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傷みやすい食品を「足がはやい」というのはなぜ?

傷みやすい食品を「足がはやい」というのはなぜ?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 黒沼祐美(くろぬまゆみ)

鉛筆アイコン 2020年2月 8日

「足がはやい」と聞いたとき、あなたは何を想像するだろうか。運動会やマラソンでいう場合は、走る速度が速いということになる。しかし、この慣用句には走る速さのほか、食品の鮮度に関する意味と商品の動きに関する意味の計3つがある。一体どうして鮮度に関する表現を「足がはやい」というようになったのだろうか?

  

1. 日本語の不思議

日本語は1つのことばでさまざまな意味を表現することがある。「足がはやい」もそんな不思議な慣用句のひとつだ。

まずは「速い」と「早い」の違いから

普段何気なく使っている漢字ではあるが、改めて考えると混乱してしまう「速い」と「早い」。速い、という漢字は速度が速いことを表し、早い、という漢字は時間の尺度が早いことを表している。マラソンなどで走るのが「速い」と書けば、その人の走る速度が速いということ。走るのが「早い」と書けば、出番が早いとか、出走順が前の方で早いという時間単位の表現となる。

「足がはやい」は3つの意味

辞典などで「足がはやい」を調べてみると、おおむね3つの意味がのっている。1つめは単純に走るのが速いという意味。2つめは食品の鮮度が落ちるのが速い、傷みやすいという意味。そして最後が、商品の売れ行きがよく在庫がなくなっていく様子を表すという意味だ。同じ慣用句でもまったく違う意味になるのが不思議なところだ。

2. 「足」の表現は繊細

では、なぜ食品の鮮度に関してこの慣用句が使われるか考えてみよう。「足」とは人体のことだけではない。

時間とともに変化する様子

日本語の熟語には、「雨脚」「日脚」「火脚」などがある。「雨が降って通り過ぎていく様子」、「日が出てから昼、夜と暮れていく様子」、「火が燃え広がる速さ」をそれぞれ表しており、「脚=足」が時間とともに変化していく物事の様子として使われているのだ。日本語ならではの美しい繊細な表現だが、現代ではあまり使われなくなっている。

雨には足が生えている?

昔の日本は背の高い建造物が少なく、一面見渡せる風景が多かったのだろう。雨が降る前に黒雲がわく様子がはっきりと見えたはずだ。それが雨を降らせはじめ、自分のいるところに到達し、やがて遠くへ去っていく。まるで雨に足が生えて動いているように見えたので、「雨脚が早い」とは、天気の移り変わりがあっという間であるという表現になったのだ。足が早いという慣用句は変化の激しい様子を表す意味になり、鮮度が落ちるのが特に早い魚などに使われるようになった。

3. おもしろ由来説

足が早いという慣用句には、ほかにも面白い由来が諸説ある。どれも納得の理由なので、ぜひ覚えておこう。

船用語?海の男説

昔から漁師の間では、船の能力を表すときに「足」を使っていた。櫂力があり速く進む船を「足が強い船」といい、構造がもろくて速度の遅い船は「足が弱い船」と言ったのだという。漁で獲れる魚の鮮度にもこの表現が定着し、鮮度がすぐ落ちる魚のことを「足が早い」と表現するようになったという説がある。魚は総じて日持ちしないため、鮮度が落ちないことを「足が遅い」とは表現しないようだ。

昔は人力!飛脚説

今はクール便や配送制度が確保されているが、昔は魚を運ぶのがもちろん人力だった。どんなに足の速い飛脚でも、長距離を運搬すれば魚の鮮度は落ちてしまう。足の速いはずの飛脚ですら間に合わない速度で傷むので、魚の鮮度が落ちることを「足が早い」と表現するようになったという説がある。

結論

魚でも特に傷みやすいといわれているのは、サバを始めとする青魚、俗に言う光り物だ。サバは体内にほかの魚より多くの酵素を持っているので、酵素によるたんぱく質の分解が早く、腐敗までもあっという間である。足の早い魚はとにかく早めに処理して、酵素で分解される前に食べきるようにしたいものだ。

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  • 公開日:

    2018年11月28日

  • 更新日:

    2020年2月 8日

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