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てっさ(ふぐ刺し)とは?その歴史やカロリー、食べ方のマナーを紹介!

てっさ(ふぐ刺し)とは?その歴史やカロリー、食べ方のマナーを紹介!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2021年11月 9日

関西地方で食べられているふぐ料理「てっさ」。一般的に「ふぐ刺し」と呼ばれる料理であるが、関西ではふぐのことを鉄砲と呼ぶため、「てっさ(鉄砲の刺身)」という名前で親しまれている。今回はそんなてっさの歴史、カロリー・栄養価、食べるときのマナーなどについて解説する。

  

1. てっさとは?

てっさとは、主に関西地方で使われている「ふぐ刺し」の別名である。戦国時代に関西地方で隠語として使われていた「てっさ」という言葉が、現在でも名残で使われている。てっさ(ふぐ刺し)の特徴には高級魚であるふぐを1~2mm程度の薄さに切り、直径30~50cm程度の大皿に花のように美しく盛り付けられること。また、非常に繊細なうま味と絶妙な歯ごたえを楽しめることなどがある。

2. てっさと呼ばれるようになった理由

てっさという言葉の誕生は戦国時代にまで遡る。1590年に天下統一を果たした豊臣秀吉は、1592年頃から朝鮮出兵を行う。その際、ふぐの名産地である下関を通るのだが、このときに多くの兵士がふぐの毒に当たり死んでしまった。秀吉は死者を減らすために1598年に「河豚食禁止令」を発令する。

しかし、禁止令が出されていた中でも、下関などではふぐは日常的に食べられていた。ただし、禁止令下であるため、公には「ふぐ」という名前を使えない。そこで隠語として「鉄砲」という名前を使い始める。名前の由来は一般的に「ふぐも鉄砲も、当たると命を落とすから」と考えられている。また、ふぐの刺身は「"てっ"ぽう」の「"さ"しみ」であることから「てっさ」と呼ばれるようになった。

1598年に秀吉が発令した「河豚食禁止令」は明治時代の中頃まで続く。しかし、1888年に初代内閣総理大臣である伊藤博文が、山口県令(知事)にふぐ食解禁を要請。これによりふぐ料理が食べられるようになる。ただし約300年もの間「鉄砲」と呼ばれていたため、ふぐが解禁されたあともふぐは鉄砲と呼ばれ、ふぐ刺しは「てっさ」と呼ばれた。

3. てっさの基本的な食べ方とマナー

てっさ(ふぐ刺し)は一般的な刺身とは違ったタレや薬味を使うことが多い。また、てっさならではの食べ方のマナーもある。ここではそんなてっさの食べ方とマナーについて確認しておこう。

てっさの美味しい食べ方

てっさ(ふぐ刺し)は、基本的に醤油ではなく「ポン酢醤油」につけて食べることが多い。この理由は、一般的に「ポン酢醤油のほうが塩分が少なく、ふぐ本来のうま味を感じやすいから」といわれている。また、長めに切った小ねぎ(万能ねぎ)をふぐ刺しで巻いてから、もみじおろしと一緒に食べるのもおすすめである。これらの薬味はいずれも、ふぐの繊細な味わいを引き立ててくれる。

てっさを食べるときのマナー

てっさの食べ方には「大皿のふぐ刺しに直接すだちを搾らない」「手元のポン酢小皿は手で持つ」など、細かいルールがいくつかある。特に、基本となる以下の2つのマナーは守るようにしよう。

【マナー1.皿の中央から食べる】

日本料理では、料理人が盛り付けた順番の逆から食べるのがマナーとされている。てっさの盛り付けは、皿の外側から中央に向かって円を描くように行われる。したがって、てっさは皿の中央から食べるのが正しいマナーとなっている。

【マナー2.2~3枚ずつ食べる】

通常の刺身は1枚ずつ食べることが多いだろう。しかし、繊細なふぐの味を楽しみたいなら、1枚ずつではなく2~3枚程度の切り身を箸で取り食べるのがよい。なお、一度に大量の切り身を取るのはマナー違反とされている。てっさを食べるときは、2~3枚ずつ美味しくいだくようにしよう。

4. てっさのカロリーと基本的な栄養価

日本で食べられるふぐは22種類あるが(※1)、中でも最も有名なのが「フグの王様」と呼ばれることがある「トラフグ」である。文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によれば、100gあたりのトラフグ(養殖)の栄養価は以下のようになっている(※2)。

トラフグ(養殖)100gの栄養価

  • エネルギー:80kcal
  • たんぱく質:19.3g
  • 脂質:0.3g
  • 炭水化物:0.2g
  • 脂肪酸
     ・飽和脂肪酸:0.06g
     ・一価不飽和脂肪酸:0.04g
     ・多価不飽和脂肪酸:0.1g
  • ビタミン
     ・ビタミンA(レチノール):3μg
     ・ビタミンD:4μg
     ・ビタミンE:0.8mg
     ・ビタミンK:0μg
     ・ビタミンB1:0.06mg
     ・ビタミンB2:0.21mg
     ・ナイアシン:5.9mg
     ・ビタミンB6:0.45mg
     ・ビタミンB12:1.9μg
     ・葉酸:3μg
     ・パントテン酸:0.36mg
     ・ビオチン:0μg
     ・ビタミンC:0mg
  • ミネラル
     ・ナトリウム:100mg
     ・カリウム:430mg
     ・カルシウム:6mg
     ・マグネシウム:25mg
     ・リン:250mg
     ・鉄:0.2mg
     ・亜鉛:0.9mg
     ・銅:0.02mg
     ・マンガン:0.01mg
     ・ヨウ素:0μg
     ・セレン:0μg
     ・クロム:0μg
     ・モリブデン:0μg
  • 食物繊維:0g

てっさ1人前のカロリー

お店や商品によりてっさの量は変わるが、5~6人前に相当する直径36cmのお皿の場合には約270gのフグが使われている。つまり、約50gのてっさが1人前に相当する。とらふぐは100gあたり85kcalのエネルギー量となっているため、1人前(50g)では43kcal程度のカロリーだと考えられる。

5. てっさはどこで食べられる?

てっさ(ふぐ刺し)は、一般的には高級日本料理店やふぐ料理専門店などで食べることが可能だ。また、家で食べたいなら一部の高級スーパーで購入したり、ふぐ料理を扱っているオンラインショップなどでネット注文したりするのがおすすめだ。以下でいくつかてっさを食べられる方法を紹介する。

その1.ふぐ料理専門店

美味しいてっさ(ふぐ刺し)が食べたいなら、ふぐ料理専門店などに行くのがおすすめだ。地域ごとにふぐ料理の名店があるほか、地域によってはチェーン店などもある。ふぐ料理専門店であれば基本的に「てっさ(ふぐ刺し)」はあるが、行く前には念のためにお店にあるかどうかを確認しよう。

その2.オンラインショップ・ネット通販

近くにふぐ料理専門店がない場合は、オンラインショップやネット通販を利用するのもおすすめだ。また、Amazonや楽天市場のようなECモールでも購入することが可能である。お店によっててっさのサイズや内容物などが異なるため、気になるものを探して選ぶようにしよう。

6. てっさに関するよくある質問・疑問

ここまで、てっさ(ふぐ刺し)について詳しく解説してきた。しかし、まだてっさやふぐについて知りたいことがあるだろう。そこで最後に、てっさに関するよくある質問・疑問に回答する。

Q1.ふぐ引き包丁ってどんなもの?

てっさ(ふぐ刺し)は、1~2mm程度と非常に薄いのが特徴だ。また、このときに使われるのが「ふぐ引き包丁」という専用包丁である。ふぐ引き包丁は刃の厚さ3mm以下、刃渡り27cm程度の専用包丁であり、ふぐを薄く切るのに適しているという。ふぐ引き包丁の「引き」は、包丁を手前にスッと引いて、ふぐの身を薄く削ぐ切り方に由来して名付けられたそうだ。

Q2.てっさの盛り付け方には何がある?

てっさ(ふぐ刺し)は、一般的に直径30~50cm程度の大皿に花のように美しく盛り付けられる。その盛り付け方法には、菊の花のような「菊盛」や、牡丹の花のような「牡丹盛」などが一般的だ。また「鶴盛」「肥後盛」「玉盛」「扇盛」などの盛り付け方もある。このように盛り付けによる美しさを目で楽しむのも、てっさの楽しみ方のひとつである。

Q3.ふぐの「ぶつ刺し」とはどんな料理?

てっさは一般的に数ミリ程度の薄切りにされるが、ふぐ料理専門店である「玄品」では「ぶつ刺し」という厚めに切ったふぐ刺しを提供している。玄品でのぶつ刺しの食べ方は、肉厚のふぐ刺しを白菜で包み、ピリ辛ニンニクダレを付けるというもの。非常に噛み応えがあり、高級魚であるとらふぐを贅沢に楽しめる料理となっている。

Q4.てっさ以外の美味しいふぐの食べ方とは?

ふぐを使った料理には、てっさ(ふぐ刺し)以外にも、てっちり(ふぐちり)、ふぐ雑炊、ふぐのから揚げ、ふぐの白子焼きなどがある。いずれもふぐの上品で繊細な味わいを楽しめる料理であり、ふぐ料理専門店などに行ったらぜひ注文してみよう。
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結論

関西で「てっさ」と呼ばれているふぐ刺しは、ふぐ料理の代名詞ともいえる高級料理である。薄く引かれて花のように美しく盛り付けれらたてっさは、味はもちろんのこと、目で見ても楽しむこともできる。ぜひふぐ料理を食べる機会があれば、てっさ(ふぐ刺し)も食べてみよう。
【参考文献】
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  • 公開日:

    2019年9月11日

  • 更新日:

    2021年11月 9日

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