1. モロヘイヤってどんな野菜?
モロヘイヤとは、アオイ科ツナソ属の植物の一種である。古代エジプトの頃から食べられていた野菜であり、エジプト王の不治の病が治ったという伝説から「野菜の王様」とも呼ばれている。日本に導入されたのは1980年代と比較的最近ではあるものの、簡単に栽培できることや栄養価が高いことからすぐに全国に普及。現在はスーパーや八百屋でもよく見かける野菜の一つとなった。
2. モロヘイヤの基本的な栄養価
「日本食品標準成分表」には、生モロヘイヤとゆでモロヘイヤの2種類の栄養価が収録されている。まずは基本となる「生モロヘイヤ」の100gあたりの栄養価を確認しておこう。
モロヘイヤの100gあたりの栄養価
・エネルギー:36kcal
・たんぱく質:4.8g
・脂質:0.5g
・炭水化物:6.3g
・脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.08g
・一価不飽和脂肪酸:0.03g
・多価不飽和脂肪酸:0.24g
・ビタミン
・βカロテン:10000μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:6.5mg
・ビタミンK:640μg
・ビタミンB1:0.18mg
・ビタミンB2:0.42mg
・ナイアシン:1.1mg
・ビタミンB6:0.35mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:250μg
・パントテン酸:1.83mg
・ビオチン:14μg
・ビタミンC:65mg
・ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:530mg
・カルシウム:260mg
・マグネシウム:46mg
・リン:110mg
・鉄:1mg
・亜鉛:0.6mg
・銅:0.33mg
・マンガン:1.32mg
・ヨウ素:4μg
・セレン:1μg
・クロム:2μg
・モリブデン:15μg
・食物繊維:5.9g
(・水溶性食物繊維:1.3g)
(・不溶性食物繊維:4.6g)
・たんぱく質:4.8g
・脂質:0.5g
・炭水化物:6.3g
・脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.08g
・一価不飽和脂肪酸:0.03g
・多価不飽和脂肪酸:0.24g
・ビタミン
・βカロテン:10000μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:6.5mg
・ビタミンK:640μg
・ビタミンB1:0.18mg
・ビタミンB2:0.42mg
・ナイアシン:1.1mg
・ビタミンB6:0.35mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:250μg
・パントテン酸:1.83mg
・ビオチン:14μg
・ビタミンC:65mg
・ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:530mg
・カルシウム:260mg
・マグネシウム:46mg
・リン:110mg
・鉄:1mg
・亜鉛:0.6mg
・銅:0.33mg
・マンガン:1.32mg
・ヨウ素:4μg
・セレン:1μg
・クロム:2μg
・モリブデン:15μg
・食物繊維:5.9g
(・水溶性食物繊維:1.3g)
(・不溶性食物繊維:4.6g)
3. モロヘイヤの特徴的な栄養素
前述のとおり、モロヘイヤはビタミン類・ミネラル類・食物繊維をバランスよく含んでいるだけでなく、それぞれの含有量も非常に多くて栄養価が優れている。そんなモロヘイヤの特徴的な栄養素を確認しておこう。
栄養素1.ビタミン類
モロヘイヤはビタミンDやビタミンB12は含んでいないものの、それ以外のビタミン類は多く含んでいる。ビタミンは種類によって働きが異なるが、健康を保つために必要な栄養素となっている。ここでは特に多いβカロテン、ビタミンE、ビタミンK の3種類について紹介しておこう。
【βカロテン】
モロヘイヤは、βカロテンを100gあたり10000μg含んでいる。これは一般的にβカロテンが多いとされている「ニンジン(皮付き/生)」の約1.45倍の数値だ。βカロテンは体内ではビタミンAに変換されて、目や皮膚の健康を保ったり、抵抗力を高めたりするという。また、βカロテンには、体内の活性酸素の働きを抑えたりする「抗酸化作用」という働きもある(※3、※4)。
【ビタミンE】
モロヘイヤは、ビタミンEを100gあたり6.5mg含んでいる。「抗酸化ビタミン」の一種として知られているビタミンEは、体内では活性酸素の働きを抑えたり、細胞内に過酸化脂質が作られるのを防いだりする働きを担っている。また、赤血球が壊れるのを防ぐ働きなども有している(※3、※4)。
【ビタミンK】
モロヘイヤは、ビタミンKを100gあたり640μg含んでいる。ビタミンKは、血液凝固や丈夫な骨を作るのに必要なビタミンとして知られている。また、動脈の石灰化を抑制する働きも有している。健康な人が通常の食事をしている分には、ビタミンKが不足することはないとされている(※3、※4)。
栄養素2.ミネラル類
モロヘイヤはカリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛といったミネラル類も多く含んでいる。ミネラル類は互いに影響を与えあいながら、身体を健康な状態に保つために働いている。このうちモロヘイヤはカルシウムやカリウムなどを多く含んでいる。
【カルシウム】
モロヘイヤは、カルシウムを100gあたり260mg含んでいる。一般的に小松菜はカルシウムが多い野菜として知られているが、その含有量は100gあたり170mgでありモロヘイヤのほうが約1.5倍多い。カルシウムは骨や歯の材料になるほか、神経興奮を抑えたり、血液凝固をサポートしたりしているという。なお、慢性的に不足すると骨粗しょう症などの原因になる可能性もある(※3、※4)。
【カリウム】
モロヘイヤは、カリウムを100gあたり530mg含んでいる。カリウムはナトリウムを排出し、細胞の浸透圧を調整したり、塩分の摂り過ぎを調整したりする働きがある。そのため、塩分摂取量の多い日本人にとっては重要な栄養素の一つとされている。なお、健康な人が通常の食事をしている分には不足する心配はないが、しっかりと摂るようにするのが重要だ(※3、※4)。
栄養素3.食物繊維
モロヘイヤは、食物繊維を100gあたり5.9g含んでいる。食物繊維は体内で消化・吸収されない物質ではあるが、腸の蠕動運動を活発にしたり、食後血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を低下させたりする働きがあるとされている。そのため、現在では「第六の栄養素」として重要視されている。現代人には不足気味の栄養素とされているので積極的に摂るようにしよう(※3、※4)。
4. ゆでると栄養素が流出してしまう?
「日本食品標準成分表」には、ゆでモロヘイヤの栄養価も収録されている。この100gあたりの数値を見ると、ゆでたモロヘイヤは水分量が多くて、全体的に栄養価が低くなっている。特に水溶性の栄養素であるカリウムやビタミンB群、ビタミンCなどの栄養価は大幅に減少しているので注意しよう。
モロヘイヤ(ゆで)の100gあたりの主な栄養価
・エネルギー:24kcal
・たんぱく質:3g
・脂質:0.4g
・炭水化物:4g
・βカロテン:6600μg
・ビタミンB1:0.06mg
・ビタミンB2:0.13mg
・ビタミンC:11mg
・カリウム:160mg
・食物繊維:3.5g
・たんぱく質:3g
・脂質:0.4g
・炭水化物:4g
・βカロテン:6600μg
・ビタミンB1:0.06mg
・ビタミンB2:0.13mg
・ビタミンC:11mg
・カリウム:160mg
・食物繊維:3.5g
5. モロヘイヤの栄養面に関するよくある質問
ここまでモロヘイヤの栄養価や栄養素を詳しく解説してきた。しかし、まだモロヘイヤの栄養面で気になることもあるだろう。そこで最後にモロヘイヤの栄養面に関するよくある質問に回答する。
Q1.モロヘイヤの糖質量はどれくらい?
「日本食品標準成分表」には、糖質量は記載されていない。しかし、100gあたりの炭水化物量が6.3gであり、食物繊維量が5.9gであることから、糖質量は0.4gと算出できる。「糖質量が少ない」といわれている野菜にはブロッコリー(1.5g)や白菜(1.9g)などがあるが、これらに比べてもモロヘイヤの糖質量は低い。そのため、モロヘイヤは糖質制限を行っているときにもおすすめの野菜といえる。
Q2.モロヘイヤは1日にどれくらい食べればいいの?
モロヘイヤの1日あたりの上限量は明確には決められていない。しかし、βカロテンが豊富なモロヘイヤは緑黄色野菜に分類されるため、厚生労働省が策定した「健康日本21」に従って(※5)、1日あたり120g以上食べるようにしよう。なお、食べ過ぎるとカリウム過多になる恐れもあるため、特に腎臓疾患などがある場合には注意するほうがよい(※6)。
結論
「野菜の王様」と呼ばれることもあるモロヘイヤは、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維を豊富に含んでいる健康野菜といえる。そのため、もしスーパーや八百屋などで見かけたら、栄養バランスを整えるために購入してみよう。なお、モロヘイヤは炒め物や和え物などさまざまな調理法で美味しく食べることができる。
【参考文献】
※1:JAグループ「モロヘイヤ」
※2:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
※4:e-ヘルスネット「トップページ」
※5:厚生労働省「健康日本21」
※6:腎臓ネット「C.食事中カリウム制限の実践と問題点」
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