目次
1. あさつきとは?

あさつき(浅葱)とはヒガンバナ科ネギ属の植物の一種で、古くから山菜の一種として親しまれている。青ネギ(小ネギ・万能ネギ)のような見た目をしているが、あさつきの根っこ部分には卵型の鱗茎(りんけい)がありここも食べることが可能だ。また、ネギのような辛味と香り、シャキシャキとした食感が特徴。古くから薬味、おひたし、酢味噌和えなどとして食べられてきた。
あさつきの旬と流通時期
あさつきは露地栽培だけでなくハウス栽培も行われているため、青ネギのような見た目をしているあさつきは通年流通している。ただし、東京都中央卸売市場の「市場統計情報」によれば(※1)、1年間で最も取引量が多いのは1~2月頃となっている。また、この冬の時期には、通常の青ネギ状のあさつきだけでなく、山形県産などの「あさつきの新芽」も流通している。
あさつきの主な産地
農林水産省の「地域特産野菜生産状況調査」によれば(※2)、2016年のあさつきの全国の収穫量は193トン。また、地域別に見ると山形県の収穫量が最も多くて58トンで、2位以下は福島県(34トン)、北海道(24トン)、神奈川県(16トン)、山口県(16トン)となっている。ちなみにハウス物は48トン、露地物は145トンで、露地物のほうが収穫量・出荷量ともに多い。
2. 青ネギやわけぎとの違い

あさつきは、青ネギやわけぎなどによく似ている。しかし、葉の直径、可食部(食べられる部分)、味わいなどが異なる。そこであさつきとこれらのネギとの違いについても確認しておこう(※3)。
違い1.太さ(直径)が異なる
あさつきに似た見た目のネギには青ネギやわけぎなどがあるが、以下のようにあさつきはこれらの中で最も細い。似たような青ネギが並んでいたら、細いものがあさつきである可能性が高いといえる。
- あさつき:2~3mm程度
- 青ネギ:5mm程度
- わけぎ:7〜10mm程度
違い2.可食部が異なる
あさつきは通常の青ネギと異なり、根っこ部分にある「鱗茎(りんけい)」も食べられるのが特徴である。そのため、通常はやや膨らんだ根っこ部分がある。ただし、わけぎも根っこ部分が食べられるのは、わけぎも同じである。あさつきとわけぎは、葉の部分の太さで見分けるようにするとよい。
違い3.味わいが異なる
ネギ類は辛味を持つ野菜であるが、中でもあさつきは辛味が強いことで知られている。また、爽やかな香りやシャキシャキとした食感も楽しめるため、「薬味」に使うならあさつきがおすすめとなっている。薬味にする場合は小ネギと同じように、細かく小口切りにして使うとよい。
3. あさつきの基本的な栄養価

緑黄色野菜であるあさつきは、βカロテンをはじめビタミン類・ミネラル類を多く含んでいる。そこで文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考に(※4)、「生あさつき」の100gあたりの栄養価を確認しよう。
あさつき(葉・生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:34kcal
- たんぱく質:4.2g
- 脂質:0.3g
- 炭水化物:5.6g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.04g
・一価不飽和脂肪酸:0.01g
・多価不飽和脂肪酸:0.08g - ビタミン
・βカロテン:740μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.9mg
・ビタミンK:50μg
・ビタミンB1:0.15mg
・ビタミンB2:0.16mg
・ナイアシン:0.8mg
・ビタミンB6:0.36mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:210μg
・パントテン酸:0.62mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:26mg - ミネラル
・ナトリウム:4mg
・カリウム:330mg
・カルシウム:20mg
・マグネシウム:16mg
・リン:86mg
・鉄:0.7mg
・亜鉛:0.8mg
・銅:0.09mg
・マンガン:0.40mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:- - 食物繊維:3.3g
(・水溶性食物繊維:0.7g)
(・不溶性食物繊維:2.6g)
あさつき(葉・ゆで)100gあたりの栄養価
「日本食品標準成分表」には生あさつきのほかに、「ゆであさつき」の栄養価も収録されている。ゆであさつきの栄養価は、基本的に生あさつきとほとんど同じ。しかし、ビタミンB群のような水溶性の栄養素は少なくなっている。下ゆでするときは、短い時間でサッと行うようにしよう。
4. 美味しいあさつきの選び方

市販のあさつきには、「青ネギ状のもの」と「新芽状のもの」の2種類がある。一般的には青ネギ状のものは通年流通しているが、新芽状のものは12~2月頃の冬の間しか流通していない。もしスーパーや八百屋などであさつきを見つけてたら、以下のようなポイントを参考に選ぶようにしよう。
青ネギ状のあさつきの選び方
- 葉:ハリがありみずみずしいもの
- 根元(鱗茎):ツヤ感があるもの
新芽状のあさつきの選び方
- 根元(鱗茎):ツヤ感があるもの
- 切り口:断面が平らでキレイなもの
5. 新芽のあさつきの美味しい食べ方3選

青ネギ状のあさつきは基本的に薬味として使うことが多いが、新芽状のあさつきは料理の具材として使うことも可能だ。料理にするなら、酢味噌和え・おひたし・天ぷら・炒め物などが美味しくておすすめだ。以下では、あさつきの美味しい食べ方を3種類紹介する。
その1.あさつきの酢味噌和え
あさつきの最も定番の食べ方の一つが「酢味噌和え」である。キレイに水洗いしたあさつきを下茹でしておき、3cm幅にカットしておく。それを味噌・酢・砂糖で作った酢味噌に加えて和えれば完成となる。サッパリとした味わいとシャキシャキとした食感が非常にクセになる一品である。
その2.あさつきのおひたし
「あさつきのおひたし(お浸し)」も定番で人気がある。作り方は簡単で、水洗いしたあさつきを沸騰したお湯で20~30秒程度茹でて冷水で冷やす。その後、水分を切ってから適当な大きさに切ってお皿に盛る付ければ完成だ。醤油や麺つゆなどで美味しく食べるようにしよう。
その3.あさつきの天ぷら
「あさつきの天ぷら」も香りと味わいが楽しめるのでおすすめだ。あさつきを水洗いしてから適当な大きさに切り、衣をまぶして170℃程度の油で揚げれば作れる。1本ずつ揚げても、かき揚げのようにしても美味しい。出来上がった天ぷらは塩や酢味噌などで美味しく食べよう。
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6. あさつきの正しい保存方法

あさつきは冷蔵保存と冷凍保存のいずれかがおすすめだ。冷蔵保存する場合は、新聞紙などで包んでからポリ袋に入れて野菜室で保管しよう。また、冷凍保存する場合は、軽く水洗してよく水気を切ったあさつきを細かく刻み、冷凍用保存袋などに入れて冷凍庫に入れて保管しよう。なお、あさつきなどの保存方法は以下のページで詳しく解説しているので興味があればぜひ確認してみよう。
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7. あさつきのよくある質問

ここまであさつきの栄養価や食べ方などを詳しく解説してきた。しかし、中にはあさつきの名前の由来が何か、家庭菜園で育てられるかなどが気になる人もいるだろう。そこでこのような、あさつきに関するよくある疑問や質問に回答する。
Q1.あさつきの名前の由来や意味は?
あさつきの名前の由来は複数あるが、有力なのは「色付くのが浅い時期に収穫・利用するから」といわれている。また、「ネギ(葱)よりも色味が浅いから」や「ニンニク(ヒルツキ)よりも辛味が少ない(浅い)から」という説もある(※5)。なお、一般的には「あさつき」と呼ばれることが多いが、「いとねぎ」や「せんぼんわけぎ」といった別名もある。
Q2.あさつきは家庭菜園で育てられる?
あさつきの種は市販されているため、家庭菜園で育てることも可能だ。あさつきの栽培はコンテナでも可能で、植え付けから2か月程度で収穫できる。また、根元を残しておけば、1か月程度で再収穫できるという。詳しくは、あさつきの種を販売している通販サイトなどで確認しよう。
結論
あさつきは青ネギのような見た目をしているが、青いネギよりも辛味があり、根元(鱗茎)まで食べられるのが特徴となっている。また、あさつきには青ネギ状のものが多く流通しているが、12~2月頃には新芽状のものも流通している。いずれも美味しい野菜なので、薬味としてはもちろん料理などにも使ってみるとよいだろう。
【参考文献】
- ※1:東京都中央卸売市場「市場統計情報」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/geppo/ - ※2:農林水産省「地域特産野菜生産状況調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_yasai/ - ※3:農畜産業振興機構「野菜ブック ねぎ」
https://www.alic.go.jp/content/001162826.pdf - ※4:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※5:山形県「あさつき|伝統野菜|山形のうまいもの」
https://www.yamagata.nmai.org/crops/umaimono/native/asatsuki.html
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