目次
1. ケルシーとは?

ケルシーは日本で作られているスモモの一種で、かつては「甲州大巴旦杏(こうしゅうだいはたんきょう)」と呼ばれていた。淡い緑色の果皮と尖った形が特徴で中央には空洞がある。緑色の酸っぱそうな見た目をしているが、味は甘みがあり酸味が少ない。また、果皮は薄めでプリっとした食感を楽しむことができる。生産数は非常に少ないため、一般的には高級果物として知られている。
ケルシーの名前の由来
ケルシーは古くから山梨県や岡山県などで栽培されていた日本のスモモであるが、明治時代にケルシー氏によってアメリカ国内で「ケルシー・ジャパン」という名前で紹介された。その後、アメリカで盛んに栽培され、大正時代に日本に逆輸入という形で戻ってきたという。その後は「ケルシー」という名前が定着していき、現在でも「ケルシー」と呼ばれることが多くなっている。
ケルシーの旬と主な産地
ケルシーの旬は普通のスモモと同じように夏頃となっており、特に8月下旬から9月中旬ごろまで多く出回るという。また、農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」によれば(※1)、2017年のケルシー作付面積は全国で3.8haと非常に狭い。主な産地は山梨県(2.3ha)と山形県(1.5ha)の二県だけで、ここの地域以外ではほとんど栽培されていないとても希少性の高い果物となっている。
2. ケルシーの特徴的な栄養素とは?

ケルシーの栄養価は、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」などには収録されていない(※2)。そのため、ケルシーの具体的な栄養価は不明であるものの、一般的にはほかの果物と同じようにミネラル類・ビタミンB群などの栄養素が多く含まれるとされている。また、外皮や果肉の紫がかった部分には「アントシアニン」というポリフェノールを含んでいるという(※3)。
3. ケルシーの食べ頃の見分け方

普段、中々目にしないため、ケルシーの食べ頃がいつか迷う人も少なくないだろう。そのような場合には「色味」「感触」などから、ケルシーの食べ頃を見極めるようにしよう。
- 色味:黄緑色になってきたもの
- 感触:触ってみて柔らかいもの
また、鮮度のよいケルシーは濃い目の緑色をしており、表面には「ブルーム」と呼ばれる白い粉が付いている。購入するときには、緑色の濃さやブルームの有無などから鮮度を判断するとよいだろう。
4. ケルシーの基本的な食べ方

ケルシーは皮が薄いため、洗ったものをそのまま丸ごとかじっても食べられる。しかし、皮の食感や独特な酸味が気になるなら、皮を剥いてから食べるのがおすすめだ。ケルシーの皮は柔らかく手で剥くことも可能だが、剥きにくいときにはナイフを使うと簡単に剥くことができる。
また、カットしてから食べるときには、まず縦にナイフをぐるっと1回転入れる。それから、左右をねじるようにして回すと、二つに切り分けることができる。中にはケルシーの種があるため、それを取り除いてからくし形などにカットするとよいだろう。
また、カットしてから食べるときには、まず縦にナイフをぐるっと1回転入れる。それから、左右をねじるようにして回すと、二つに切り分けることができる。中にはケルシーの種があるため、それを取り除いてからくし形などにカットするとよいだろう。
5. ケルシーの美味しい使い道2選

ケルシーはそのまま食べても美味しいが、ジャムやドライフルーツにするのもおすすめだ。加工することで違った楽しみ方ができるだけでなく、そのままの状態で保存するよりも長持ちされることも可能だ。それぞれの作り方についても簡単に確認しておこう。
その1.ケルシーのジャム
- 鍋に種を取り除いてカットしたケルシーを入れる
※ケルシーは皮付きのままでも問題ない - ケルシー全体に砂糖をまぶし、10~15分程度置いておく
- ケルシーにレモン汁を絞ってから、鍋を強火にかける
- 沸騰したら中火にして、砂糖を加えてさらに煮込む
- 10分経ったらさらに砂糖を加えてとろみが付くまで煮込む
- ケルシーにとろみがついたら完成。冷やして冷蔵庫で保存する
※保存容器は煮沸消毒しておき、清潔な状態にしておこう
その2.ドライケルシー
- ケルシーは皮付きのまま種を取り、5mmほどにスライスする
- 天板に並べて、余熱なしのオーブンで1時間ほど乾燥させる
- 1時間たったらケルシーを裏返しして、もう1時間乾燥させる
※水分が残っているようであれば様子を見ながらさらに加熱する - 完全に水分が飛んだら完成。乾燥剤と一緒に冷蔵保存する
※保存容器は煮沸消毒しておき、清潔な状態にしておく
6. ケルシーを美味しく保存する方法

ケルシーは比較的日持ちしやすい果物だが、すぐに食べないなら適切に保存するほうがよい。まだ外皮が濃い緑色で熟していないケルシーは、常温保存で追熟させるのが基本。新聞紙などに包んでからポリ袋に入れて、涼しい冷暗所などで保存しよう。また、外皮が黄色っぽくなり熟してきたら、乾燥しないよう新聞紙に包んだ状態で野菜室に入れておこう。なお、熟したら早めに食べてしまおう。
ケルシーの冷凍保存のやり方
ケルシーは冷凍保存をすることもできる。完熟しきる前のほうがほどよく酸味も残りおすすめだ。まず、ケルシーを水洗いして水分をしっかりきり、種を除いて食べやすい大きさに切っておく。ラップに並べて空気が入らないようにさらに上からラップをかぶせ、フリーザーバッグに入れて保存する。食べるときは完全に解凍させず、半解凍のまま食べることがおすすめだ。
結論
ケルシーの生産量は非常に少なく、希少価値が高いため中々手に入らない。しかし、8~9月頃であればネット通販などで購入できる可能性はある。もし気になるならケルシーの旬の時期に、AmazonやYahoo!ショッピングなどで「ケルシー」や「甲州大巴旦杏」を探して見るといいだろう。
【参考文献】
- ※1:農林水産省「特産果樹生産動態等調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_kazyu/ - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - ※3:食品と容器「郷愁を感じる巴旦杏」
http://kangiken.net/backnumber/5510_bknum.pdf