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パプリカとピーマンの違いは?色や栄養価・味や調理法など徹底解説!

パプリカとピーマンの違いは?色や栄養価・味や調理法など徹底解説!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2021年2月 4日

同じような見た目をしているパプリカとピーマンは、サイズや色で違いを認識している方も多いだろう。ところで、両者の違いを正しく説明することはできるだろうか?今回はパプリカとピーマンの違いについて詳しく解説する。それぞれのおいしい食べ方も紹介するので、ぜひ料理に役立ててほしい。

  

1. パプリカとピーマンは栽培品種が異なる

パプリカとピーマンは、植物学上は同じナス科トウガラシ属の植物である。しかし栽培品種で区別すると、パプリカは厚肉大型種を指し、ピーマンは辛くない種類の薄肉中型種を指す。区別の仕方は生産地により異なるが、基本的には以下のような基準がある。

パプリカとピーマンの区別方法

  • パプリカ:1個あたり100~200g程度の重さで、厚みは5~8mm程度。ベル形の見た目をしている
  • ピーマン:1個あたり30~40g程度の重さで、厚みは2~3mm程度。円柱形の見た目をしている
なおパプリカとピーマンとでは収穫時期や栄養価、味や食感なども異なる。スーパーや八百屋などでは基本的に見た目でしか判別できないが、こうした違いがあることも覚えておこう。

栽培品種とは

同じ種の中で別の性質を持つ植物のことを「栽培品種」という。パプリカやピーマン以外のトウガラシ属でいうと、トウガラシ、シシトウ、バナナピーマンなどがある。これらは、それぞれ辛味の有無や形状などの違いで区別される。利用目的や特性に応じた特別な名前のことを栽培品種というのだ。

2. パプリカとピーマンの歴史

パプリカとピーマンのように、似ているものの別の栽培品種が誕生する背景にはさまざまな事情がある。日本で食べられてるようになったきっかけとともに、それぞれの歴史についても確認しよう。

パプリカの誕生はハンガリー

最初にパプリカを生み出したのはハンガリーである。しかし、ハンガリーで作られたのは細長い形をしていた。そのパプリカをオランダの種苗会社が品種改良したことで、現在よく見かけるベル型のパプリカが誕生した。日本では1993年にオランダからの輸入が解禁され、それとともに消費量が増加していった。現在は輸入品だけでなく、国産品として宮城県や茨城県などでの栽培も盛んになっている(※1)。

ピーマンの誕生は18世紀のアメリカ

一方、1774年にアメリカで甘トウガラシが品種改良されて誕生したのがピーマンだ。明治初期にはアメリカから日本に伝わっていたが、その頃はあまり食べられていなかったという。食卓にピーマンがよく並ぶようになったのは、1955年(昭和30年)以降といわれている。この理由は、戦後に日本では物価統制が敷かれたが、ピーマンはその対象から外されたからだとされている。

3. パプリカとピーマンの色味の違い

パプリカとピーマンの色味が異なるのは、主に収穫時期が関係している。パプリカは熟しているため色付いており、未熟な状態なら緑色をしている。反対に、ピーマンは未熟な状態で収穫されるため緑色をしており、熟すとカプサイシンが増えるため赤色が強くなって赤ピーマン、いわゆるカラーピーマンとなる。赤ピーマンと赤いパプリカは別々の野菜なので間違えないようにしよう。

パプリカは開花から60日程度で収穫

パプリカはハウス栽培が行われているため、一年中スーパーなどで購入できる。また露地物の収穫時期は6~9月頃で、後述するピーマンと同じだ。ただし未熟の緑パプリカを除けば、完熟してから収穫されているものがほとんどである。パプリカが完熟するまでには、開花から60日程度の日数を必要とする。

ピーマンは開花から20日程度で収穫

ピーマンもハウス栽培が盛んなため一年中スーパーに並んでいるが、お伝えしたように畑で育てた露地物はとくに6~9月頃に多く収穫される。スーパーなどで見る緑色のピーマンは、開花してから20~25日ぐらいの未熟な状態で収穫されたものがほとんどだ。また、たまに見る赤ピーマンは開花から60日程度経ったものである。

4. パプリカとピーマンの栄養価の違い

ピーマンなどはビタミンCやβカロテンが多い食品として知られているが、その含有量を比べるとパプリカのほうが2倍以上多い。また、パプリカとピーマンの色味は異なるが、これはそれぞれに含まれる色味成分が異なるからだ。それぞれの栄養面や色味成分の特徴についても比べてみよう。

パプリカの主な栄養素

  • 赤パプリカ:辛味のないカプサイチンが多い。抗酸化作用を有する(※2)
  • 黄パプリカ:ゼアキサンチン(カロテノイドの一種)が多い。強い抗酸化作用を有する(※3)
  • 紫パプリカ:アントシアニン(ポリフェノールの一種)が多い。抗酸化作用を有する(※4)
パプリカの種類により栄養価は異なるのだが、赤色パプリカであれば100gあたりビタミンCが176 mg、βカロテンが1,100μg含まれている(※5)。これらの数値はいずれもピーマンの2倍以上となっている。また完熟したパプリカは、上記のように色味ごとに異なる栄養素が含まれている。

ピーマンの主な栄養素

ピーマンには100gあたりビタミンCが76mg、βカロテンが400μg含まれておりビタミンが豊富である(※5)。未熟のピーマンが緑色をしている理由は、クロロフィルという緑色色素が多く含まれているからだ。クロロフィルには主に活性酸素を取り除く「抗酸化作用」という働きがある(※6)。

5. パプリカとピーマンの味・食感の違い

パプリカとピーマンはいずれもトウガラシ属の植物だが、全く辛みがないことが特徴だ。しかし未熟のピーマンには強い苦みがあり、熟したパプリカには甘みがある。これらの違いは、熟すことで糖度に変化が起きることが関係している。ここではそれぞれの味・食感の違いなどを確認しよう。

熟したパプリカは糖度が高く甘みを感じる

一般的に「ピーマンよりもパプリカのほうが甘い」といわれることが多い。実際、糖度計で調べてもピーマンは3~4度程度あるが、赤パプリカは7~8度程度ある。この理由は熟すことでパプリカの糖分が増えるからだ。ピーマンに比べると肉厚で柔らかいため、ジューシーな食感を楽しめる。

ピーマンは苦味成分のクエルシトリンなどを含む

ピーマンの独特な青臭さは、ピラジンと呼ばれる成分によるものだ。また独特な苦味は、クエルシトリンというフラボノイドの一種である(※7)。一般的にピーマンが苦いとされる理由は、この2つの成分により脳が「ピーマンは苦いもの」と認識しているからといわれている(もちろん実際に苦いのだが)。未熟のピーマンは皮が薄くみずみずしいため、シャキシャキとした歯ごたえを楽しむことができる。

6. パプリカとピーマンのおすすめの食べ方

パプリカとピーマンは収穫時期や栄養価だけでなく、風味や食感などの点でも異なるため、その特徴を生かした食べ方をしよう。最後に、それぞれのおすすめの食べ方を紹介する。

パプリカは生でも加熱してもおいしい

甘みのあるパプリカは、サラダやマリネなどにして生のまま食べるのがおすすめだ。甘みを生かしたいときは、繊維に対して縦方向に切るとよい。サラダであればほかの野菜類と合わせてドレッシングで食べるのもおすすめだ。マリネは少し加熱してからオリーブオイル・塩・コショウで味付けしよう。

またパプリカは炒め物にしても甘みが増しておいしくなる。パプリカをメインにした炒め物でもよいし、彩りのために細かく切ったものを入れてもよい。一年中手に入る野菜なので、栄養バランスを整えたいときや料理の見た目をよくしたいときなどに使うとよいだろう。

ピーマンは油通しをすると苦みが減る

ピーマンの苦みを抑えたい場合は、調理前に「油通し」をするのがおすすめだ。これにより苦味成分のクエルシトリンが油に溶け出し、苦味が和らぐ。180℃程度に熱した油の中にピーマンをサッと入れて、油をしっかり切るだけだ。油通しをしたピーマンは青椒肉絲などに使うのがおすすめである。

逆にピーマンの苦みを味わいたいなら、煮浸しなどがよいだろう。苦味が調味料に移るためピーマン本来の苦み・渋みを味わうことができる。繊維に対して横に切ったピーマンを軽く炒めてから醤油・みりん・酒・だしを加えて煮込めば完成だ。大人な味付けで、お酒のおつまみとしてもおいしい。

結論

パプリカとピーマンは同じ「ナス科トウガラシ属」の植物であるが、大きさや色味、栄養価や味、それに食感などすべてが大きく異なる。とくに苦み・甘みといった味は大きな違いのひとつであるので、料理に使う際はそれぞれの特徴を意識するとよい。なおパプリカやピーマンの仲間はほかにもたくさんあるので、食べ比べて違いを感じてみてはいかがだろうか?
【参考文献】

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  • 公開日:

    2018年9月30日

  • 更新日:

    2021年2月 4日

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