1. ナスの栄養と効能

日本で見かけるナスはほとんどが黒むらさき色だが、実は白い色のナスもある。形も丸型や長型のように、さまざまだ。世界では白・緑・しま模様のナスもある。ここではナスの栄養と効能について解説しよう。
ナス可食部80gあたりの栄養一覧
ナス1個(80g)に含まれるおもな栄養をピックアップして紹介する。
- ナスニン
- カリウム(※1)
- 食物繊維(※1)
ナスはほとんどが水分で、あまり栄養素は多くない。味の特徴はクセがないため、油で炒めたり、揚げたり、ぬか漬けにしたりなど、いろいろな料理に重宝する。
カロリー
生のナス1本に含まれるカロリーは14kcalだ(※1)。では、茹でるとカロリーはどうなるのだろうか。茹でたナスのカロリーは14kcalと、生とあまり変わらない(※2)。炒めるとカロリーは58kcalと、生より44kcalアップする(※3)。天ぷらにして揚げるとカロリーは132kcalと大幅にアップするのだ(※4)。
糖質
生のナス1個に含まれる糖質は2.3gだ(※1)。茹でたナスに含まれる糖質は1.9gと、生より0.4g少ない(※2)。炒めると糖質は3.0gと、生より0.7gアップする(※3)。天ぷらにして揚げると糖質は8.1gと大幅にアップするのだ(※4)。低カロリーなイメージのナスでも、調理法によりカロリーはアップする。糖質の特徴は食物として身体に取り入れるとエネルギー源となる栄養だ(※5)。
ナスニン
ナスの皮には特有のポリフェノールである、ナスニンが豊富に含まれている。特徴は強い抗酸化力があり、注目されている栄養成分だ。また、ナスニンはアントシアニン系色素のポリフェノールで、眼精疲労の緩和にも効果が期待できる。ナスの栄養面での長所は皮に含まれるナスニンだ。なるべく皮を残して調理したい。
カリウム
生のナス1個に含まれるカリウムの量は176mgだ(※1)。茹でたナスに含まれるカリウムは144mgと、生より32mg少ない(※2)。炒めるとカリウムは232mgと、生より56mgアップする(※3)。天ぷらにして揚げるとカリウムは160mgと生より16mg少ない(※4)。カリウムの特徴は人体に必要なミネラルで、ナトリウムを排出する働きがあり、塩分の摂取過多を調節するうえで重要な栄養だ(※6)。また、カリウムは身体の熱を逃がす働きがあるため、夏バテ解消に食べることもある。一方、妊婦など身体を冷やしてはならない人は、ナスの食べすぎに注意すること。
食物繊維
生のナス1個に含まれる食物繊維の量は1.8gだ(※1)。茹でたナスに含まれる食物繊維は1.7gと、生より0.1g少ない(※2)。炒めると食物繊維は2.1gと、生より0.4gアップする(※3)。天ぷらにして揚げると食物繊維は1.5gと生より0.3gダウンする(※4)。食物繊維の特徴は食べ物の中に含まれており、人の消化酵素で消化できない物質だ(※7)。便秘予防のような整腸効果をはじめ、血液中のコレステロール濃度低下、血糖値上昇の抑制など、さまざまな生理機能が明らかになっている(※7)(※8)。
2. ナスの栄養を効率よく摂取するための調理方法

ここではナスの栄養を逃さない調理のコツを紹介しよう。
皮ごと調理する
先述したようにナスの皮にはナスニンが豊富に含まれているので、皮ごと調理するのがおすすめだ。もし皮が硬ければ、揚げるか蒸すと食べやすくなる。
油を使って調理する
ナスは油との相性がバツグンだ。天ぷらや中華風に炒めるなど、油を使う調理方法がおすすめ。油で切り口をコーティングすると成分の流出を防げるので、ナスニンのような栄養を留めておけるだろう。
スープや味噌汁の具にする
油を使用せずに栄養を逃さない調理法は、スープや味噌汁がおすすめだ。水に溶けやすいナスニンをスープに残せるため、効率的に栄養を摂取できるだろう。またナスは加熱するとやわらかくなるので、食べやすくなるのもメリットのひとつだ。
ナスを調理する際のポイント
身体の熱を逃がす作用をもつカリウムは、加熱することで働きが弱くなる特性がある。よって、夏の時期などに身体を冷やしたいときには漬物やサラダなどの火を通さない料理のほか、加熱を控えめにする。逆に、身体を冷やしたくなければ十分に火を通す焼きナス、天ぷら、炒め物などに料理するといった対応をするとよい。
また、ナスの栄養価は高くないと紹介したが、それを逆にする方法もある。体積が大きく、低カロリーのナスは体重管理食としても優れている。減量を考えている人は、食事に積極的にナスを取り入れると、満腹感を得つつカロリーの摂取を抑えられるだろう。
また、ナスの栄養価は高くないと紹介したが、それを逆にする方法もある。体積が大きく、低カロリーのナスは体重管理食としても優れている。減量を考えている人は、食事に積極的にナスを取り入れると、満腹感を得つつカロリーの摂取を抑えられるだろう。
3. ナスの栄養をしっかり摂るおすすめレシピ3選

ここではナスの栄養を逃さない、おすすめのレシピを紹介しよう。
ポン酢で味わう焼きナス
ナスはへたを切り落として縦半分に切り、皮に斜め5mmほどの切り込みを入れる。向きを変えて格子状に、5mmほどの切り込みを入れる。フライパンにごま油をひいて中火で熱し、ナスの皮を下にして並べる。焼き色が付いたら裏返してふたをし、弱火で5分ほどしんなりするまで蒸し焼きにする。最後に器に盛り付け、ポン酢しょうゆ・かつおぶし・細ねぎをかければ完成だ。油を使い皮ごと調理するので、栄養を逃さず美味しく味わえるだろう。
ナスの天ぷら
水・めんつゆ・大根おろし・小ねぎ・おろししょうがをボウルに入れて混ぜ、天つゆを作っておく。ナスはヘタを切り落として乱切りにする。ボウルに薄力粉・顆粒和風出汁・溶き卵・水を入れて混ぜ、ナスを加えて全体に絡める。フライパンに油を3cmほどの高さに注いで170℃に熱する。衣を絡めたナスを入れ、きつね色になるまで2分ほど揚げて油を切る。最後に器に盛り付け、天つゆを添えれば完成だ。好みで抹茶塩で食べても美味しい。
ナスのスープ
ナスはへたを切り落として薄切りにする。鍋にバターを入れて中火にかけ、溶け始めたらナスを加えて炒める。ナスがしんなりとしたら、水と固形ブイヨンを加えて煮立てる。塩こしょうで味を調え火を止める。最後に器に注ぎ入れ、みじん切りにしたきゅうりをトッピングすれば完成だ。熱々を食べても美味しいが、冷やして味わうのもありだ。
4. 美味しいナスの選び方と保存方法

最後にナスを選ぶときのポイントと保存方法を解説しよう。美味しいナス選びの基本は、鮮度にこだわることである。また、注目する点は3つある。
美味しいナスの選び方
- へたの切り口にみずみずしさが残り、棘が立っているか:採ってから日が経っていないことを示している
- 皮にハリとツヤがあるか:流通の過程で水分が飛んでいない証拠だ
- 表面に傷がないか:傷があると、傷口から水分が飛んだり、傷みやすくなる
ナスを冷蔵保存する方法
ナスは10℃前後の野菜室で保存するか、日陰のような涼しい場所で常温保存すればよい。野菜室に入れるときは新聞紙で包み、ポリ袋に入れること。ナスはもともと熱帯地域のインドが原産地で、低温が苦手である。あまり冷やしすぎるとナスが低温障害を起こし、タネが黒く変色してしまう(※9)。保存したナスは、なるべく早めに食べること。
ナスを冷凍保存する方法
冷凍保存するなら、揚げなすか焼きなすに調理して、冷凍室で保存するのがベターだ。生のまま冷凍できないことはないが、味と風味が落ちてしまう。もし生で冷凍保存するときは、煮物や煮込み料理に利用するのがおすすめだ。揚げるか焼いて冷凍したナスは、自然解凍やレンジで解凍すること。生で冷凍したものを解凍するときは、冷凍室から取り出し、そのまま調理に使用して構わない。
結論
ナスに含まれる栄養や、その栄養を効率よく摂取するための調理法、栄養を逃さないレシピ、美味しいナスの選び方を紹介した。ナスの特徴は焼いても揚げても汁物にしても美味しいところだ。せっかく食べるなら調理方法を工夫して、ナスの栄養を効率よく摂取しよう。
(参考文献)
※1 文部科学省「 野菜類/(なす類)/なす/果実/生」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06191_7
※2 文部科学省「野菜類/(なす類)/なす/果実/ゆで」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06192_7
※3 文部科学省「野菜類/(なす類)/なす/果実/油いため」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06342_7
※4 文部科学省「野菜類/(なす類)/なす/果実/天ぷら」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06343_7
※5 厚生労働省「炭水化物 / 糖質(たんすいかぶつ / とうしつ)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
※6 厚生労働省「カリウム(かりうむ)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※7 厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※8 厚生労働省「食物繊維(しょくもつせんい)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
※9 農林水産省「なすの保存方法」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2007/spe1_05.html
※1 文部科学省「 野菜類/(なす類)/なす/果実/生」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06191_7
※2 文部科学省「野菜類/(なす類)/なす/果実/ゆで」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06192_7
※3 文部科学省「野菜類/(なす類)/なす/果実/油いため」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06342_7
※4 文部科学省「野菜類/(なす類)/なす/果実/天ぷら」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06343_7
※5 厚生労働省「炭水化物 / 糖質(たんすいかぶつ / とうしつ)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
※6 厚生労働省「カリウム(かりうむ)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※7 厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※8 厚生労働省「食物繊維(しょくもつせんい)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
※9 農林水産省「なすの保存方法」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2007/spe1_05.html