1. きのこのあれこれ<栄養・香り・栽培>

普段私たちが口にするきのこだけでも数種類あり、香りや味にもそれぞれ違いがある。
きのこの香りやうまみ成分
例えば、松茸の香味成分でしいたけなどの多くのきのこに含まれている1-オクテン-3-オール(マツタケオール)は、実は水には不溶性であるといわれている。また、干ししいたけに多く含まれるレンチオニンは生のしいたけにはほとんど含まれておらず、長く水につけると香りは失われやすくなる。
一方、グアニル酸やグルタミン酸、アスパラギン酸などのうまみ成分は水に溶けるものが多い。
きのこは重量の90%近くが水分であり、表面を水でぬらすことで含有される水分がうまみとともに流れでやすくなってしまう傾向がある。
一方、グアニル酸やグルタミン酸、アスパラギン酸などのうまみ成分は水に溶けるものが多い。
きのこは重量の90%近くが水分であり、表面を水でぬらすことで含有される水分がうまみとともに流れでやすくなってしまう傾向がある。
きのこの栄養素
きのこに多く含まれる栄養素はビタミンDやビタミンB群、食物繊維やカリウムなど。ビタミンB群やカリウムは水溶性で水に溶けるため、水で洗うことで栄養成分も失うこととなる。
きのこの栽培方法
きのこの栽培方法は、原木栽培と菌床栽培に分類できる。樹木(原木)を切り出して菌を植え付け培地としてきのこを栽培する方法を原木栽培といい、しいたけやなめこ、ひらたけなどに利用される栽培方法。一方の菌床栽培は、オガ粉と米糠などの栄養源を混ぜて成型した人工の培地で栽培する方法で、空調管理されたクリーンルームで栽培される。えのきやマイタケ、エリンギ、なめこ、しいたけ、しめじ、といったほとんどのきのこに利用されている。一方のマッシュルームは、イネやムギなどの藁を発酵させてつくったたい肥で栽培する。
2. きのこの中でも、○○○だけは洗っても良い!?

きのこを洗う=水につけることだが、前述したようにきのこには、水に流れ出てしまう香りや旨み・栄養成分がある。また、きのこのふっくらとした菌糸でできた肉質が水につけることで水っぽくなってしまうことから、きのこは調理前に水につけて洗わない方がよいといわれている。ごしごし洗うと、調理した時に水分が出やすくなり、水っぽい仕上がりとなることもある。きのこの内部に侵入した水分が、調理時にきのこの水分と共に外にでやすくなるからだ。
水洗いOKなきのこもある
とはいえ、われわれがよく口にするきのこは数種類あり、全てが水洗いNGなわけではない。
「なめこ」はふだん我々が口にするきのこの中で唯一洗ってもよいといわれているきのこだ。ねばりがある食物繊維を含むなめこは、パッケージに「さっと水洗いしてください」と書かれていることもある。菌床栽培で製造されたときにオガ粉がついてしまって、ねばり成分の中によごれが閉じ込められていることがあるためのようだ。また、ねばりをある程度とりのぞくことで、鮮度が落ちてくると粘りの中の繁殖しやすい乳酸菌による酸味がおさえられるといった効果があるようだ。とはいえ、ねばりの中にうまみ成分があることも事実。洗う場合でもゴシゴシ洗い過ぎないようにすることが大切である。
「なめこ」はふだん我々が口にするきのこの中で唯一洗ってもよいといわれているきのこだ。ねばりがある食物繊維を含むなめこは、パッケージに「さっと水洗いしてください」と書かれていることもある。菌床栽培で製造されたときにオガ粉がついてしまって、ねばり成分の中によごれが閉じ込められていることがあるためのようだ。また、ねばりをある程度とりのぞくことで、鮮度が落ちてくると粘りの中の繁殖しやすい乳酸菌による酸味がおさえられるといった効果があるようだ。とはいえ、ねばりの中にうまみ成分があることも事実。洗う場合でもゴシゴシ洗い過ぎないようにすることが大切である。
3. きのこの汚れの取り除き方

大きめのきのこの場合
しいたけなどの大きさのきのこは、かさのひだの部分に汚れが入っていることも多い。逆さにして軽くポンポンと叩いたりハケで軽くかきとることで、大きなごみや汚れは取り除くことができる。それでも取れないような汚れがくっついている場合や、かさのひだの部分に入り込んでしまっているごみやほこりが気になるときには、きつく絞ったキッチンペーパーやふきんなどで拭くようにする。このときも、できるだけよごれが気になる範囲をふき取るようにしよう。
小さなきのこの場合
えのきやしめじなど小さなきのこが密集しているような種類は、クリーンルームで育っているため、ほとんどは石づきの部分を取り除くだけでよいのだが、汚れが気になる部分だけを集め、調理前に流水でさっと洗うようにする。葉物野菜のようにためた水につけて洗うと、どんどんきのこの内部に水が入り、また、栄養素やうまみ成分が流出してしまう。
虫や汚れがついている場合
最後に、原木栽培や天然のきのこなどの場合は、屋外で育つため、虫や汚れがつくことも多い。
調理の直前に塩水でさっと浸すことで、香りや旨み成分はある程度残して汚れを取り除くことができる。塩水の濃度は海水と同じくらいの3%~3.5%程度。水1リットルにつき大さじ2程度となる。
調理の直前に塩水でさっと浸すことで、香りや旨み成分はある程度残して汚れを取り除くことができる。塩水の濃度は海水と同じくらいの3%~3.5%程度。水1リットルにつき大さじ2程度となる。
結論
きのこは、基本的にその風味や栄養素が失われやすくなるため、洗わない方がよい。しかも、洗うことで料理がみずっぽくなってしまう。汚れが気になるような場合は固く絞ったふきんやペーパーで拭こう。スーパーで手に入るたいていのきのこはクリーンな状態で栽培されるため、洗う必要はないのだ。