1. 【野ぶき】とは?

春の到来を告げる山菜の一つであるふきは、日本人にとって馴染み深い食材だ。なぜなら、数少ない日本原産の野菜だからだ。自生しているふきを収穫して食べることは当然だが、平安時代には栽培が始まっていたほどふきは日本人に愛されていた。いまでもふきの栽培は続いており、地域によって特徴の異なるふきが栽培されている。有名なふきとして愛知県の「愛知早生ふき」や北海道の「ラワンブキ」が挙げられる。自生、栽培の両方を合わせると日本国内で200種類以上のふきがあるとされている。市場に出回っているふきの多くは、ハウス栽培されているものだが、春になると自生しているふきも出回るようになる。自生しているふきの中でも、よく食べられているのが「野ぶき」だ。
野ぶきの特徴
野ぶきは、山で自生しているふきの一つだ。人間の手がまったく入っていないため、自然の味を楽しめる。ここでいう自然の味とは、山菜が持つ苦みなどの味を指す。栽培されているふきは、食べやすいようにアクや苦みが少なくなっているのだが、自生している野ぶきはアクや苦みが強い。また、繊維が硬いため、食べるためには下処理が必要となってくる。栽培されているふきと比べ手間はかかるが、自然の恵みをたっぷり受けた野ぶきならではの苦みがくせになる。
2. 野ぶきの旬と選び方

ふきの中には栽培されているものもあるため、春先以外でも市場に出回るものがある。しかし、野ぶきは自生しているふきであるため、ほかの山菜と同様に春先に旬を迎える。具体的には、3~5月が旬の時期だといわれている。そのため、3~5月に山菜狩りに行ったら、野ぶきを収穫できる可能性は高いといえる。また、収穫された野ぶきが市場に出回るのも同じ時期であるため、栽培されたふき以外も食べてみたい場合は、3~5月に出回るふきをチェックしておこう。
野ぶきを選ぶときのチェックポイント
野ぶきは品質管理をしながら栽培されているわけではないため、市場に出回る野ぶきの大きさはバラバラであることが多い。そのため、実際に購入する際には何を基準に選べばよいか困ってしまうだろう。しかし、2つの見るべきポイントが分かっていれば、小さくても品質のよい野ぶきを選ぶことができる。まず1つ目のポイントは、茎の太さだ。太さが均一な野ぶきのほうが品質はよい。太いほうがよいと思われがちだが、太すぎると繊維が多く硬い食感であることが多いため、太すぎるものは避けたほうが無難だ。2つ目は、葉の瑞々しさだ。ほうれん草や小松菜といった葉物野菜と同じように、野ぶきの葉も鮮度が悪くなると変色し、しおれてくる。葉が鮮やかな緑色で瑞々しいものを選ぶようにしよう。
3. 野ぶきのアク抜き方法と美味しい食べ方

野ぶきは土の香りを堪能できる山菜だが、アク抜きをしっかり行なってからでないと食べられない。栽培されているふきと違い、硬くてアクが強いため、いつもより丁寧に下処理を行うようにしよう。野ぶきを1本丸々購入できたときはまず葉と茎を切り分けよう。葉と茎でアク抜きの方法が異なるからだ。葉は、下茹でしたものを冷水にとる作業を何度か繰り返してアク抜きをする。茎の場合は、葉よりも少し手間がかかる。茎は鍋に入る大きさに切り分けたら、塩をつけて板ずりする。塩を洗い流さずそのまま熱湯で茹でる。火が通ったら冷水にとり冷やす。野ぶきは硬いため火が通りにくい。そのため、長めに茹でるようにしよう。アク抜きが終わったら、あわせて野ぶきの皮むきも済ませておく。冷水にとった状態で野ぶきの薄皮をむく。薄皮をむくだけでも筋っぽさがなくなり食べやすくなる。
野ぶきの食べ方
アク抜きを終えたら、いろいろな料理を作ってみよう。ふきを使った料理といえば、ふきの煮物やきゃらぶきがある。ふきの煮物は野ぶきだけを煮るのもいいが、同じく春が旬のたけのこや出汁を吸った油揚げと一緒に煮ると、また違った味わいが楽しめる。また、きゃらぶきはふきをしょうゆやみりんで味付けし煮詰めた料理だが、ごはんのおともにぴったりだ。
結論
市場に出回るふきの多くは栽培されているものだ。しかし、春先には自生している野ぶきも市場に出回るようになる。栽培種と比べ、アクが強く硬いため多少食べにくさを感じるが、山菜ならではの味わいを楽しめる。旬の時期にしか収穫できないため、春になったらぜひ食べてほしい。