置いたらさらに土を入れて安定させる。あとは、たっぷり水を与えて明るい場所(直射日光は避ける)に置いて日々の管理をしていこう。
水やり
多湿な環境を好むライチではあるが、水を与えすぎると根腐れを起こすおそれがある。目安として「土の表面が乾いたら、たっぷり水を与える」と覚えておこう。「たっぷり」とは、鉢底から水が流れ出す程度だ。また結実する時期に十分な水やりをしてあげると美味しい実が収穫できる。逆に冬は乾燥気味にして管理しよう。土を乾かすことで花芽分化が進み結実しやすくなる。
肥料
4〜11月にかけて、2〜3カ月に1回を目安に化成肥料を与える。とりわけ生育初期の7〜9月頃は、有機質の固形肥料(油粕や骨粉、鶏糞など)を土に混ぜておくとよい。
4. ライチの栽培方法2|剪定・収穫・増やし方・越冬

続いて成長してからの剪定や収穫方法、増やし方や冬の乗り越え方などをお伝えする。
剪定
お伝えしたように、野生のライチは樹高8〜10mなど非常に高くなる。栽培用は抑えられているとはいえ、それでも中にはどんどん伸びてしまうものもある。2〜3mに抑えるには適宜、枝を切りつめるなどして高さを調節してあげることが大切だ。また樹幹にも光が当たるよう、重なり合う枝などを剪定してあげることも忘れないようにしたい。
収穫
6〜8月頃、鮮やかな赤色に熟した実を収穫する。日持ちしないので、収穫したら速やかに皮を剥いていただくのがおすすめだ。
増やし方(水耕栽培)
白色半透明の果肉の中には種が一粒入っている。種の周りについた果肉をきれいに洗い流し、水で湿らせたスポンジなどの上に置いたら、日当たりのよい場所に置いておこう。やや時間がかかるが3週間ほどで芽が出るはずだ。3カ月ほどは、水を絶やさずコットンを湿らせる「水耕栽培」で発芽させよう。発芽した種はビニールポットや植木鉢などの土に植え替え育てよう。
越冬
ライチは0℃近くまで気温が下がっても越冬させることは可能である。だが果実を収穫するなら、日当たりがよく暖かい場所に置いておこう。寒さで弱らせずに越冬できるはずだ。
5. ライチの栽培で注意したい病害虫と対策

続いて、ライチを栽培するにあたって気をつけたい病気や害虫について解説する。
気をつけたい病害虫とその対策
ライチは病害虫の心配が少ないものの、カイガラムシやハダニが発生することはある。枝葉が伸びて混みあってきたら剪定し、樹木全体の風通しをよくしよう。対策としては害虫に効果のある薬剤の散布が効果的だ。
ただしカイガラムシの成虫は駆除に苦労するため、ブラシなどを使って引き剥がすとよい。吸汁するカメムシ対策としては、袋掛け(実をひとつずつ袋で覆うこと)が有効である。
6. 楊貴妃も好んだライチの果実。ぜひご家庭で栽培してみては?

ライチの栽培を根気よく続けていけば、およそ8〜12年で種から木に、そして結実に至る(接ぎ木苗であれば3年ほどで結実可能だが、実がなるまでには時間がかかる)。初心者にとっては厳しい道のりかもしれないが、ライチの果実といえばあの世界三大美女のひとり「楊貴妃」も好んだといわれている。ぜひご家庭でライチ栽培にチャレンジしてみてはいかがだろうか?
結論
実がなるまでに結構な時間はかかるが、結実したときの喜びはその分ひとしおだろう。鉢植えの苗木であれば樹高1.5m前後の小ぶりに抑えることも可能なので、室内で観葉植物としても楽しめそうだ。ライチ好きな方はぜひ、苗木からの栽培に挑戦してみてほしい。
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