目次
1. 「手洗い」の洗濯表示とは?

洗濯表示とはその衣類の素材に適した「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン」「クリーニング」などの可否およびやり方について細かく書かれているものだ。2016年12月から新しくなっている。これまで22種類あった洗濯表示は日本独自のものだったのだが、衣類が世界各国を流通するようになったことから国際規格の洗濯表示へと変わった。41種類に増え、より適した方法で洗濯できるようになったのである(※1)。
手洗いの洗濯表示とは?
2016年11月までの旧洗濯表示では、洗濯桶に波線が描かれており「30」の数字と「手洗イ」の文字が書かれている。これは液温30℃を上限に手洗い処理ができる、という意味だ。一方2016年12月からの新洗濯表示では、洗濯桶に波線と「手」のイラストが描かれている。こちらは液温40℃を上限に手洗い処理ができる、という意味になる(※2・※3)。
2. 手洗いしたほうがよい衣類とは?

基本的には洗濯表示に従えばよい。だが中には大切に着続けたい衣類もあるだろう。それに、たとえ洗濯機がOKの衣類でも、洗濯を繰り返せば劣化してくる。長く着たい衣類や高価な衣類なども、手洗いをしたほうがダメージが少なくて済む。
手洗いに向いている衣類
洗濯機で洗ってしまうと型崩れを起こしやすいニットおよびセーター、シワになりやすい薄手のシャツや女性モノならワンピースなどは、洗濯表示にかかわらず手洗いがおすすめだ。レースなど繊細な衣類、汚れがひどい衣類なども手洗いを推奨する。不安なときや判断がつかないときは、メーカーのホームページを見たり似たような素材の衣類の洗い方をチェックしてみたりするとよいだろう。
3. 洗濯機の「手洗いコース」は標準コースとどう違う?
ところで洗濯機には「手洗い」コースが搭載されているが、これはどういった意味になるのだろうか?標準コースと何が違うのだろうか?
洗濯機の「手洗い」コースとは?
標準コースよりも弱水流で洗うように設計されたコースのことだ。「手洗い」のほか「ドライ」「おしゃれ」「ソフト」などメーカーや機種によって異なるがその仕組は同じと考えてよい。衣類が絡まったりこすれ合ったりしないよう、優しくほぐすように洗ってくれる。脱水時の衣類へのダメージを減らすため、脱水時間も短めに設定されているのが一般的だ。
4. 手洗い表示の衣類は洗濯機で洗える?

では、洗濯表示で「手洗い」が指定されている衣類は、洗濯機の手洗いコースなどで洗ってもよいのだろうか?
基本的には洗える
手洗い表示の衣類だったときは、上述した洗濯機の「手洗い」や「ドライ」といった弱水流コースで洗濯できる。やり方については後述しているので、そちらを参考にしていただきたい。
ただし手洗いしたほうがよいものもある
型崩れしやすい衣類、ニットなど縮みやすい衣類は手洗いした方が安心である。手間はかかるが、美しい状態をキープするためと思って丁寧に手洗いをしよう。
5. 手洗いする場合の洗剤や柔軟剤は?

手洗いが指定されている衣類は、素材がデリケートであるものが多い。洗濯洗剤の多くは「弱アルカリ性」だが、それよりも衣類に優しい中性洗剤を使おう。
液体の「オシャレ着用中性洗剤」がおすすめ
中性洗剤の中でも液体かつ「オシャレ着用」と書かれているものがよい。弱アルカリ性に比べると皮脂や油汚れなどを落とす力は若干劣るが、繊維へのダメージや色あせなどを防ぎながらキレイにしてくれる。
柔軟剤はお好みで使ってOK
一方、柔軟剤に関してはとくに神経質にならなくてもよいだろう。普段使っているお好みの柔軟剤があれば、いつもの洗濯と同じように使おう。
6. 手洗い洗濯の方法

前置きが長くなったが、それでは実際に手洗い表示の衣類を洗濯する方法を見ていこう。まずは洗濯表示通りに手洗いする方法から解説する。
用意するもの
- 洗濯桶(なければ洗面台などでもOK)
- 洗濯ネット
- オシャレ着用中性洗剤
- 柔軟剤(お好みで)
- バスタオル
基本的にはこれだけあれば洗濯できる。バスタオルは、タオルドライをしたほうがよい衣類のときに使うためのものなので、衣類によってはなくても構わない。
手洗いする方法
- 衣類をたたむ
- 洗濯桶やシンクに水をためる
- オシャレ着用中性洗剤を適量溶かす
- 衣類を浸して押し洗いをする
- 水を入れ換えながら泡立たなくなるまですすぐ
- 洗濯ネットに入れて10〜30秒を目安に脱水する
- 速やかに取り出して干す
たたむ際は汚れた面が表側にくるようにしよう。脱水時間は素材によっても変わるが10〜30秒程度に留めよう。シワなどが心配なときは、洗濯機ではなくタオルドライがおすすめだ。その場合は洗濯ネットに入れなくてよい。また柔軟剤を使うときは、最後のすすぎのタイミングで投入しよう。
手洗い方法にはいくつかパターンがある
- 押し洗い
- 振り洗い
- 浸け置き洗い
- つかみ洗い
- つまみ洗い など
手洗いといってもいくつかパターンがある。押したり浮かせたりする「押し洗い」はセーターなど厚手の衣類を手洗いする際に適した洗い方だ。シワになりやすいシャツやブラウスなどは、両端をつまんで洗濯液の中で振るように洗う「振り洗い」をしよう。そのほか、型崩れが心配などできるだけ負担をかけたくない衣類は「浸け置き洗い」が、部分的な汚れを落とすには「つかみ洗い」「つまみ洗い」などが適している。衣類や汚れ具合などによって使い分けよう。
7. 洗濯機の「手洗いコース」で洗う方法

手洗い表示の衣類も洗濯機で洗える場合がある、とお伝えした。続いてはそのやり方を説明していこう。
用意するもの
- オシャレ着用中性洗剤
- 洗濯ネット
- 柔軟剤(お好みで)
洗濯機で洗う方法
- 衣類をたたんで洗濯ネットに入れる
- 「ドライ」「手洗い」など弱水流コースに設定する
- オシャレ着用中性洗剤や柔軟剤を適量投入する
- スタートボタンを押す
- 脱水は10〜30秒など短時間にとどめる
- 速やかに取り出して干す
脱水時間を設定できるのであれば、衣類の素材によって10秒程度から30秒程度で設定しよう。できないときや脱水にかけるのが不安なときは、面倒でも手動で停止させるか脱水はせずタオルドライをしよう。
8. 手洗い表示の衣類を上手に洗うコツ

手洗い表示がある衣類を上手に洗濯するコツをまとめたので確認しておこう。
お湯ではなく水で洗う
一般的に、水よりもお湯のほうが洗浄力が高くなる。だが手洗いが指定されているような衣類はデリケートなものが多い。液温が高すぎると縮みなどのトラブルを招きかねないため、30秒以下の水を使うようにしよう。
シミや汚れは前処理をする
襟や袖口などの気になる汚れやシミには、事前にオシャレ着用中性洗剤の原液を含ませておこう。指の腹で軽く揉み込んでおくと馴染みやすい。
脱水はごく短時間に留める
繰り返しになるが、シワなどのトラブルを防ぐため脱水にも気をつけよう。素材にもよるが10〜30秒などごく短時間で終わらせるのがポイントだ。洗濯ネットに入れるのも忘れないようにしよう。またニットやセーターなど伸びやすい衣類はタオルドライがよい。大判のバスタオルなどで包み、軽く押さえたり叩いたりして水分を吸わせるといった方法だ。強く絞ったりひねったりすると傷むので気をつけよう。
干すときに気をつけることは?
型崩れが心配なセーターなどは、風通しのよい日陰で平干しが基本だ。平干しネットを用意しておくとよい。薄手のカーディガンなどはハンガーにかけて吊り干しをしてもよいが、ハンガーがかかる位置などによっては跡が残ることもあるため気をつけてほしい。また洗濯表示を見て「天日干し/陰干し」「吊り干し/平干し」といった記載があればそれに従おう。判断がつかないときは「風通しのよい日陰で平干し」を基本に考えるとよい。
9. 洗濯機の「手洗い」モードで洗わないほうがよい衣類もある?

手洗い表示のある衣類は、基本的には洗濯機の弱水流コースで洗うことができる。ただし次のような場合、可能であれば手洗いをしたほうがよいだろう。
「二本線」または「弱」の文字がある場合
新洗濯表示で、洗濯桶の下に「二本線」が描かれている衣類、あるいは旧洗濯表示で、洗濯機の中に「弱」と書かれている衣類だった場合だ。いずれも解釈としては「洗濯機の弱水流で洗うことができる」というものだが、前者は「非常に弱い洗濯処理ができる」後者は洗濯機または「振り洗い、つかみ洗い、押し洗いがよい」という意味になる。失敗を防ぐためにも、できれば手洗いをおすすめする。
10. 覚えておきたい「手洗い」以外の新洗濯表示

2016年12月以降、洗濯表示は22種類から41種類にまで増えた。だがすべてを完全に覚えるのは難しい。そこで最後に、手洗い以外でぜひ覚えておきたい洗濯表示を紹介しよう。
洗濯は「下線」が増えるほど弱く洗う
ご家庭で水洗いできる衣類には洗濯桶が描かれている。洗濯桶だけのものもあれば、洗濯桶の下に横線が入っているものもある。この横線は「弱く洗う」という意味だ。1本で「弱い洗濯処理ができる」2本になると「非常に弱い洗濯処理ができる」という意味になる。したがって下線の数が増えるほど弱く洗う必要があると覚えておこう。2本あるものは洗濯機よりも手洗いの方が安心だ。
三角形は「漂白」を表す
洗濯表示に描かれている三角形は漂白処理に関するものだ。ただの三角形であれば「塩素系漂白剤と酸素系漂白剤が使える」という意味になる。三角形の中に斜線が描かれている場合は「酸素系漂白剤のみ使用できる」ということだ。またバツがついていればいずれの漂白剤も使えないことになる。衣類の黄ばみなどが気になって漂白したいというときは、三角形の洗濯表示を確認しよう。
アイロンの「点」は増えるほど上限温度が高い
旧洗濯表示では、アイロンの温度を「低・中・高」と記載していたが、新洗濯表示では「黒ポチ(・)」に変わっている。「・」が1つであれば底面温度の上限は110℃、2つであれば同150℃、3つなら同200℃という意味になる。
円は「クリーニング」に関する表示
新洗濯表示における円(◯)はクリーニングに関する表示である。円の中に「PまたはF」のアルファベットがあればドライクリーニング「W」であればウェットクリーニングという意味になる。アルファベットや下線の数によって使う溶剤や洗う強さを細かく分類している。詳しい意味はクリーニング店の方が分かるはずなので、円の有無でクリーニングに出せるかどうかを判断するとよいだろう。
四角は「乾燥処理」を表す
四角の中に円が描かれていれば、タンブル乾燥に関する表示だ。タンブル乾燥とはいわゆるドラム式の乾燥機、コインランドリーなどの乾燥機のことである。円の中に「・」が1つあれば排気温度60℃、2つあれば同80℃を上限としてタンブル乾燥できるという意味になる。
一方、四角の中に縦線があれば「吊り干し」横線があれば「平干し」だ。ただしいずれも2本ずつ描かれていた場合は「濡れ吊り干し」「濡れ平干し」となる。つまり脱水せずに干すということだ。また斜線が描かれていたら「陰干し」を意味する。
一方、四角の中に縦線があれば「吊り干し」横線があれば「平干し」だ。ただしいずれも2本ずつ描かれていた場合は「濡れ吊り干し」「濡れ平干し」となる。つまり脱水せずに干すということだ。また斜線が描かれていたら「陰干し」を意味する。
結論
手洗い表示の衣類はオシャレ着用中性洗剤を使って優しく手洗いするのが基本だ。押し洗いやふり洗いなどをうまく使い分けられるようになろう。手洗い表示の衣類を洗濯機で洗う際は弱水流コースに設定すること、洗濯ネットに入れることなどで繊維へのダメージを最小限に抑えよう。洗濯表示はまだまだ新旧入り交じっているため、ぜひ消費者庁のホームページなどで確認しておくことをおすすめする。
(参考文献)
- 1:衣替えの季節です。あなたは正しく洗濯していますか? _ 暮らしに役立つ情報 _ 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201812/2.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 3:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
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