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イワシの旬はいつ頃?種類によって時期は異なるってホント?

イワシの旬はいつ頃?種類によって時期は異なるってホント?

投稿者:ライター 岡畠紘美(おかはたひろみ)

監修者:管理栄養士 黒沼祐美(くろぬまゆみ)

鉛筆アイコン 2021年7月 7日

手ごろな値段でほぼ通年を通して市場に出回っているイワシ。昔からさまざまな形で食べられてきたイワシだが、イワシの旬がいつ頃かはご存知だろうか。イワシは回遊魚で、なおかつさまざまな種類が生息しているため、産地や種類によって旬がバラバラだ。いつが旬であると答えることは難しいのだ。ここでは、そんなイワシの旬や栄養価について紹介していきたい。

  

1. イワシの種類は?

イワシの旬を調べる際は、種類について知っておくことが重要だ。イワシは基本的にニシンに属するもので、日本で主に獲れるのは3種類である。

真イワシ

鮮魚として市場に並ぶ代表的な「イワシ」。背中が青く黒い点が7~8つほど模様のように並んでいるのが特徴。後述のほかのイワシにはこの斑点がないので、斑点によってほかのイワシと区別し、真イワシだと判断することができる。ここで紹介する3種の中では最も大きく成長する品種で、大物になると30cmを超えることもある。

ウルメイワシ

名前の通り、目が潤んでいるかのように見えるのが特徴。また、真イワシと比べてみるとやや目が大きい。ウルメイワシも刺身が美味しい魚ではあるのだが、鮮度が落ちるのが非常に早く、干物として流通する場合がほとんど。もし旬の頃に釣りあげる機会があったなら、刺身で食べてみることをおすすめしたい。真イワシほどではないが大きく育ち、20cmを超えるサイズに成長する。

カタクチイワシ(コイワシ)

成魚でも10cmにようやく届くくらいという小ぶりなイワシで、コイワシとも呼ばれている。煮干しやしらす、ちりめんじゃこといった加工食品として流通することが多いが、旬の時期になると西日本のスーパーや寿司店などで生食できることがある。ほかのイワシと見比べると特徴的な顔立ちで、下あごが小さいため口を閉じていると上あごだけに見える(=片口)ということでカタクチイワシと呼ばれるようになったようだ。

2. イワシの産地

イワシは、沖縄を除く日本全国に生息しているため、国内中が産地となり各地域の旬で目にする機会がある。しかし、真イワシはその年によって漁獲量にバラツキがあり、周期的に大漁の年と不漁の年がやってくるのが特徴だ。
真イワシの代表的な産地としては茨城・宮城・鳥取といったところが挙げられ、農林水産省の「令和2年漁業・養殖業生産統計」によると、2239t・517t・502tの漁獲量がある(※1)。中でも、茨城県は旬の時期にイワシ類の稚魚である生しらすが食べられる産地として耳にしたことがあるのではないだろうか。
ウルメイワシに関しては、宮崎106t、長崎89t、島根42tで、カタクチイワシは長崎255t、三重177t、愛知160tだ(※1)。
イワシの種類によっては、旬の時期になると千葉や北海道でも水揚げされるが、不漁になると価格が一気に高騰する。イワシは年によって価格が安定しない魚でもあるため、旬を迎え安く売られているのを見かけたら逃さず買って美味しく食べよう。

3. イワシの旬

イワシの種類に対する知識を得たうえで、各イワシの旬を確認してみよう。ただし、イワシにははっきりとした旬のシーズンがないといわれており、地方によっても多く獲れる季節が異なるため、一般的に美味しいと考えられている時期を紹介する。

真イワシの旬

真イワシは通年美味しく食べられるといわれているが、とくに旬とされているのは梅雨時から初冬だ。産卵を終えたイワシが飢餓からの回復を目指し、エサを盛んに追いかけて脂を蓄えるため、梅雨頃が旬となる。刺身として食べるとトロっとした食感が楽しめるそうだ。

ウルメイワシの旬

旬が分かりにくいとされているウルメイワシだが、寒い時期や夏から秋口にかけて美味しいといわれることが多い。とくに脂が乗りやすい冬のウルメイワシは、市場での人気が高くなる場合がある。

カタクチイワシの旬

カタクチイワシ(コイワシ)の旬は、初夏や夏だと考えられている。関東では寒くなる頃に入荷してくることが多く見られるが、産地では夏場に見かけることもあるため、高い鮮度を保つために冬場の市場に出回っているのだろう。旬に限らず、産卵前後以外であれば1年中味がよい個体が多いようだ。

イワシはほぼ一年楽しめる!

イワシがたくさんの地域で獲れる理由のひとつは、広い海を泳ぎまわりながら生きている回遊魚であることだ。結果、自分の住んでいる地域では脂の乗ったイワシが食べられない季節でも、別の地域の旬では迎えているというニュースを見るということがあり得る。また、イワシの種類は300を超えるといわれているため、いつも食べているイワシと違う種類なら美味しい、ということも起こる。知識があれば、年中美味しいイワシ料理が食べられる可能性が高いのだ。

4. イワシの栄養

イワシには旬の季節が多いことに加え、たくさんの栄養が含まれていることもポイントだ。中でも、DHA、EPAは多価不飽和脂肪酸のひとつで、青魚に多く含まれていることが知られ、血中脂質のバランスを正常に保つといわれている。DHAはマグロにも多いが、イワシはDHAとEPAをバランスよく含み、カルシウムも豊富な食品の優等生である。1年を通して旬の味を楽しめるイワシの栄養について詳しく見ていこう。

DHA(ドコサヘキサエン酸)

日本薬理学会の論文(※2)では、脳・神経組織の発育、機能を高めるといわれている。また、厚生労働省運用のサイトでは悪玉コレステロールを減らす、善玉コレステロールを増やす、血圧を正常に保つ、血液中の中性脂肪を減らすといった作用があるとされる。

EPA(イコサペンタエン酸)

人の体内でほとんど作られない必須脂肪酸。厚生労働省のe-ヘルスネット(※3)によると、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす、血中の中性脂肪を減らすといった効果があるとされる。また、EPAの摂取で赤血球がやわらかくなり、血液の粘度が下がるといわれている。

カルシウム

文部科学省の食品成分データベースを参照すると、カルシウムは60~85mg/100gと多く含んでいることが分かる。さらにカルシウムの吸収率を上げるビタミンDも含んでいるため、効率よく摂取できるとされる。カルシウムには骨、歯を強化する効果があると厚生労働省から発表されている(※4)。

ビタミンB2

細胞の再生・エネルギーの代謝を導き、皮膚・髪・爪をつくり、成長を促すとされる。さらに体内で過酸化脂質の分解をサポートすると、厚生労働省や医療機関などのホームページでいわれている(※5)。
イワシをはじめとする食材は、旬になると味が濃く美味しくなるほか、栄養価が高まるといわれているため、積極的に摂取することがおすすめだ。

5. 美味しいイワシの選び方

鮮度の高いイワシを旬に美味しく食べるには、選び方にコツがある。イワシは旬の時期が幅広くなっているため、外出中や旅行中に偶然イワシを味わう機会に恵まれることもあるだろう。美味の個体を逃さないために、旬の新鮮なイワシの見分け方を覚えておいてほしい。

真イワシ

見た目からは、身体全体が青く輝いていること、エラが鮮やかな赤色をしていることなどから新鮮さが判断できる。また、目が濁っていない、身が硬く張りを感じるというポイントもある。

ウルメイワシ

真イワシ同様、身体が青くエラが赤いことが新鮮な固体の特徴だ。目の濁りがないこと、身に張りがあること、生き生きとしていることなどにも注目しよう。

カタクチイワシ

身が張っていて硬めであることはもちろん、稚魚を食べる機会があれば、ツヤと透明感があるイワシを選ぶことがおすすめだ。
イワシの種類が分からない場合は、ウロコがついているか、排泄口が閉まっているか、丸々と太っているかにポイントを絞って選ぶことで、新鮮な固体を堪能できるだろう。

結論

イワシの旬は種類ごとに異なり、それぞれの旬を組み合わせると一年中旬のイワシを楽しむこともできる。もともと一年を通して漁獲のある魚ではあるが、旬を意識して手に取るようにすれば、いままで以上に美味しさを実感できることだろう。ちなみに、美味しいイワシ選びのポイントはどれだけ身が大きく育っているかだ。身が厚く大きく育っているものほど脂が乗っていて美味しいので、よいものを見極めて手に取るとよいだろう。
(参考文献)
※1出典
農林水産省「海面漁業生産統計調査 令和2年漁業・養殖業生産統計「1(5)県別魚種別漁獲量」(エクセルファイルを参考にしています)
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/index.html

※2出典
日本薬理学会「脳・神経機能維持とn-3系脂肪酸」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/151/1/151_27/_pdf

※3出典
厚生労働省
「HDLコレステロール | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-071.html
「不飽和脂肪酸 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html
「調理方法によるエネルギーの違い | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-018.html

※4出典
文部科学省
「魚介類/<魚類>/(いわし類)/まいわし/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10047_7
「魚介類/<魚類>/(いわし類)/うるめいわし/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10042_7
「魚介類/<魚類>/(いわし類)/かたくちいわし/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10044_7
厚生労働省
「カルシウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html

※5出典
一般財団法人 脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院
「ビタミンB2|特徴|働き|食材|不足」
https://www.minamitohoku.or.jp/up/news/konnichiwa/200902/eiyo.htm
厚生労働省
「ビタミン | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
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  • 公開日:

    2019年6月 7日

  • 更新日:

    2021年7月 7日

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