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ぶりの幼魚「いなだ」とは?出世魚の基本やはまちとの違いを解説!

ぶりの幼魚「いなだ」とは?出世魚の基本やはまちとの違いを解説!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2021年10月11日

ぶりの幼魚である「いなだ(鰍)」。一般的に全長35~60cm程度の時期に使われる、「わかし(35cm以下のもの)」と「わらさ(60~80cm程度のもの)」の途中段階の呼び方である。いなだはぶりの成長段階ではあるが、単に大きさが違うだけでなく、味わいや旬の時期なども異なるという。今回はそんないなだの基本、鮮度の見分け方、美味しい食べ方などについて詳しく解説する。

  

1. 出世魚「ぶり」の呼び方

出世魚とは本来なら同じ魚ではあるが、稚魚から成魚へと成長するにつれて「呼び方が変わる魚」のことをいう。ぶりも出世魚の一種で、関東地方では大きさに応じて以下のように呼び方が変わる。

「ぶり」の成長段階ごとの呼び方

  • もじゃこ(稚魚):6~7cm程度のもの
  • わかし:35cm以下のもの
  • いなだ:35~60cm程度のもの
  • わらさ:60~80cm程度のもの
  • ぶり(成魚):80cm以上のもの

「ぶり」の地域ごとの呼び方(地方名)

ぶりの呼び方には地方名もあり、関西地方では、もじゃこ、わかな、つばす、はまち、めじろ、ぶりの順に呼ぶ(※1)。また、和歌山県のように40cm前後のぶりを「いなだ」と呼ぶ地域もある(※2)。なお、こちらのページでは関東地方の呼び方に倣い、35~60cm程度のぶりを「いなだ」として呼んでいる。

2. ぶりの幼魚「いなだ」とは?

改めていなだについて説明すると、いなだとはスズキ目アジ科に分類されるぶりの幼魚のことだ。ぶりは稚魚の頃は6~7cmと小さいが、成魚になると1m~最大1.5m程度まで大きくなる。この成長過程にある35~60cm程度の頃を「いなだ」と呼ぶ。脂が少なくサッパリとした味わいとブリ特有の引き締まった身が特徴であり、刺身はもちろん煮物・焼き物・汁物などにしても非常に美味しい。

いなだは秋頃に取引量が増える

「寒ぶり」という呼び名からもわかるとおり、ぶりの旬は冬の寒い時期である。一方、いなだは夏~秋頃に多く獲れる。現在は養殖ものが多く流通しているため通年出回っているが、東京都中央卸売市場の「市場統計情報」によれば(※3)、2020年は10月頃に取引量のピークを迎えている。

いなだは千葉県産が多く流通している

いなだは北海道南部から九州地方まで日本全国に広く生息しており、全国的に漁獲されている。特に漁獲量が多いのは千葉県であり、東京都中央卸売市場の「市場統計情報」によれば(※3)、2020年の千葉県産の取引量は約1266トンであった。また千葉県以外では宮城県産(約548トン)や、北海道産(約355トン)のいなだも多く取引されている。

3. 美味しいいなだの見分け方は?

いなだは、魚屋や鮮魚センターでは丸のまま売られていることもあるが、普通のスーパーでは切り身で売られていることのほうが多い。切り身であっても「鮮度の高い美味しいもの」と「そうでないもの」がある。皮や表面のツヤ感、血合いの鮮やかさ、切り口の角度を頼りに新鮮なものを選ぼう。

美味しいいなだを見極めるポイント

  • 皮や表面のツヤ感:皮には光沢があり、身には透明感があるものは新鮮である
  • 血合いの鮮やかさ:濃い赤色をしており、黒くなっていないものは鮮度が高い
  • 切り口の角度:切り口にしっかりと角があり、丸まっていないものは切り立て

4. いなだの美味しい食べ方3選!

いなだは生のまま刺身や寿司として食べても美味しいが、煮たり焼いたりしてもその味や食感などを楽しむことができる。そこでいなだを使った美味しい食べ方を3つ紹介しておこう。

食べ方1.いなだの照り焼き風

ぶりでも照り焼きはおなじみだが、いなだで作っても美味しい。いなだのほうがサッパリとしているため、脂っこさがなく照り焼きの味付けを楽しむことができる。また、家で照り焼きを作るなら、フライパンを使った照り焼き風がおすすめ。煮詰めれば中までタレを染み込ませることもできる。

食べ方2.いなだのシャブシャブ

刺身用などの新鮮ないなだが手に入ったら、シャブシャブにするのもおすすめだ。だし汁と野菜だけで作ったスープに軽くお刺身を湯通し、それをポン酢などのタレにつけて食べれば、いなだの美味しさを存分に満喫できる。日本酒との相性もいいので、お酒好きにも嬉しい食べ方といえるだろう。

食べ方3.いなだのアラ汁

いなだのアラが手に入ったら、アラ汁にしてもいいだろう。沸騰しただし汁に、下茹でしたいなだ・ネギ・豆腐などを入れてお味噌を溶けば完成。いなだのうま味や野菜の甘味が合わさり、美味しく食べることができる。いなだの臭みを消すために、忘れずに下茹でを行うようにしよう。

5. いなだの正しい保存方法

生鮮食品であるいなだは、パッケージに書いてある賞味期限を守り、できる限り早く食べ切るようにしよう。もし冷蔵保存するなら、鮮度を保つために乾燥対策をすることが重要だ。例えば、切り身であれば、1切ずつ食品用ラップに包んでから、保存袋などに入れて冷蔵庫で保管するとよい。また、1か月程度の長期保存がしたいなら、同様の方法で乾燥対策をしてから冷凍庫に入れて保管しよう。

6. いなだに関する疑問・質問を解消

ここまでいなだについて詳しく解説してきたが、まだいなだについて疑問・質問などがあるだろう。そこでここでは、いなだに関するよくある疑問・質問に回答しておこう。

Q1.いなだとはまちの違いとは?

「はまち」という呼び方はもともと関西圏での地方名だが、現在では60cm程度に成長した養殖ものを「はまち」、同じ程度に成長した天然ものを「いなだ」と呼び分けている。これは、養殖が盛んだった関西圏から養殖ものを仕入れる際に、関東圏で「はまち」として広まったことが関係しているそうだ。そのことから関東圏で使われていた「いなだ」は、天然ものを指す言葉になったという。

Q2.天然ものと養殖もので味は変わる?

いなだの魅力はぶりとは真逆の脂が少なく、よく締まった身の食感である。しかし、いなだ(ぶり)は養殖が盛んであり(※4)、旬かどうかに関わらず「養殖もののほうが天然ものよりも脂がのりやすい」という傾向がある。こってりとしたものが楽しみたいなら養殖ものを、さっぱりとした味わいを楽しみたいなら天然ものを探してみるのもよいだろう。

Q3.いなだにはどんな栄養素が含まれる?

いなだの栄養価は文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※5)には収録されていないものの、「はまち」の栄養価は収録されている。これによれば一般的なぶりと同じく、EPA・DHA・ビタミンEなどを多く含んでいる。あくまで、はまち(養殖/皮つき/生)の100gあたりの数値にはなるが、EPAは450mg、DHAは910mg、ビタミンEは4.6mg含んでいる。

結論

脂が少なくさっぱりとした味わいが魅力の「いなだ」。そんないなだは、現在では養殖ものも多く出回っているため一年中食べることもできる。刺身や寿司だけでなく、煮物・焼き物・汁物などにしても美味しい。スーパーや魚屋などで見かけたら、今晩のおかずにしてみてはいかがだろうか。
【参考文献】
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  • 公開日:

    2019年8月 1日

  • 更新日:

    2021年10月11日

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