1. 赤ピーマンとは?
赤ピーマンとは完熟したピーマンのことである。スーパーや八百屋などでよく見かける緑色のピーマンは開花後15~20日前後で収穫された未熟のもの。一方、赤ピーマンは開花後50~60日程度経ってから収穫される完熟したものである。通常の緑ピーマンに比べて苦みや青臭さが少なく、フルーティで甘いのが特徴となっている。なお、赤色パプリカやカラーピーマンとは異なる品種である。
赤ピーマンの旬・流通量
赤ピーマンの旬は緑色のピーマンと同じく夏頃であるが、ハウス栽培もされているため通年流通している。しかし、赤ピーマンは緑ピーマンに比べて収穫までに長い期間を要するため、生産効率がよくない。そのため、緑ピーマンに比べると流通量は少ないといわれている。もし赤ピーマンが食べたいのに見つからないなら、家庭菜園で完熟するまでピーマンを育てるというのも一つの手段である。
2. 赤ピーマンの基本的な栄養価
一般的に、完熟させた赤ピーマンのほうが、未熟な緑ピーマンよりも栄養価が優れているといわれることが多い。そこで文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に(※1)、「赤ピーマン(生)」の100gあたりの栄養価を確認しよう。
赤ピーマン(生)100gあたりの栄養価
・エネルギー:28kcal
・たんぱく質:1.0g
・脂質:0.2g
・炭水化物:7.2g
・脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.04g
・一価不飽和脂肪酸:Tr
・多価不飽和脂肪酸:0.10g
・ビタミン
・βカロテン:940μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:4.3mg
・ビタミンK:7μg
・ビタミンB1:0.06mg
・ビタミンB2:0.14mg
・ナイアシン:1.2mg
・ビタミンB6:0.37mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:68μg
・パントテン酸:0.28mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:170mg
・ミネラル
・ナトリウム:Tr
・カリウム:210mg
・カルシウム:7mg
・マグネシウム:10mg
・リン:22mg
・鉄:0.4mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.03mg
・マンガン:0.13mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:-
・食物繊維:1.6g
(・水溶性食物繊維:0.5g)
(・不溶性食物繊維:1.1g)
・たんぱく質:1.0g
・脂質:0.2g
・炭水化物:7.2g
・脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.04g
・一価不飽和脂肪酸:Tr
・多価不飽和脂肪酸:0.10g
・ビタミン
・βカロテン:940μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:4.3mg
・ビタミンK:7μg
・ビタミンB1:0.06mg
・ビタミンB2:0.14mg
・ナイアシン:1.2mg
・ビタミンB6:0.37mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:68μg
・パントテン酸:0.28mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:170mg
・ミネラル
・ナトリウム:Tr
・カリウム:210mg
・カルシウム:7mg
・マグネシウム:10mg
・リン:22mg
・鉄:0.4mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.03mg
・マンガン:0.13mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:-
・食物繊維:1.6g
(・水溶性食物繊維:0.5g)
(・不溶性食物繊維:1.1g)
3. 赤ピーマンの栄養面の特徴とは?
赤ピーマンの基本的な栄養価は前述のとおりだが、緑ピーマンと比べるとどのような点が優れているのだろうか。ここでは緑ピーマンと比較しながら赤ピーマンの栄養面の特徴を確認する。
その1.ビタミンA・E・Cが多い
赤ピーマンは、緑ピーマンよりもビタミンA(βカロテン)・ビタミンE・ビタミンCなどのビタミン類が多い。それぞれ比べてみると、ビタミンAは2.35倍、ビタミンEは5.38倍、ビタミンCは2.24倍も多く含んでいる(※1)。ほかにもビタミンB1・B2・葉酸なども増えている。このように赤ピーマンには身体の調子を整える働きがあるビタミン類が多く含まれている。
その2.赤色色素「カプサンチン」が豊富
赤ピーマンが赤い理由は、クロロフィルが分解されて、赤色色素である「カプサンチン」が増えるからだ(※2)。このカプサイチンは特に赤ピーマンや赤色パプリカに多く含まれていることが知られている(※3)。なお、唐辛子に含まれる辛味成分である「カプサイシン」と言葉は似ているが、両者はまったく異なる成分である。
その3.食物繊維はやや少ない
ピーマンは完熟すると多くの栄養価が高くなるが、中には食物繊維のように少なくなってしまう栄養素もある。未熟の緑ピーマンのときは100gあたり2.3gの食物繊維を含んでいるが、完熟の赤ピーマンになると100gあたり1.6gになってしまうのだ。そのため、全ての栄養素で赤ピーマンが優れているわけではないので注意しよう。
4. 美味しい赤ピーマンの選び方
赤ピーマンを選ぶ際は、形・皮・ヘタの3つを確認しよう。形と皮からは品質を知ることができ、ヘタからは鮮度を知ることができる。それぞれのチェックポイントは以下のとおりとなっている。
美味しい赤ピーマンを選ぶポイント
・形:赤ピーマンの肩が盛りあがっているもの
・皮:色ツヤがよくて、ハリがあるもの
・ヘタ:切り口が緑色でみずみずしいもの
※ヘタが黒ずんでいるものは避ける
・皮:色ツヤがよくて、ハリがあるもの
・ヘタ:切り口が緑色でみずみずしいもの
※ヘタが黒ずんでいるものは避ける
5. 赤ピーマンの美味しい食べ方5選
赤ピーマンは、炒め物・焼き物・揚げ物・漬物など緑ピーマンのように料理に使うことができる。また、緑ピーマンよりも柔らかく甘みもあるためサラダなどに使うのもおすすめだ。そこで数あるおすすめ料理の中から、特に赤ピーマンの美味しい食べ方を5つ紹介する。
食べ方1.赤ピーマンのサラダ
新鮮な赤ピーマンを美味しく食べるなら、生のままサラダにするのがおすすめだ。グリーンサラダの上に彩りとして使うのもいいが、せっかくなら赤ピーマンをメインにするのがよい。たとえば、カットした赤ピーマンとスライスオニオンを合わせてからドレッシングをかけるだけでも美味しい。
食べ方2.赤ピーマンの肉詰め
赤ピーマンにひき肉で作ったタネを詰め込み焼く「赤ピーマンの肉詰め」も美味しい。作り方はヘタと種を取り除いた赤ピーマンに、ひき肉や玉ねぎで作ったタネを詰め込みフライパンで焼くだけだ。色味が赤色だけになってしまうため、緑ピーマンも使うと見た目も色鮮やかにすることができる。
食べ方3.赤ピーマンの塩麹漬け
乱切りした赤ピーマンに塩麹を混ぜ合わせるだけの「赤ピーマンの塩麹漬け」もおすすめ。あっさりとした味付けが非常に美味しく、お酒のおつまみにも合うのが嬉しい。色味が気になる場合は緑ピーマンも加えるとよく、苦味と香りが強くなるのでより美味しくなる。
食べ方4.赤ピーマンのマリネ
赤ピーマンをマリネ液に浸して「赤ピーマンのマリネ」を作ってみるのもよい。マリネ液はお酢やレモン汁、塩、砂糖、オリーブオイルなどを合わせるだけで作れる。赤ピーマンと一緒に緑ピーマンや玉ねぎを使ったり、赤ピーマンをグリルで焼いたりしてから作ってみても美味しい。
食べ方5.赤ピーマンのムース
赤ピーマンをおしゃれに使いたいなら「赤ピーマンのムース」に挑戦してみてはいかがだろうか。顆粒コンソメで味付けした赤ピーマンのピューレを作ってから、お湯でふやかしたゼラチンと生クリームを合わせる。そして塩コショウで味を調えてから、しっかりと冷やせばムースが完成する。パーティーなどにもおすすめの一品である。
6. 赤ピーマンを美味しく保存する方法
赤ピーマンは緑ピーマンよりも傷みやすいため、冷蔵庫の野菜室で保存するのが基本だ。また、赤ピーマンは湿気に弱いため、保存する前にはキッチンペーパーなどで水気をとるのがポイント。それからポリ袋に入れたり新聞紙に包んだりして、冷蔵庫の野菜室に入れておこう。なお、赤ピーマンの果肉部分が柔らかくなっているものから、早めに使っていくのが大切になる。
7. 赤ピーマンを美味しく保存する方法
最後に、赤ピーマンに関するよくある疑問・質問に回答する。
Q1.緑のピーマンが赤くなる理由とは?
赤ピーマンはピーマンが完熟したものだが、赤色に変色する理由は「カプサンチン」と呼ばれる赤色の色素が増えるからだ(※3)。元々ピーマンが緑色をしているのは「クロロフィル」という緑色の色素が多いことが関係している。しかし、クロロフィルは植物が成熟するにつれて分解される。クロロフィルが分解されると、ピーマンが赤色に変わるようにその植物が持つ色素が増えていくのだ。
Q2.赤色パプリカとの違いとは?
赤ピーマンと赤色パプリカは色味や形が似ていることから混同することも多い。しかし、これらは裁判品種が異なり、赤ピーマンは「薄肉中型種」という植物であるが、赤色パプリカは「厚肉大型種」という植物である。栽培品種が異なるとは「植物の性質が異なる」という意味で、例えばこれら2つは見た目だけでなく、収穫時期・栄養価・味・食感などさまざまな違いがある。
Q3.赤ピーマンは家庭菜園でも作れる?
赤ピーマンは、家庭菜園でも作ることが可能だ。育て方は普通の緑ピーマンと同じで、収穫時期を遅らせれば赤ピーマンを収穫できる。一般的に、開花後50~60日程度で赤ピーマンになるため気長に待つのが重要になる。なお、赤ピーマンになるまで育てようと思うと株に負担がかかるといわれているため、専門の園芸サイトなどで肥料の使い方や育て方をチェックしながら作るようにしよう。
結論
赤ピーマンは緑ピーマンが熟して色が変わった野菜であり、赤色パプリカやカラーピーマンとは異なるものだ。熟すことで緑ピーマンの青臭さや苦みが少なくなるため食べやすくなる。濃い赤色はさまざまな料理で鮮やかに生えるため、彩りとしても役立つ食材である。
(参考文献)
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:日本食生活学会誌「野菜類のクロロフィル含量とカロテノイド, ビタミンC・Eならびに無機質含量に関する比較研究」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/13/4/13_4_271/_article/-char/ja/ - ※3:日薬理誌「野菜と果物の色に宿るチカラ」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/141/5/141_256/_pdf
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