目次
1. ささがきとは?

ささがきとは野菜の切り方の一つで、棒状の細長い野菜を削るように薄く小さく切る方法である(※1)。漢字で「笹掻き」と書くことからもわかる通り、笹の葉のような見た目をしている。切った野菜は薄く表面積が広いため、味が染み込みやすくなることが特徴。また、斜め切りなどに比べて、風味や食感もよい。にんじんやウドなどにも用いるが、一番有名なのは「ごぼうのささがき」である。
2. ごぼうのささがきの基本的なやり方とポイント

包丁やピーラーを使った具体的なささがきのやり方を説明する前に、まずはごぼうの下ごしらえ・ささがき・あく抜きのやり方を確認しよう。また、それぞれのポイントについても確認しておこう。
- ごぼうの泥を洗い、皮を包丁の背でこそぎ取る(削り取る)
- ごぼうの根部分を切り落として、側面四か所に切れ込みを入れる
- 左手を順手にして握り、先端だけまな板につくよう角度をつける
- ナイフで鉛筆を削るように、右手に持った包丁でごぼうを削る
- 左手を回転させながら、必要な分だけごぼうのささがきを行う
- 水に5分程度さらしてあく抜きをしたら、ザルに上げて完成
ポイント1.ごぼうはタワシで横向きに洗おう
ごぼうの下ごしらえでは「どの程度、皮をこそぎ取るのか」が重要になる。実は、ごぼうの風味は皮のほうが強いため、皮を削りすぎると風味が落ちてしまう。一方、皮を残しすぎると泥臭さが強くなってしまうのだ。ちょうどよくごぼうの皮を残すためには、きれいなタワシで洗うのがおすすめ。横向き(繊維を断つ方向)にこすれば、適度に皮を残したまま泥や汚れだけをきれいに落とせる。
ポイント2.ささがきはまな板の上で行おう
ごぼうのささがきは、水を張ったボウルの上などでも行うことができる。しかし、宙に浮いた状態だと切るときに安定しないため、まな板の上で行うほうがよい。また、先述の流れでは「ごぼうを左手に持って行う」と説明したが、細いささがきにしたいときは「まな板に押さえつけて行う」のがおすすめだ。包丁の切っ先のほうでごぼうを削るようにすると、細いごぼうのささがきができる。
ポイント3.あく抜きには水道水を使おう
ささがきしたごぼうは、色が変わりやすいため早めに水にさらしたほうがよい。色が変わってしまう理由は、ごぼうに「クロロゲン酸(ポリフェノールの一種)」が多く(※2)、このポリフェノールが酸化してしまうからだ。酸化を防ぐ方法はいくつかあるが、その一つが水にさらす「あく抜き」である。なお、酢水にさらせばごぼうを白くできるが、風味が落ちてしまうため水道水のほうがよい。
3. 包丁を使ったごぼうのささがきのやり方

ごぼうのささがきは、包丁を使って行うことが多い。厚さを自由に調整できる利点があるが、扱いが難しいことが欠点である。扱いが難しい理由は「両手が宙に浮いており安定しないこと」が関係している。そこでこの欠点を解消するための「ごぼうのささがきをのやり方」を紹介する。
その1.ごぼうを固定させるやり方
ごぼうを持っている左手を固定させることで、安定感が増して簡単にささがきができる。固定のさせ方は、左手の中指や薬指の爪側をまな板に付けるというもの。そして、その状態で右手に持った包丁をやや寝かせてささがきを行えばよい。宙に浮かせて行う場合に比べて、簡単にささがきができる。
その2.包丁を固定させるやり方
通常とは異なり、左手に包丁を持ってささがきを行うやり方もある。包丁の刃を奥に向けて、角度を調整してから固定する。それから右手に持ったごぼうを回しながら削っていけばよい。包丁を固定させることで、さらに安定性が増して切りやすくなる。なお、手を前に出しすぎないよう注意しよう。
4. ピーラーを使ったごぼうのささがきのやり方

ごぼうのささがきは、ピーラーを使って行うこともできる。厚さの調整はできないが、素早く均一な大きさに切れるのがメリットだ。下ごしらえのやり方は包丁でのやり方と共通しているので、皮をこそぎ取ったり、側面に切れ目を入れたりしてから、ピーラーでごぼうのささがきを行おう。
ごぼうを押さえつけて行うやり方
ピーラーでごぼうのささがきを行う場合は、左手でごぼうをまな板に押さえつけて行うとよい。その状態でごぼうの先のほうをピーラーで削る。それからごぼうを回転させて、また削っていこう。もし削りにくいなら、ごぼうの先端のほうに割りばしを敷くとよい。より簡単に削れるようになる。
5. ささがきごぼうを使ったおすすめ料理

ささがきごぼうは王道のきんぴらをはじめ、炊き込みご飯、サラダ、味噌汁・豚汁、鍋料理など、さまざまな料理に使うことができる。ここではささがきごぼうを使った料理を三種類紹介する。
きんぴらごぼう
ささがきごぼうや千切りにしたにんじんなどを醤油や砂糖で甘辛く炒めた料理だ。油でごぼうとにんじんを炒めてから、醤油・砂糖・みりん・だしを加えて炒り煮しよう。最後に白いりごまを振りかければ完成だ。ごぼうを使った定番のお惣菜であり、ごぼうの風味や食感を楽しめる料理といえる。
ごぼうのサラダ
ごぼう・にんじん・きゅうりなどを合わせたシンプルなサラダもおすすめだ。事前にささがきごぼうと千切りにしたにんじんは茹でて、しっかりと水気を切っておこう。それからボウルにごぼう、にんじん、千切りにしたきゅうりを入れてマヨネーズを絡めれば、ごぼうのサラダが完成する。
味噌汁・豚汁
ささがきごぼうは、味噌汁や豚汁の具材にもおすすめ。味噌汁の場合は、お湯を沸かした鍋にごぼうを入れて一煮立ちさせる。それから味噌を溶いたら完成だ。また、豚汁の場合は豚肉を炒めてから、にんじん、大根、じゃかいも、ごぼうなどを加えて炒める。それからあくを取りつつ、味噌で味付けしたら豚汁が完成する。ごぼうを入れることで、風味豊かなおいしい味噌汁・豚汁を作れる。
6. ささがきごぼうの保存方法!冷凍は可能?

余ってしまったささがきごぼうは、冷蔵保存または冷凍保存しよう。2~3日以内に使うなら冷蔵保存でよいが、しばらく使う予定がないなら冷凍保存がおすすめだ。それぞれのやり方を確認しよう。
ささがきごぼうを冷蔵庫で保存する
密閉容器やボウルにささがきごぼうを入れて、十分に浸かるだけの水(酢水)を加えて保存しよう。この状態なら2~3日程度は保存がきく。ただし、保存期間が長引くほど、ごぼうの栄養が水に逃げてしまう。水に浸して冷蔵保存する場合は、できる限り早く使いきるほうがいいだろう。
ささがきごぼうを冷凍庫で保存する
あく抜き後のささがきごぼうを冷凍保存する方法には、「生のまま保存する方法」と「茹でてから保存する方法」がある。生のままだと手軽だが、茹ででからだと風味や食感が維持しやすい。いずれもキッチンペーパーで水気を切ってから冷凍するのがポイントだ。金属のトレイに並べて冷凍すると急速に冷凍できるのでおすすめ。冷凍したらラップなどに小分けするとよい。1か月程度保存がきく。
結論
笹の葉のような形に切る「ささがき」は、ごぼうを調理する際に役立つ切り方である。ただし、慣れないうちは難しいことも多い。必ずしも包丁を使って行う必要はないので、ピーラーを使うなどしてやりやすい方法でごぼうのささがきを行うといいだろう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「調理室における衛生管理&調理技術マニュアル」
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1306690.htm - ※2:長崎女子短期大学紀要「調理操作によるポリフェノール量の変化」
http://www3.nagasaki-joshi.ac.jp/disclosure/article/ar36/ar36-08.pdf
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