1. 和食のコース

懐石料理と茶の湯
和食のコースとしてよく知られている懐石料理。実は、この由来は茶道にある。懐石料理は、かの有名な千利休が活躍した江戸時代に誕生したと言われている。空腹ではお茶の味が楽しめないという観点から、お茶の前に振る舞われる少なめの食事だったそう。現在では、懐石料理というと一汁三菜のコースを指す場合が多い。茶の湯に際する食事に関しては、茶懐石と呼ばれている。
懐石と会席
懐石料理と同音異義語で会席料理というものがある。懐石料理が茶の湯由来のものであるのに対し、会席はお酒を嗜む為の食事という意味合いが強いようだ。二つの最も大きな違いは、ご飯と汁物の出されるタイミング。基本的には、懐石料理の場合は食事と同時。会席料理の場合は、食事の最後に供される。ただ、現在では混同されて使われるケースも多い。
必須の作法
和食のコースをいただく際に、和室に上がることも多いだろう。ここで知っていると差のつく作法をお届けしよう。まず、襖の敷居や畳のヘリをなるべく踏まないよう歩くこと。諸説あるが、これは敷居やヘリは神聖なものと扱われることが多く、そのことに由来している。また、食事中に箸と反対の手を受け皿のように添えながら食べることも実は、マナー違反。
順序
和食のコースは、先付け(前菜)→吸物→向付け(お造り)→焼物→煮物→揚げ物→蒸し物→ご飯もの→甘味の順で進む。基本的な作法は、平らな皿は置いたまま、小鉢は持ち上げていただくこと。向付けなどは、淡泊な刺身が手前に盛られているケースが多いので、手前からいただくのが正解。椀物の蓋はゆっくりとあけ、内側の水滴をある程度、器の中に落としてから、開けるといい。ふたは裏返しのまま器の外側に置こう。
2. 西洋料理のコース

フルコースとアラカルト
西洋料理には、フランス料理やイタリア料理などがある。どちらもフルコースと呼ばれるあらかじめ決まっている料理が出されるものとアラカルトと呼ばれる、客が選ぶタイプのものがある。
必須の作法
迷いがちなのが、ナプキンのタイミング。ナプキンは、最初の料理が運ばれてくるときに膝におくのが正解。ちなみに二つ折りにして、輪になった方を自分側におくのが正しい作法。口元や指先を吹く場合は、ナプキンの内側を使おう。カトラリーは、ご存知の通り、外側から使うのがルール。食事中は八の字、食べ終えたら、フォークとナイフを揃えて、柄が斜め下にくるように置こう。
順序
西洋料理の中でも最もよく知られるフランス料理のコースは、アミューズ(前菜)→パン→スープ→魚料理→肉料理→チーズ→デザートが基本。パンは皿の上でちぎって食べるのが正解。皿がない場合は、クロスの上にそのまま置いてOK。肉料理は、一口ずつ左から切り分けて食べるといいだろう。葉物野菜は、一口大にナイフで切っていただこう。
3. 中華料理のコース

広い中国
中国はとにかく広い。話す言葉も地域によって異なるほどだ。無論、料理も地域性が強く現れている。代表的なものは、宮廷料理をルーツにもつ北京料理、ポピュラーな広東料理、寒い地域で食べられるスパイシーな四川料理などである。
必須の作法
中華料理といえば、円卓を思い浮かべる人も多いだろう。円卓がある場合、主賓が料理をとった後、時計回りに卓をまわすのが正解です。多彩な中華料理は、味が混ざらないよう、料理ごとに取り皿を変えてOK。大皿から自分の分を取り分けるので、取った分はきちんと食べ切るのがスマート。
順序
中華料理は前述の通り、多彩なので色々なケースがあるが、前菜→スープ→主菜→主食→点心の流れが一般的。前菜も主菜も何種類か出てくるのが定番だ。海老や北京ダックなど、手でいただくものもある。点心は、餃子や春巻きなどの軽食的なものと、杏仁豆腐やマンゴープリンなどのデザート的なものがある。
結論
最低限のマナーを知っておけば、より食事が美味しくなるはず。会食などの場合は、マナーはもちろん、相手をもてなす気持ちも忘れずに。