1. ぶりの基礎知識

ぶりはスズキ目アジ科ブリ属に分類される魚。天然物の旬は、冬とされ、師走に美味しい魚という意味合いで、鰤という漢字が当てられた。全国各地で水揚げされているが、特に有名な漁場は、富山湾や若狭湾、佐渡の両津湾周辺。この地域では、ブランドぶりと呼ばれる、高級ぶりも多く漁獲される。
養殖は九州
ぶりは、養殖も盛ん。特に九州や四国で多く、行われている。現在では市場に出回るぶりのうち、6割程度が養殖だと言われている。養殖ぶりは、天然物に比べ、魚臭さが少なく、血合いが退色しにくいなど、養殖ぶりだからこその特性がある。
ぶりの栄養
ぶりは、良質なタンパク質の宝庫。脂質には、多価不飽和脂肪酸であるEPAやDHAが豊富に含まれ、血管を正常に保つ効果などが期待できる。そのほか、ビタミンEやビタミンD、タウリンなども含まれている。ぶりは、ほかの魚に比べ、脂質が多い。脂質は美味しさの源であると同時に、臭みを生み出す原因にもなりうる。そこで、上手な下ごしらえが求められるのだ。
2. ぶりの下ごしらえ

塩焼きなら
塩焼きにする場合は、1時間ほど前に塩を振っておくといい。前述の通り、ぶりは脂質の多い魚なので、塩の周りがあまり良くない。ある程度、塩が効いた状態の方が美味しい上、生臭さも回避できるので、1時間前には下ごしらえをしておこう。
ぶりの照り焼きなら
照り焼きの場合は、焼いてから、タレを絡めるだけでは、やや物足りない味になるので、下味をつけておくことが重要。ただ、あまり長い間、下味につけたままにしておくと身が固くなる危険性も。酒と醤油にさっとつけておくといい。理想は30 分ほど。朝準備して、夜仕上げたい、そんな場合は、酒の分量を増やし、醤油は控えめにするといいだろう。あとは、さっと水気を切り、焼いて、タレを絡ませるだけ。
ぶりを煮込むなら
ぶり大根のように煮込む場合は、熱湯にくぐらせておくといい。特にアラを使う場合は、この工程がマスト。まずは、塩をふり、30分ほど置いておく。その後、ボールに移し、熱湯を回しかけ、ひと混ぜしたら、水を入れて冷ましながら、ぬめりや鱗、血合いなどを洗い流す。指の腹でしっかりと落としてOK。最後に、水気をしっかりと切っておこう。このひと手間で余分な脂や臭みが抜けて、グッと美味しくなる。
3. ぶりの豆知識

出世魚
ぶりは、大きさによって名前が変わる、いわゆる出世魚だ。関東では、わかし、いなだ、わらさ、ぶり。関西ではつばす、はまち、めじろ、ぶりと変化して呼ばれる。おおよその大きさに規定はあるが、見解が多少異なる場合も。特にハマチは、養殖のぶりを指す場合もある。このほか、北陸、山陰、九州では、名称が異なる。
縁起物
ぶりの漁獲量の多い、北陸では、ぶりは縁起物として珍重されている。結納やおせち料理などに使われることも多い。そもそもは将軍への献上品とされていたことも縁起物として用いられている理由かもしれない。
結論
ぶりは、下ごしらえをしっかりすると美味しさが2割増し。同時にここで手を抜くと生臭い仕上がりになってしまう。どんな調理法でも、必ず下ごしらえに手を抜かないようにしよう。また、買ってきた切り身はまず、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから、下ごしらえをすることをお忘れなく。