1. アルカリ性洗剤とは?酸性や中性との違いも解説
まずはじめに、アルカリ性洗剤の基礎知識を解説していこう。
アルカリ性洗剤の特性と酸性・中性との違いについて
液体にはそれぞれ性質があり、pHの指標によって酸性、中性、アルカリ性に分かれる。アルカリ性洗剤とは、アルカリ性の性質を持った洗剤を指す。そしてアルカリ性と逆の性質を持つのが酸性である。中性は、アルカリ性と酸性の中間にある性質だ。
酸性やアルカリ性の度合いは「pH(ペーハー)」で表されることが多い。pHとは水溶液中の水素イオン濃度を示す指標のことだ。pHのあとには1〜14までの数字が付き、次のように分類される。
pH(水素イオン指数)と液性
酸性やアルカリ性の度合いは「pH(ペーハー)」で表されることが多い。pHとは水溶液中の水素イオン濃度を示す指標のことだ。pHのあとには1〜14までの数字が付き、次のように分類される。
pH(水素イオン指数)と液性
- pH7超:アルカリ性
- pH7: 中性
- pH7未満:酸性
アルカリ性洗剤にも種類がある
同じアルカリ性でもpH8〜11は弱アルカリ性、11を超えるとアルカリ性(または強アルカリ性)などと分けることもある。アルカリ性洗剤にも、弱アルカリ性洗剤とアルカリ性洗剤があるのだ。弱アルカリ性との記載がなければ、強アルカリ性と考えてよいだろう。数字が高いほど酸性の汚れへの洗浄力は上がるが、その分刺激が強くなるので、使い分けが重要だ。
重曹もアルカリ性洗剤のひとつ
掃除に活用できる重曹は弱アルカリ性だ。水と混ぜて汚れに塗布すれば、市販のアルカリ性洗剤と同じように使用できる。
自然由来の成分なので安全性が高く、お子さんがいるご家庭や敏感肌の方でも使いやすいのがメリットだ。アルカリ性の汚れに効果的なクエン酸と合わせて、毎日のお掃除に取り入れてみよう。
自然由来の成分なので安全性が高く、お子さんがいるご家庭や敏感肌の方でも使いやすいのがメリットだ。アルカリ性の汚れに効果的なクエン酸と合わせて、毎日のお掃除に取り入れてみよう。
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2. アルカリ性洗剤で落とせる汚れとは?
汚れを落とすときは反対の性質で中和することが重要だ。つまりアルカリ性洗剤は、反対の酸性の性質を持つ汚れに効果を発揮する。
アルカリ性洗剤は油汚れなどに効果的
アルカリ性洗剤が効果を発揮する酸性の汚れには、油汚れが挙げられる。油汚れや油脂には、アルカリ性洗剤を使おう。pHが高い強アルカリ性洗剤は洗浄力も高く、頑固な油汚れもスッキリと落とすことが可能だ。一方で、水垢などのアルカリ性の汚れに対しては、効果は期待できない。
3. 洗濯洗剤の中にもアルカリ性洗剤がある
洗濯洗剤の中にもアルカリ性洗剤がある。アルカリ性洗剤は掃除だけでなく、洗濯の際にも活躍してくれるのだ。
皮脂や油汚れなどに効果的
アルカリ性洗剤には、タンパク質を分解する効果がある。血液や食べこぼし、皮脂などが、タンパク質汚れだ。弱アルカリ性の洗濯洗剤は中性洗剤よりも、洋服に付着しやすいタンパク質汚れに高い洗浄力が期待できる。
4. アルカリ性洗剤を使う上での注意点
油汚れやタンパク質の汚れに効果的なアルカリ性洗剤だが、使用するにあたって注意すべき点もある。
皮膚に触れないように注意する
油汚れに効果的なアルカリ性洗剤だが、肌に付着すると皮脂を過剰に落としてしまう。pHの数値が高いと肌への刺激も強くなるので、特に注意が必要だ。
ゴム手袋をはめて掃除をすれば、肌への付着を防げる。手についたときや掃除のあとは、すぐに洗い流そう。小さなお子さんが触らないように、対策を行っておくと安心だ。アルカリ性洗剤を使うのに抵抗があるなら、肌に優しい弱アルカリ性の重曹を使ってもよいだろう。
ゴム手袋をはめて掃除をすれば、肌への付着を防げる。手についたときや掃除のあとは、すぐに洗い流そう。小さなお子さんが触らないように、対策を行っておくと安心だ。アルカリ性洗剤を使うのに抵抗があるなら、肌に優しい弱アルカリ性の重曹を使ってもよいだろう。
目や鼻など粘膜に触れないように注意する
目や鼻などの粘膜に入った場合も痛みなどが生じる可能性がある。目より上の場所にスプレーする場合、降りかかってくることが考えられるため、スポンジ等に含ませて汚れを落とそう。可能なら、メガネやゴーグルなど目とその周辺の保護具を装着しよう。
換気をしながら作業に当たる
「換気」という文字は、刺激の強いアルカリ性洗剤の注意書きで必ずといっていいほど目にする。特に、アルカリ性を持つ塩素系洗剤が酸性のものと混ざると、有毒な塩素ガスが発生することがある。塩素系洗剤と酸性を同時に使っていなくても、掃除する場所に酸性の何らかの物質が付着していることも考えられる。においやガスは目には見えないため、気分が悪くなってからでは遅い。液性にかかわらず、洗剤を使用する場合は換気しながらを基本にしよう。
使えない素材に注意する
アルカリ性洗剤は便利ではあるが、使えない素材もある。使用することで劣化してしまう素材もあるため、注意しよう。
5. アルカリ性洗剤が使えない素材とは?
前章で触れた使えない素材について、さらに詳しく解説する。使用前にチェックしておこう。
アルミやフッ素コートなど
アルカリ性洗剤と相性が悪いのはアルミニウムやフッ素コート、劣化した塗装などである。アルミニウムに付着すると腐食やサビの原因になり、変色したり穴があいたりすることがある。すでに油分や熱などでダメージを受けている塗装部分、フッ素コートなどに使用しても、それらが剥がれてしまうことがある。できれば避けたほうが無難だが、どうしても汚れを落とさなければならないときは目立たない部分で試してからにしよう。
木製の家具や床、畳など
アルカリ性洗剤は、木製の家具や木の床、畳をはじめ水が染み込む素材のものには使えない。シミになるおそれもあるため、避けてほしい。
車やバイクに使う場合も注意が必要
車やバイクのホイールに長年こびりついた頑固な汚れ。アルカリ性洗剤は油汚れに強いため、スッキリと落としてくれるだろう。ただし、汚れ落としをした後はしっかりと洗い流す必要がある。金属が腐食するおそれがあるためだ。
6. アルカリ性洗剤を使った掃除方法
続いて、アルカリ性洗剤を使った掃除方法を解説していく。
キッチン用のアルカリ性洗剤の使い方
キッチン用のアルカリ性洗剤は、酸性の汚れに塗布してからスポンジやブラシでこすろう。コンロや油がついた食器に吹きかけ、少し放置してから磨くのが基本だ。食器用の弱アルカリ性洗剤を使用した後は、流水でしっかりと手をすすごう。
洗濯用の弱アルカリ性洗剤の使い方
洗濯用の弱アルカリ性洗剤の使い方は、投入口に入れるだけだ。ただし、デリケートな生地に使うと傷めてしまうので、オシャレ着洗い用の中性洗剤と使い分けてほしい。
風呂掃除用のアルカリ性洗剤の使い方
浴室のカビ、ピンクぬめりといった汚れには、アルカリ性成分に漂白剤を混ぜた塩素系漂白剤を選ぼう。こちらも汚れに直接吹き付け、数分(汚れの程度によって数十分)置いてから水で洗い流せばOKだ。
そのほか、お風呂の残り湯に、弱アルカリ性の重曹を1カップ混ぜ、一晩おいてから水で洗い流せば浴槽もキレイになる。子どものおもちゃを入れておくのもおすすめだ。
そのほか、お風呂の残り湯に、弱アルカリ性の重曹を1カップ混ぜ、一晩おいてから水で洗い流せば浴槽もキレイになる。子どものおもちゃを入れておくのもおすすめだ。
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重曹はクエン酸と一緒に使うのもおすすめ
重曹とクエン酸を一緒に使う方法もおすすめだ。弱アルカリ性の重曹と酸性のクエン酸を混ぜると化学反応を起こし、二酸化炭素が発生して発泡する。この泡の力によって汚れが浮きやすくなるのだ。
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7. カビキラーなどの塩素系漂白剤もアルカリ性洗剤
高い漂白効果がある塩素系漂白剤も、アルカリ性洗剤だ。アルカリ性洗剤に漂白剤を加えたもので、掃除やカビの除去、除菌や消臭に使用される。水と混ぜてキッチン用品を浸け置きしたり、塗布してトイレをキレイにしたり、といった使い方が一般的だ。
ただし、中にはアルカリ性洗剤が使えない素材もあるため、必ず説明をしっかりと読んでおこう。塩素系漂白剤を酸性の洗剤と混ぜると毒ガスが発生するので、一緒に使用できない。
ただし、中にはアルカリ性洗剤が使えない素材もあるため、必ず説明をしっかりと読んでおこう。塩素系漂白剤を酸性の洗剤と混ぜると毒ガスが発生するので、一緒に使用できない。
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8. おすすめのアルカリ性洗剤5選
おすすめの弱アルカリ性、またはアルカリ性洗剤を5つ紹介しよう。
花王「マジックリン ハンディスプレー」
汚れに直接スプレーし、布等で拭き取るか水で洗い流すだけの手軽に使えるアルカリ性洗剤だ。ひどい汚れは5分ほど置いてから拭き取ろう。除菌効果があるのもうれしい。ただし、重曹やセスキ炭酸ソーダと比べてアルカリ性が強いため、肌荒れが気になる方はゴム手袋を着用しよう。
SCジョンソン「カビキラー」
カビ落としにうってつけな塩素系漂白剤だ。浴室の壁やタイル、目地のほか、排水口やドアのゴムパッキン、マット、小物類にも使える。強力なアルカリ性のため換気するのはもちろん、皮膚に付着したり目に入ったりしないよう十分気をつけよう。
P&G「除菌ジョイ コンパクト」
弱アルカリ性の食器用洗剤だ。プラスチックまな板、布巾、スポンジなども除菌できる。長時間使用する方や、肌が弱い方はゴム手袋を着用しよう
レック「セスキの激落ちくん」
入浴剤に配合されるなど、重曹と並んで人体に優しいアルカリ性洗剤だ。油汚れや皮脂汚れなどに効果がある。スプレー、シート、粉末、泡の4つのタイプがあるので、使用シーンにあわせて選ぶとよいだろう。粉末を購入して作る場合は水500mlに対しセスキ炭酸ソーダ5g程度が目安となる。スプレーボトルも用意しておこう。
シャボン玉石けん「重曹」
人体に無害な物質で、環境にもやさしいアルカリ性洗剤だ。コンロやレンジフードなどの油汚れには直接振りかけてこすり洗いしよう。そのほか、重曹水や重曹ペーストにするのもおすすめだ。重曹水は、お湯1Lに大さじ4杯の重曹を溶かして作る。重曹ペーストは、1対3の割合で水と重曹を混ぜて作ろう。消臭効果もあるため、生ゴミやトイレなどさまざまな生活シーンの消臭にも活躍してくれる。
9. アルカリ性洗剤の特性を知り上手に使い分けよう
アルカリ性洗剤は、反対の性質である酸性の汚れに効果を発揮する。キッチンや浴室など、さまざまな場所の掃除で活躍してくれるだろう。ただしアルカリ性洗剤は、同じアルカリ性の水垢などの汚れには効果は期待できない。アルカリ性洗剤の特性を知り、掃除に役立てよう。
結論
アルカリ性洗剤は、頑固な油汚れや皮脂汚れをスッキリ落としてくれる。ただし万能というわけではなく、使えない素材や使用上の注意点もあるため、必ずチェックしておこう。アルカリ性洗剤を使った掃除方法や注意点などを知りたいときは、ぜひ当記事を役立ててほしい。