1. マヨネーズ発祥の国はスペイン
卵と油、酢と塩胡椒を混ぜて作るマヨネーズは、いまや家庭になくてはならない存在だ。毎日使ってしまうという人もいるかもしれない。そんなマヨネーズの生まれ故郷についてリサーチしていこう。
マヨネーズ発祥の地はメノルカ島
スペイン東岸にあるバレアレス諸島。マヨルカ島やイビサ島とともに地中海に浮かぶメノルカ島は、透明度の高い美しい海に囲まれたリゾート地だ。バルセロナから飛行機で1時間ほどで到着するこの島こそが、我々日本人がこよなく愛するマヨネーズ発祥の地だという。マヨネーズを世界に広めるキーマンになったのは、18世紀半ばに当時イギリス領だったこの島に進撃したフランス軍指揮官、リシュリュー公爵である。
マヨネーズの名前の由来
リシュリュー公爵が訪れたのは、美しい港町マオンにある料理屋だ。ここで肉料理に添えられていたソースこそ、マヨネーズのルーツにあたるものだ。あまりの美味しさに、公爵は国に持ち帰るとマオン風のソース=Mahonnaise(マオンネーズ)として紹介した。それがMayonnaise(マヨネーズ)となり、世界的に広まったということだ。
元祖マヨネーズの材料は卵黄とオリーブオイルだけ
現在、日本で普及しているマヨネーズの材料は、だいたいが卵黄、塩、ビネガー、油など。ところが元祖メノルカ島の「サルサ・マオネーサ」は、卵黄と塩とオリーブオイルのみを使う、いたってシンプルなものだ。島では毎年、手作りの腕を競う、マヨネーズ選手権も開催されているという。その作り方は、2個程度の卵黄に少々の塩を加え、そこにオリーブオイルを少量ずつ加え、ひたすらかきまぜていくというもの。慣れないとなかなか難しいが固まれば完成だ。
2. マヨネーズの発祥地には諸説あり
いまでは多くの国で愛されているマヨネーズ。実はその発祥には、メノルカ島以外にも諸説存在する。ここでは、さまざまな説について調べていこう。
マヨネーズはフランスが発祥という説
まずひとつめは、そもそもフランス発祥という説。フランス南西部、バスク地方にある町バイヨンヌ。ここで古くから愛されてきたバヨネーズというソースこそ、ルーツであるという説。そもそもフランス人は、マヨネーズが大好き。茹で卵にマヨネーズをのせた「ウフマヨネーズ」は、ビストロの定番料理だ。そういった観点からも、フランス説もあながち間違いではないかも、と思ってしまう。
マヨネーズはエジプトが発祥という説
さらに遡ること数千年。なんと古代エジプトやローマでも似たようなものが食べられていたという説もある。オリーブオイルと卵を合わせただけのよりシンプルなものだったと考えられている。これは、メノルカ島で作られたものと同じだ。もしかしたらこちらがルーツという可能性もないとはいえない。
3. マヨネーズ発祥から世界中に愛されるまでの歴史
諸説が次々と登場するほど、世界中で愛されているマヨネーズ。そんなマヨネーズが、世界に広まった経緯を整理していきたい。
フランス料理のソースとして定着
マヨネーズが初めて文献に登場するのは、18世紀後半から19世紀初頭。マヨネーズと書いてはあるもののレシピがなかったり、逆にジュレや仔牛を使うものなど、到底マヨネーズとは思えないものも多くあったようだ。そんななか近代に続くマヨネーズのルーツを確立した人の1人とされているのが、フランス料理の父の異名を取るアントナン・カレームだ。彼は著書の中で卵黄と植物油と酢を混ぜ合わせたものをマヨネーズと呼ぶと掲載したことから、ヨーロッパ全土にマヨネーズが広がることとなった。
アメリカで商品化
アメリカにも広まりを見せたマヨネーズだったが、当時は超高級ソースの位置付け。これが徐々に庶民の手に渡ってきたのは、19世紀も終わりに差し掛かった頃とされている。商品化の火蓋を切ったのは、ドイツからの移民が開いたニューヨークのデリカテッセン。あまりの美味しさに客からサラダに使用されているマヨネーズの販売を求められたことから、商品化に乗り出したとされている。1912年には大量生産にこぎつけた。これと同時期にいまでもアメリカのトップブラントのひとつBest Foodsでも生産がはじまっていたとされている。
4. 日本のマヨネーズの発祥はキューピー
日本でマヨネーズといえば、キューピーを思い浮かべる人も多いことであろう。その通り、日本初のマヨネーズを作ったのは、キューピーだ。ここではその歴史を紐解いていこう。
日本のマヨネーズの歴史
アメリカで広まったマヨネーズをいち早く、日本に取り入れたのがキューピーの創始者である中島菫一郎氏だといわれている。アメリカの家庭でよく食べられているサラダにかけられていたマヨネーズを見て、ひらめき、日本に紹介することを決意する。マヨネーズは、卵が使われていることもあり、栄養価が高かったことも彼を惹きつけた理由のひとつで、現地からその作り方や味を学び帰国した。日本人の健康を意識して、アメリカのものの倍量の卵を使って作られたマヨネーズが初めて製造されたのが、1825年。初めは整髪料と間違えられるなどの困難もありながら、売り上げを伸ばしたのもつかの間、第二次世界大戦に突入。「いい素材がなければ作れない」と製造を中断し、再開されたのは戦後3年を経過した、1948年だ。以降、日本の食卓に欠かせない存在としての地位を確立してきた。
日本のマヨネーズの特徴
海外のマヨネーズを食べたことがある人は、おそらく「これマヨネーズじゃない!」と思ったことであろう。実は、上記の通り日本のマヨネーズの多くは、卵がたっぷりと使われていて、コクがある。酸味もやわらかでマイルドなところが特徴だ。対して、世界のマヨネーズは全卵タイプが多く、よりあっさりとしている。また日本では1958年にキューピーがポリボトル入りのマヨネーズを発売して以来、プラスチックボトルが定番だが、海外ではマヨネーズといえば、瓶が主流だ。色も日本のほうが黄色味が強く、海外のものはより白っぽい。
結論
マヨネーズは、世界中で愛されている調味料のひとつ。発祥に関しては、諸説あるがスペインのメノルカ島が有力だとされている。そもそもはソースとして誕生したものが、徐々にひとつの調味料として確立していったようだ。日本のマヨネーズは世界のものよりも濃厚なことで知られている。各国のマヨネーズを取り寄せて、食べ比べてみるのも面白いかもしれない。
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