1. 【愛知早生ふき】とは?

ふきは数少ない日本原産の野菜だ。ふきが食用となることは古くから知られており、自生していたふきを収穫して食べていたのは当然だが、すでに平安時代には栽培も始まっていた。栽培の歴史が古いため、地域によって特色の異なるふきが栽培されている。栽培品種と自生品種を合わせると約200種類以上のふきがあるとされている。その中で、もっとも市場に出回っているのが、【愛知早生ふき】だ。愛知早生ふきの栽培量の約4割を愛知県が占めている。
愛知早生ふきの歴史と特徴
平安時代から栽培されていたふきだが、愛知早生ふきの栽培が始まったのは少し遅く、江戸時代からだ。1902年から囲い栽培が行われるようになると、ますます栽培が促進されるようになった。そのため、愛知早生ふきは栽培開始時期が遅かったにもかかわらず、いまや流通量日本一のふきとなったのだ。また、自生しているふきと比較して、特有のアクや苦みが少なく、繊維がやわらかいため食べやすかったのも流通量が増えた大きな要因だろう。
2. 愛知早生ふきの旬と食べ方

山菜といえば、春先をイメージするだろう。実際に、自生している山菜を収穫できるのは3月頃であるため、あながち間違いではない。しかし、愛知早生ふきはその限りではない。なぜならハウス栽培が行われているからだ。愛知早生ふきは栽培用のふきであるため、ほかの山菜と違い明確な旬の時期がない。愛知早生ふきが収穫、出荷される時期は夏を除く10~5月であるため、ほかの山菜よりも手軽に手に入れることができる。
愛知早生ふきを購入するときのポイント
自生しているふきと違い、愛知早生ふきは品質管理を行いながら栽培されている。そのため、市場に出回る愛知早生ふきの品質が悪いということは滅多にないだろう。しかし、流通過程で傷がつき品質が落ちることもあるため購入時には見極めをしておいたほうがよい。愛知早生ふきは、大きいため丸々1本売られているとは限らないが、ここでは丸々1本売られていたときのポイントを紹介する。まず、愛知早生ふきの鮮度をチェックするには葉の部分を見ておこう。葉物野菜と同じく鮮度が落ちてくると変色し、しおれてくるからだ。なるべく鮮やかな緑色で瑞々しいものを選ぼう。次に、茎の部分を見る。茎が太いほうがよいと思いがちだが、太すぎると繊維っぽくて美味しくない。茎が太すぎず、太さが均一なもののほうが品質はよい。また、茎を持った際に折れ曲がってしまうものは避けるようにしよう。
3. 愛知早生ふきを食べるときのポイント

山菜は独特の苦みがくせになるが、アクが強いため食べるには下処理が必要となる。栽培されている愛知早生ふきでも下処理が必要だ。アク抜きの仕方は葉と茎で異なるため、あらかじめ葉と茎を分けておこう。
愛知早生ふきの葉のアク抜き方法
葉のアク抜きの仕方はそう難しくない。沸騰させたお湯に葉を入れて、軽く下茹でしたら冷水につける。これだけで葉のアク抜きは完了だ。アクをしっかり抜きたい場合は、下茹でと冷水につける作業を何度か繰り返すとよい。
愛知早生ふきの茎のアク抜き方法
茎の部分が大きすぎて鍋に入らない場合は、鍋に入る大きさに茎を切り分ける。塩を少しふり、まな板上で板ずりする。葉と同じように沸騰させたお湯で下茹でするのだが、葉と比べて火が通りにくいため下茹では長めに行う。火が通ったら冷水につける。ここまでで、アク抜きは完了だ。茎の場合、そのままでは筋っぽいため、冷水で冷ましたら皮をむいておくとよい。
おすすめの食べ方
愛知早生ふきは、煮物にして食べるのがおすすめだ。愛知早生ふきのみで煮物を作っても美味しいが、いろいろな食材と合わせて煮ると味わいが変わってくるため、さまざまな組み合わせを試してみてほしい。愛知早生ふきは春先以外も市場に出回るが、やはり春になったら同じく春が旬のたけのこや山菜と一緒に煮物にしてみよう。香り豊かな煮物が春の訪れを感じさせてくれるだろう。
結論
日本原産であるふきと日本人の付き合いは長い。平安時代にはすでに栽培が始まっていたほど日本人に愛されていたふきは、いまもなお春の定番食材として愛され続けている。中でも、愛知早生ふきは日本で1番流通している人気のふきだ。ハウス栽培で春以外でも食べることができるようになったが、春になったら改めて愛知早生ふきの香りと味を楽しもう。春の香りがするはずだ。