冷蔵庫に保存はおすすめしない！じゃがいもの保存法や下処理法

じゃがいもは、日本の家庭料理を支える頼もしい存在。長期保存が可能なこともあり、一年を通して流通しており、価格の変動も少ない家計に優しい野菜だ。煮っころがしやカレーなど、日本独特の料理はもちろん、ポテトフライやビシソワーズ（じゃがいもの冷製スープ）...など、洋風料理にも大活躍。主張しすぎない味が、広く調理されるポイントだ。

じゃがいもの歴史は、とにかく古い。原産地は南米アンデスからメキシコにかかる高原地帯。紀元後500年頃から栽培され、世界遺産である空中都市マチュ・ピチュの段々畑でも栽培しされていたようだ。ただ、当時は食中毒を起こすことも多く、評判はあまりよくなかったようで、食用というよりは、観賞用として育てられることが多かったようだ。食用として普及したのは、18世紀に入ってからである。

慶長3年（1598年）にオランダ人が長崎に持ち込んだのが最初だとされている。日本でも同様に、長く観葉植物として栽培されていた。食用として本格的に栽培されるようになるのは、明治以降。北海道の開拓とともにその歴史を歩むことになる。

じゃがいもは、光に当たり、光合成することで芽が出たり、緑化したりする。するとソラニン、チャコニンという毒素が増加してしまうのだ。ちなみに陽の光はもちろん、蛍光灯などの光にも反応するので、注意が必要。

春先など、新じゃがの季節にたくさんじゃがいもを買ったら、ダンボールや麻や紙の野菜袋に入れて保存するのがオススメ。基本的に収穫後、2~4ヶ月は萌芽することはないが、りんごを一緒に保存するとさらに萌芽を抑制することができる。これは、りんごから出るエチレンガスが関係しているよう。

泥付きで売られていることの多いじゃがいも。保存の際にも、洗うことはなくそのまま泥付きで保存するのが正解。食べる直前に、泥を落とすのが正解だ。泥は手で落とすこともできるが、野菜用のたわしがあると便利。

包丁を使う際は、最初に上部をやや厚めに剥き、そのあとは縦に剥いていく。ピーラーの場合は、上下にピーラーを動かして剥いていく。もし変色している部分があったら、その部分は特に特に厚く剥くことをオススメする。なぜなら、その部分は前述の毒素が多く含まれているから。剥くよりも削ぎ落とす、そんなイメージで行うのが正解。

じゃがいもの芽には、ソラニン、チャコニンという毒素が多く含まれている。食中毒を起こす危険のある毒素なので、念入りに取るのが正解である。包丁の場合は、持ち手に近い部分を使って、円を描くように取り除くといいだろう。ピーラーの場合は、芽を取る専用のパーツがついているものもある。この時、重要なのは、芽だけを取り除くのではなく、芽を含んだ周辺一体を取り除くということ。勿体無い、という声が聞こえそうだが、芽の周辺にも毒素は多く含まれているので、ここは思い切りよく行くのが吉だ。

家庭の人気野菜じゃがいも。そもそも観葉植物として多く用いられていたとは、驚きである。冷暗所で保存し、毒素の強い芽や変色部分をきちんと取り除いて食べることが何より大切。さらに切ったものを水にさらす、さらに毒素が排出される。これらの下処理は、食中毒の観点からはもちろん、美味しさの面からも重要。きちんとした下処理を行って、安全にじゃがいもを食べよう。