1. レモンのカロリーと糖質

レモンはビタミンCの代名詞のようにいわれることが多いが、実際のところどんな栄養素が含まれているのだろうか?まずは、文部科学省「食品成分データベース」より、100gあたりのカロリーと糖質を紹介しよう(※1)。
レモン100gあたりのカロリーと糖質
- エネルギー:54kcal(26kcal)
- 糖質:7.6g(8.6g)
カッコ外は「レモン全果・生」、カッコ内は「レモン果汁・生」の数値だ。なお糖質は炭水化物量から食物繊維量を差し引いたものを掲載している。100gというと果肉を含めちょうど1個分ほどの大きさになるが、ではほかの果物と比較するとどうだろうか?同じく文部科学省「食品成分データベース」の数値を紹介しよう。
そのほかの果物100gあたりのカロリーと糖質
- オレンジ(ネーブル):46kcal 、10.8g
- グレープフルーツ(白肉種):18kcal、9.0g
- ゆず(果汁):21kcal、6.6g
- ライム(果汁):27kcal、9.1g
- シークヮーサー(果汁):25kcal、7.6g
- レモン(全果):54kcal、7.6g
- レモン(果汁):26kcal、8.6g
オレンジやグレープフルーツは砂じょう(砂嚢=ふだん食べている部分)、それ以外は果汁のため単純比較はできないが、果汁に関していえばレモンもほかの果物もそれほど大きな差はない。だがトータル的に見ると、レモンはやや高カロリー・低糖質な果物といったところだろう。
2. レモンの主な栄養一覧

続いて、レモンに含まれるカロリーと糖質以外の栄養素を見てみよう。ビタミンC以外にも体にうれしいさまざまな栄養素が含まれていることがわかるはずだ。以下は、同じく文部科学省「食品成分データベース」を参照した。
レモン100gあたりの主な栄養一覧
- 水分:85.3g(86.8g)
- たんぱく質:0.9g(0.9g)
- 脂質:0.7g(0.1g)
- 炭水化物:12.5g(11.8g)
- ミネラル
└ナトリウム:4mg(1mg)
└カリウム:130mg(180mg)
└カルシウム:67mg(24mg)
└マグネシウム:11mg(9mg)
└リン:15mg(22mg)
└鉄:0.2mg(0.2mg)
└亜鉛:0.1mg(0.1mg)
└銅:0.08mg(0.06mg)
└マンガン:0.05mg(0.06mg) - βカロテン:7μg(23μg)
- ビタミンE(トコフェロールα):1.6mg(0.3mg)
- ビタミンB群
└B1:0.07mg(0.07mg)
└B2:0.07mg(0.04mg)
└ナイアシン:0.2mg(0.3mg)
└B6:0.08mg(0.06mg)
└葉酸:31μg(34μg)
└パントテン酸:0.39mg(0.28mg)
└ビオチン:1.2μg(0.6μg) - ビタミンC:100mg(60mg)
- 食物繊維
└水溶性:2.0g(0.4g)
└不溶性:2.9g(0.6g)
同じくカッコ外は「レモン全果・生」、カッコ内は「レモン果汁・生」を表したものだ。たしかにビタミンCは豊富に含まれているが、それ以外にもカリウムや、上記一覧にはないがクエン酸、ポリフェノール、そしてリモネンといった栄養素が豊富に含まれている。
3. レモンの栄養から期待できる効果・効能

お分かりのように、レモンにはビタミンC以外にも体が喜ぶさまざまな栄養素が含まれている。主な栄養素の特徴や、期待できる効果・効能などを詳しく解説しよう。
ビタミンC
レモンに豊富に含まれるビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須な水溶性ビタミンの一種だ。抗酸化作用をもち、ビタミンEと協力して有害な活性酸素から体を守る働きがある(※2)。また、病気などいろいろなストレスへの抵抗力を強めたり、鉄の吸収を良くする働きもあるといわれている。
カリウム
ナトリウムを排出する働きがあり、塩分の摂り過ぎを調節するために重要な役割を担うミネラルの一種だ。ほかにも、細胞内液の浸透圧を一定に保つための調節をしたり、神経の興奮性・筋肉の収縮などにも関わっている。不足すると食欲不振や脱力感といった症状を招くことがある(※3)。
クエン酸
レモンの独特の酸っぱさを生み出している成分だ。肉体疲労や精神疲労でダメージを受けた細胞を修復するために必要な「ATP」と呼ばれるエネルギー物質を作るのに役立つとされる。疲労回復のほか、血流の改善や代謝の促進、美肌効果なども期待できる(※4)。ビタミンCとクエン酸の効果を高めるにはまとめて摂るのではなく、数回に分けて摂取するとよい。
ポリフェノール
微量なら体に有益なものの、大量に発生すると動脈硬化やがん、老化や免疫機能の低下などを招くとされるのが活性酸度だ。ポリフェノールは、カロテノイド(βカロテンなど)と並び、その活性酸素の働きを抑制したり、活性酸素そのものも取り除いたりする「抗酸化物質」のひとつである(※5)。
リモネン
柑橘類の果皮に豊富に含まれる香り成分である。リラックスやダイエット、食欲増進といった効果のほか、抜け毛の防止や育毛を促進する効果なども期待されている。また、その香りにはリラックス効果もあるとされる。
4. レモンの旬や選び方、保存方法

せっかくレモンを買うなら、より新鮮なものを選びたいところだろう。目利きのポイントや、鮮度をキープするための正しい保存方法をお伝えする。
主な産地と旬
レモンは湿度が高いと病気になりやすく寒さにも弱い。そのため日本における産地といえば瀬戸内海に面した広島県や愛媛県などが中心だ。国内産の旬は冬で、10〜11月頃から収穫が始まり、黄色に色づいたレモンが市場に多く出回るのは1〜4月頃である。ただしアメリカ・カリフォルニア州などからの輸入ものも多く、こちらは通年手に入る。
選び方
新鮮なレモンは見た目である程度絞り込める。形がよく皮にみずみずしさがあり、ハリとツヤがあるものを選ぼう。皮に弾力がないものや、色むらのあるものは避けたほうがよい。また軸(枝から切ったところ)が緑色で、手にしたときにずっしりと重みを感じるものがおすすめだ。
保存方法
数日から1週間ほどで使い切るなら常温の冷暗所で保存してもよいが、冷蔵庫に入れておけば1カ月ほどは持つ。ただしその際、乾燥するとレモンのみずみずしさが失われてしまうため注意しよう。ラップに包むかポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室へ入れるのが基本だ。またカットしたレモンは、切り口が空気に触れないようにとくに注意し、短期間でも必ず冷蔵庫に入れておこう。
冷凍保存も可能
果汁を料理に使いたいときなどは冷凍もおすすめだ。串切りや輪切りにカットしたレモンを、ジッパー付きのフリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存しよう。しぼり汁を保存したいときも、小分けにして密閉容器に入れて冷凍したほうが使いやすい。ただし、カット済みのレモンやしぼり汁はできるだけ早めに使うことを心がけよう。
5. レモンの栄養を効率よく摂るおすすめの食べ方

レモンを毎日の生活に取り入れ、栄養を効率よく摂取するための食べ方を最後に紹介しよう。
飲み物
- はちみつレモン
- レモンスカッシュ
- ライターレモンティー など
スライスしてお湯を注ぐだけでホットレモンになり、冷たい水に浮かべればさっぱりした飲み物にもなる。はちみつやメープルシロップなどで甘みをプラスすれば、酸味が苦手な子どもでも食べやすくなるだろう。
料理
- レモンクリームパスタ
- 鮭のムニエルレモンソース添え
- シーフードパエリア など
料理にレモンを使うと、魚など生臭さが気になる料理も食べやすくなりおいしさが増す。ほんの少しレモンをしぼるだけで、レモンの香りや酸っぱさが料理のアクセントにもなるのだ。
菓子類
- レモンケーキ
- スフレ
- クッキー など
果肉だけでなく、皮もぜひ薄くピールして使ってみてほしい。レモンの皮にはビタミンCが豊富に含まれているため、ピールしたり丸ごとすりおろしたりして使えば、貴重な栄養源としてだけではなく、レパートリーも広がるはずだ。
その他
- レモンのはちみつ漬け
- レモンママレードジャム など
上記は一例だが、このようにレモンは果肉も皮もいろいろな料理や菓子作りに使うことができる。ほかにも、カット済みのリンゴやアボカドなどにレモン汁を振りかけておくと、保存中の変色防止にもなるなど汎用性が高いのも魅力だ。
結論
レモンはビタミンCのみならず、カリウム・クエン酸・ポリフェノール・リモネンなど体が喜ぶ栄養素が豊富に含まれている。とくに果皮もピールすればリモネンなどの栄養をたっぷりいただける。残留農薬や添加物が気になる方は、国産や無農薬などを選ぶとよいかもしれない。
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl - 2:厚生労働省「抗酸化ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html - 3:厚生労働省「カリウム _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html - 4:農林水産省「特集2 香酸かんきつ(1)」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1701/spe2_01.html - 5:厚生労働省「抗酸化物質 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html