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力強い風味が魅力!愛飲家も多い日本酒の山廃仕込とは?

力強い風味が魅力!愛飲家も多い日本酒の山廃仕込とは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:東京農業大学 醸造科学科 教授 前橋健二(まえはしけんじ)

2020年3月17日

日本酒でよく聞く「山廃仕込み」。山廃仕込みが製造の手法の一つだということは知られているが、どのように違いがあり、どのような味わいの酒になるかは未知の領域だという人も少なくないだろう。日本酒の製造方法について触れながら、山廃仕込みの特徴について見ていこう。

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1. 日本酒の作り方

日本酒やビール、ワインは醸造酒に分類され、原料を発酵させてアルコールを得る。アルコール発酵には糖分が必要となり、日本酒やビールはワインと違い原料に糖分を含まないため、糖化という過程を経ることとなる。日本酒の原料の米に麹を加えることで麹の酵素によって米のデンプンを糖化させ、それと同時に酵母を加えることによりアルコール発酵を行う。

ビールの場合は完全に麦汁を糖化させてから発酵させるのだが、日本酒は糖化とアルコール発酵といった二つの化学反応を同時に同じタンクで並行して行う工程があることが大きな特徴である。「並行複発酵」と呼ばれる独特の醸造方法が、他の醸造酒に比べて高いアルコール度数を得ることができる要因になっている。
通常酵母がアルコールを作り出すにはその約2倍の量の糖分が必要となるのだが、糖の濃度が高すぎると酵母が糖を消費する効率が低下するため発酵はうまく進まない。日本酒は糖化とアルコール発酵を同時に行うことによってバランス良く発酵を進めることができるため、20度近いアルコール度数を得ることができるのである。

ちなみに、日本酒のように並行複発酵を採用しているのは、中国の紹興酒や韓国のマッコリが知られている。

2. 日本酒の山廃仕込みとは

日本酒ははじめから大きなタンクで作るのではなく、あらかじめ「酛桶」と呼ばれる小さなタンクで、いわゆるスターターの役割をもつ「酒母(酛)」を造って酵母を大量に培養する。

酒造りは開放状態で行われているため雑菌が入り込む可能性もあり、雑菌の繁殖を抑えて優良な酵母だけを増やすために、酒母造りの工程で乳酸菌を含ませることで酸性を強くして雑菌の増殖を抑えている。

工業生産された人工の乳酸を加える「速醸酛」は約2週間で完成するのに対して、乳酸菌を育てて造る伝統的な製法である「山廃仕込み」や「生酛」は、速醸の倍以上(30~40日)の時間も手間もかかるといわれる。

山廃仕込みは、酒母造りの工程に関する製法の一つであり、正式名称を「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」という。これは、「山卸という作業を省略して造る」という意味を持つ。山卸は、糖化を促進させるために、蒸米、麹、水を混ぜ粥状になるまですりつぶす酒母造りの工程のことをいうが、それはとても重労働であった。技術革新が進むとともに、この山卸の作業を省いても、「生酛」の味わいを造り出すことができるようになった。

ちなみに、山廃仕込みと速醸酛は明治時代に開発され、多くの蔵元で採用されたという。

3. 日本酒の山廃仕込みの味わいは?

以上のように、生酛系である山廃仕込みの味わいは速醸酛と比べられることも多い。

山廃仕込みと生酛は、空気中や蔵内の天然乳酸菌を使用し、低温でじっくりと育てる中で自然界の様々な菌と戦って勝ち残った酵母菌であるため、生命力が強く、製造の最終工程になっても死滅することが少ないとされる。そのより強い酵母と乳酸の働きが味にも影響を及ぼすと考えらえている。

生酛系:より自然界の味わいが活きており、乳酸菌や他の微生物(や細菌)がもたらす幅のある複雑かつ濃醇でパワフルな飲みごたえのある仕上がりになるとされる。

生酛系の山廃仕込みは一言でいうなれば力強い風味のため、軽い淡麗な日本酒に慣れている人は、重すぎると思うかもしれない。しかし、この骨太さの虜になってしまえば、ほかの日本酒に物足りなさを感じてしまうほどであるともいわれている。

生酛系である山廃仕込みは、製造期間に1カ月近く要するうえ、大変手間がかかるために、現在採用している蔵元は非常に少なくなっているということからも、貴重で特別な酒としても知られており、愛飲家も多い。

速醸酛:透明感のあるすっきりした味わいになるとされ、ほとんどの酒がこの製造方法で製造されている。

結論

大変な手間と時間を惜しまず、古来の製法にこだわる山廃仕込みは、特別な酒としてファンも多い。すっきりと軽い酒に慣れている人は、ぜひ山廃仕込みの力強い風味を試してみてほしい。うまい酒の造りを追求してきた職人の歴史あるこだわりにふさわしい複雑な味わいを感じることができるだろう。

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