1. 里芋の栄養や旬は?下ごしらえの前におさらい
「いも煮会」などの主役となる里芋は、古くから日本人に親しまれている食材だ。数あるいも類の中でも低カロリーで水分が多く含まれている。そんな里芋の栄養や旬の時期について、下ごしらえの前におさらいしておこう。
カリウム(※1)が多く含まれている
里芋の代表的な栄養素といえばカリウムだろう。塩分(ナトリウム)を排出する作用や、細胞内液の浸透圧を調整する働きがある、ヒトの体に欠かせないミネラルの一種だ。生の里芋100gあたりカリウムが640mgも含まれているという。これは、いも類の中でもトップクラスの含有量である。
ちなみに里芋を下ごしらえする際、独特のぬめりを感じられるはずだ。これはガラクタンと呼ばれる、水溶性の食物繊維が豊富に含まれているためである。
ちなみに里芋を下ごしらえする際、独特のぬめりを感じられるはずだ。これはガラクタンと呼ばれる、水溶性の食物繊維が豊富に含まれているためである。
旬は9月頃
主に、東北地方で秋に行われる「いも煮会」や、「いも名月(陰暦8月15日夜の月=2020年は10月1日)」などで主役となることからも分かるように、里芋の旬は9月頃だ。通年見られる土垂(どだれ)やセレベスといった品種もあるが、これは前年初秋〜11月頃に収穫したものを翌年夏頃まで土の中で保存しているためだ。下ごしらえの前に、ちょっとした豆知識として覚えておこう。
2. 里芋の下ごしらえの手順!ぬめり取りのコツも
里芋の下ごしらえのやり方を、洗い方から順に説明していく。
洗い方
まずは里芋をよく流水で洗っていく。泥が付いている場合は、流水にさらしながらたわしを使って落としていこう。洗ったら水気をよく切ってザルにあげ、乾かしておく。濡れていると包丁や手が滑るなどして危険なので、しっかり拭き取って乾かすのがポイントだ。
皮の剥き方
里芋の頭とお尻を切り落とし、包丁で皮を剥いていこう。やや厚めを意識するのがポイントだ。なお皮を剥くときは、できるだけ濡らさないようにしよう。滑るのを抑えるのもそうだが、里芋に含まれるシュウ酸の針状の結晶が流出しにくくなり、手のかゆみを防ぐことができるからだ。
ぬめりの取り方
- 鍋に、里芋がしっかりかぶる程度に水を入れて火にかけておく
- 皮剥きまで済ませた里芋をボウルに入れる
- 里芋に塩をまんべんなくまぶし、手で転がしながら揉んでいく
- そのまま沸騰した鍋の中へ入れ、中火で5〜10分ほど茹でる
- ボウルに水をはって里芋を移し、手で洗うようにぬめりを落としていく
- ザルにあげて水気をしっかり切ったら完了
里芋の下ごしらえの中でも面倒に感じるのがぬめり取りだろう。ぬめりは、煮物のふきこぼれや煮汁が濁る原因になるばかりでなく、味の浸透や熱伝導を妨げ仕上がりに影響を及ぼすこともある。そのため、里芋を含め煮などに使うときはぬめりを取る作業が必要だ。
味噌汁や煮ころがしは塩もみの下処理まででもよいが、炊き合わせや含め煮など、煮汁を濁らせたくないときはゆでこぼしを行おう。ぬめりが取れて美しく仕上がる。ここまでが里芋の下ごしらえだ。
味噌汁や煮ころがしは塩もみの下処理まででもよいが、炊き合わせや含め煮など、煮汁を濁らせたくないときはゆでこぼしを行おう。ぬめりが取れて美しく仕上がる。ここまでが里芋の下ごしらえだ。
3. 里芋の選び方!下ごしらえと一緒に覚えておこう
ここまで里芋の下ごしらえについて解説してきた。里芋は比較的日持ちする根菜ではあるが、鮮度の高いものを選びたいところだろう。続いて、スーパーなどで選ぶときの目利きポイントをまとめたので参考にしてほしい。
里芋を選ぶときのポイント
- ふっくらと丸みがある
- 表面に傷やヒビの入っていない
- 皮が茶色い
- 皮がむいてある場合は表面が白い
- ほんのりと湿気があり乾いていない
- 手に持ったときに硬くてずっしりと重みを感じる
- カビ臭などがしない
- 泥がついている
下ごしらえとあわせて覚えておきたい、里芋選びのポイントだ。古くなってくると表面が黒っぽくなるため、皮は茶色のものがおすすめだ。皮が剥かれている場合は表面が白いものを選ぼう。赤く変色しているものは、里芋に含まれるポリフェノールが酸化して鮮度が落ちているサインと捉えてよい。食べられるが風味が落ちている。
なお里芋は乾燥が苦手ため、明らかに乾いていそうなものは避けたほうがよい。ただしビニール袋の中で、蒸れて水滴がついているようなものもできれば避けよう。そのほか皮が余っているもの、ふわふわと柔らかいもの、軽いものは傷んでいる可能性が高い。カビ臭いものも古くなっているため買うのは控えよう。
ちなみに、キレイに洗ってあるものより泥がついているものの方が、鮮度は高いとされる。せっかく下ごしらえを身につけるのだから、こうした目利きポイントもぜひ覚えておこう。
なお里芋は乾燥が苦手ため、明らかに乾いていそうなものは避けたほうがよい。ただしビニール袋の中で、蒸れて水滴がついているようなものもできれば避けよう。そのほか皮が余っているもの、ふわふわと柔らかいもの、軽いものは傷んでいる可能性が高い。カビ臭いものも古くなっているため買うのは控えよう。
ちなみに、キレイに洗ってあるものより泥がついているものの方が、鮮度は高いとされる。せっかく下ごしらえを身につけるのだから、こうした目利きポイントもぜひ覚えておこう。
4. 里芋を下ごしらえせずに保存する方法
最後に、里芋を下ごしらえせずに保存する方法もお伝えしておく。里芋の原産地は諸説あるが、インドからマレー半島にかけての東南アジアといわれている。そのため寒さや乾燥に弱い食材である。
里芋は常温保存が基本
里芋を下ごしらえせずに保存する際は「常温」が基本だ。生の状態で冷蔵庫に入れたり寒いところに置いたりすると低温障害を起こし傷みやすくなる。切ったときに断面に見える赤い筋や、シャリシャリとした食感が症状として現れたら低温障害の可能性が高い。見栄えも味も悪くなってしまうので気をつけよう。
泥がついたまま新聞紙などで包む
たとえ常温でも、表面についた泥を洗い落としてから保存すると、乾燥して傷みやすくなる。加えてカビが生えやすくなり保存期間も短くなってしまう。泥がついたまま新聞紙やキッチンペーパーなどで包み、夏場は風通しのよい冷暗所で、冬場は10~25℃くらいの直接日光が当たらない場所で保存しよう。
すでに洗った里芋は、ある程度乾かしてから新聞紙やキッチンペーパーで包み、冷暗所か野菜室へ入れよう。ただしこちらは保存期間も短くなるので、早めに使い切ることを心がけてほしい。
すでに洗った里芋は、ある程度乾かしてから新聞紙やキッチンペーパーで包み、冷暗所か野菜室へ入れよう。ただしこちらは保存期間も短くなるので、早めに使い切ることを心がけてほしい。
下ごしらえをした里芋は冷凍保存も可能
せっかくなので、下ごしらえが済んだ里芋の保存方法もお伝えしておく。下茹でしたあと、水気をよく切ってから冷凍保存することも可能だ。すでに皮を剥いて下茹でしているため、料理にも使いやすいだろう。
結論
里芋の下ごしらえは、美味しくいただくためにも重要だ。塩もみのあと、下茹でしておくとぬめりがしっかり取れてキレイに美味しく仕上がるので、ぜひ紹介したやり方で下ごしらえにチャレンジしてみてほしい。新鮮な里芋を選ぶとともに、正しい保存法も覚えておこう。
(参考文献)
※1:カリウム _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※1:カリウム _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html