1. 肉の部位が違う

豚肉には様々な部位があるが、ハムとベーコンでは使っている部位が違う。そしてなんと、ハムは日本独自の特殊な発展を遂げていた。
実は日本だけ⁉ロースハム
ハムは世界的に見るとモモ肉が主流だ。英語では「ham=もも」。世界的に見るとモモ肉で作られたボンレスハムや骨付きハムが主流で、バラ肉はベリーハム、肩ロースはショルダーハムと呼ばれる。日本はボンレスハムより圧倒的にロースハムが多いが、実はロースハムは日本で生まれた日本独自のハムである。このため世界的な市場にロースハムはあまり出回らない。
ベーコンはバラ肉
ハムが様々な部位を使うのに対し、ベーコンは基本的にバラ肉のみだ。たまに肩ロースでショルダーベーコンがあるのだが、ハム同様英語で「bacon=バラ肉」のこと。脂身の多いバラ肉がベーコンには最適のようである。
2. 製造方法の差

豚肉の部位の他、ベーコンとハムでは製造方法も若干異なる。
ハムは形が重要
ハムはベーコンと違って製造までの過程が多く、比較的手間のかかる加工食肉だ。まず豚肉の塊を塩漬けし、熟成する。この段階で型に詰めることもある。燻製した後、紐やタコ糸で縛ったり布で包む「ケーシング」で形を整える。その後ボイルして冷却し、ハムの出来上がりだ。ハムと言えばタコ糸のイメージだが、腸詰めにしたり糸で縛って「形を作る」のがハムの製造過程上重要なのである
ベーコンはやや単純
ハムと生ハム、名前は似ているのだが、実はベーコンの方が生ハムに近い製造方法だ。名前だけで判断していると不思議な事実である。ハムがボイルで加熱するのに対し、ベーコンは非加熱でボイルしないのである。燻製するのでもちろんそのまま食べられるが、塩漬けした後は熟成と燻製のみで、改めてボイルで加熱したりはしていない。
3. 料理に使う時は

ベーコンもハムも再加熱せずそのまま食べられるとはいえ、やはり手を加えた方が美味しく頂ける。それぞれ美味しさを引き出す調理法が異なるので、ポイントを押さえて料理に活用しよう。
ハムはそのままでもOK
ベーコンより脂肪分が少なく食感もしっとりしているのが特徴なので、サラダやサンドイッチに加熱せずそのまま使える。彩りを活かして冷やし中華に乗せたり、厚切りでステーキやハムカツに使う方法もあるだろう。塊状態で買ってきたハムは、基本的に薄切りのベーコンとちがって色々な形で料理に使えるため面白い使い方が出来る。炒め物に使う時はサイコロカットするといいだろう。
ベーコンは味にコクが出る
そのままでも食べられるが、やはり脂が気になってしまうベーコンは、基本加熱調理向きだ。豚の脂は加熱すると溶け出し、料理にコクとうま味をプラスする。先に加熱すればベーコンから溶け出した油を利用できるので、わざわざ油を用意しなくても大丈夫だ。野菜や他の具と炒めると燻製と脂の香りが移って最高である。スープに入れた時やカリカリに焼いた時のコクはベーコンならではで、淡泊なハムとは違った味わいである。
結論
部位の違い、製造方法の違いはもちろん、よく考えてみると味わいや食感が全く違うハムとベーコン。脂肪分の特に少ないロースハムは日本独自だが、これはその昔日本の中華街でバラ肉やモモ肉ばかりが消費され、淡泊なロース肉が売れ残ってしまった為に考え出されたのだそうだ。あっさりした味わいのロースハムは偶然の産物とはいえ、コクのあるベーコンと好対照。たまにはハムエッグとベーコンエッグの両方を作り、家族皆で朝食に食べ比べてみよう。