1. 魚料理の今昔

昨今の魚事情
現在の日本では鮮魚店が減少していることもあり、丸のままの魚はもとより、新鮮な魚類を手軽に手に入れることが難しく、魚料理をするとなると切り身魚や冷凍に頼ることが多い。スーパーやデパートにとっても売れ残りは死活問題。それを避けるため、安定的に需要のある鮭やマグロ、サバなど、定番と呼ばれる魚をメインに取り扱うことになる。結果、魚料理はどうしてもマンネリしてしまうのだ。
魚類の消費量
日本は古くから、魚を食べてきたお国柄。1980年代ごろまでは、1世帯における魚類の消費量は伸びていたが、高度経済成長に伴い、食事が西洋化、多様化したこともあり、現在ではかなり落ち込んでいる。現象の原因としてももう一つあげられるのが、食の外部化と呼ばれるもの。これは家庭内での食行動の負担を軽減するよう、外食、調理済食品や弁当などで、食事を済ませるというもの。この外部化が進むことで、何かと取り扱いの難しいと思われる魚料理は、さらに家庭料理から離れてしまった。
魚類の栄養
しかし、魚類には肉類に負けない栄養素が豊富に含まれている。良質なタンパク質、DHAやEPAと呼ばれる多価不飽和脂肪酸は血管を正常に保つ働きがあり、コレステロールを下げたり、血栓を予防する効果が期待できる栄養素、肝機能の働きを促すタウリン、骨や歯を丈夫にするカルシウムなど、例をあげればきりがないほど。ぜひ、積極的に取り入れたい食品なのだ。
2. 魚を美味しくする漬け込み技

魚料理の裏技
普段の食事に積極的に取り入れたい食材であることがわかった魚類。ただ、前述の通り、どうしてもマンネリしがち。さらに骨や皮などの残飯が出ること、どうしても生臭くなってしまう、そんなマイナスイメージが強く、躊躇されてしまうのが現状だ。
今回は、そんなマイナスイメージを覆すような魚の調理法=漬け込み技をお届けしていく。
今回は、そんなマイナスイメージを覆すような魚の調理法=漬け込み技をお届けしていく。
生臭さを回避
魚料理、最大の難点である生臭さ。これを回避するのにぴったりなのが、漬け込み技なのである。そもそも漬け込み技は、傷みやすい魚類をいかに長く保存するか、という命題に答える形で発展した技術。醤油や味噌など、風味の良いものに漬け込むことで、魚本来の美味しさと旨味がぐんとアップするのだ。
色々な漬け込み技
漬け込み魚としてよく知られるものに、西京漬け、味噌漬け、南蛮漬けなどが挙げられる。どれも一手間かかっているので、そのまま食べられるのも特徴で、ご飯はもちろん、酒のアテになるところも嬉しいポイント
3. 漬け込み技を学ぶ

幽庵焼き
味噌漬けや西京漬けより簡単に、すぐ作れる漬け込み技といえば、幽庵焼き。柚子の香りが清々しく、幕の内弁当や料亭などでも提供されることが多い、その技術は江戸時代から育まれてきた技。どんな魚でも美味しく食べることができるので、覚えておこう。まずは、旬の魚の切り身を用意。皮側に塩を振り、30分ほど置いて、臭みをだし、水気を拭いてから輪切りにした柚子、酒、醤油、みりんを1:1:1で混ぜたタレにつければOK。漬け時間は、30分から半日ほどがオススメ。あとはこんがり焼くだけ。
煮切り酒
上記の通りでも十分に美味しいが、さらに美味しく食べるコツがある。これが煮切り酒というもの。これはみりんと酒のアルコールを飛ばし、より濃厚にする技術。全体の味わいが、よりまろやかになるので、若干手間だがオススメしたい。とはいえ、方法は至って簡単。鍋に酒とみりんを入れ、半量ぐらいまで弱火で煮詰めるだけ。冷まして、醤油を加えれば、これで漬けダレがワンランクアップする。
他の柑橘類でアレンジ
基本の幽庵焼きを覚えたら、あとはアレンジ自在。これからの季節であれば、漬けダレにカボスやダイダイなどを絞ると風味がいい。
結論
めんどくさいと思われがちな魚料理だが、少し手を加えるだけでぐっと美味しく、食べやすくなる。この幽庵焼きは冷凍保存も効くので、さらに試す価値あり。冷凍の場合は、解凍せずにそのまま焼くのがオススメだ。
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