1. じゃがいもについて

じゃがいもは、玉ねぎやニンジンと同様に家庭料理によく使われる野菜である。揚げても煮ても焼いても美味しく、塩・しょうゆ・カレーなど味付けの幅も広い。よく食べるが実はあまり知られていないじゃがいもの特徴について見ていこう。
じゃがいもは世界中で作られている
じゃがいもの栽培には、一般的には温帯性気候が適している。しかし、15~21度ほどの冷涼な気候でも問題なく育つうえ硬く痩せた土地でも栽培できるため、世界中の様々な場所で作られている。じゃがいもの産地をチェックすると気候条件の異なる場所が多いのは、このようにじゃがいもが一定の条件下でなくとも栽培可能だからだ。世界でもっとも消費されている野菜はケチャップなどの加工食品としても使われるトマトだが、イモ類も消費量・生産量ともに多く、日本だけでなく世界でもっとも食べられている野菜のひとつである。そして、数あるイモの中でもっとも生産量が多いのがじゃがいもだ。
じゃがいもは栄養満点!
じゃがいもには、"美肌の栄養素"と呼ばれるビタミンC、便秘を解消して腸内環境を整えるダイエッターの味方である食物繊維、多くの女性を悩ませるむくみを解消して高血圧予防にも効果のあるカリウム、胃腸を元気にするビタミンB1やナイアシンなど様々な栄養素が含まれている。じゃがいもの魅力は料理のバリエーションや美味しさだけではなく、健康・美容・ダイエットに効果のある栄養素にもあるのだ。
2. 「男爵」と「メークイン」、シチューに向くのはどっち?

「シチューやカレーのじゃがいもが解けすぎてドロドロになってしまった...」「肉じゃがのじゃがいもが煮崩れして小さくなりすぎてしまった...」「ホクホクのポテトサラダになるはずがねっとりしてしまった...」これらは日常的に起こるじゃがいも料理あるあるだが、なぜこのようなことが起こるのだろう。答えは簡単、適さない料理に使っているからである。じゃがいもには、品種ごとに適した料理や調理法がある。しかし、「今日はシチューを作るからこの品種にしよう」と考えて品種を選ぶ人は多くはない。これが失敗の原因なのだが、言い換えれば、適した品種を選ぶだけで失敗せず美味しく仕上がる可能性が高くなるということである。じゃがいもの二大品種「男爵」と「メークイン」の特徴と適した料理を紹介する。
男爵
- 川田龍吉男爵が明治時代にイギリスから日本に持ち込んだ
- 全国でもっとも多く作られている
- じゃがいもらしいホクホクとした食感が強い
- 煮崩れしやすい
- 芽の部分の窪みが大きく、全体的にでこぼこしている
- 東日本でよく食べられている
- 貯蔵に向く
- 粉ふきいも、コロッケ、マッシュポテト、ポテトサラダなどに向く
メークイン
- 大正時代にイギリスから持ち込まれた
- 男爵に次いで人気のある品種
- ねっとりしている
- 煮崩れしにくい
- 芽が浅くて凹凸が少なく、皮を剥きやすい
- 西日本でよく食べられている
- 貯蔵可能、貯蔵すると甘みが増す
- シチュー、カレー、肉じゃがなど煮込み料理やフライドポテトに向く
3. 男爵・メークイン以外の種類

じゃがいもの品種をどれだけご存知だろうか。地域にもよるが、一般的なスーパーでよく見かけるじゃがいもは「男爵」と「メークイン」の2種類だろう。しかし、じゃがいもの品種は非常に多く、農林水産省のデータによると、約100種類のじゃがいもが品種登録されている。男爵とメークイン以外の主な品種と特徴をチェックしよう。
キタアカリ
- 「男爵」を母体とする品種
- 果肉の黄色が強い
- ビタミンCが豊富
- 味の評判が高い
- 成長が早く、収穫量も多い
- 粉ふきいも、マッシュポテト、ポテトサラダに向く
インカのめざめ
- 独特の味を持つアンデス産のじゃがいもとアメリカの品種を交配し、日本で栽培できるように開発された品種
- サツマイモや栗のような強い甘み
- 収穫量が少なく値段が高め
- 焼酎の原料となる
- ポテトチップス、フライドポテト、スイーツ(アイスクリーム、甘納豆、ケーキなど)に向く。煮物にも良いが、独特な風味を持つため好みによる。
とうや
- 北海道農業試験場で育成され、品種登録は1995年
- 果肉の黄色が強い
- カロテンとビタミンCを豊富に含む
- 芽が浅く、皮を剥きやすい
- 大きく育ち、業務用にも使われる
- 成長が早い
- 煮物、スライスサラダ、リヨネーズポテトに向く
結論
じゃがいもの品種とその特徴、そして適した料理について解説した。「今日のシチューはじゃがいもが溶けてドロドロだ~」ということにならないよう、料理ごとに適した品種を選ぼう。ちなみに、カレーのじゃがいもを潰すと、味がマイルドになって食べやすくなる。カレーが辛すぎるときには試してみよう。
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