1. ハンバーグは、ロシア生まれ?

今やアメリカの名物料理として知れ渡っているハンバーガーに欠かせないのが、なんといってもハンバーグだ。そんなハンバーグの原形を生み出したのは、現在で言うと北アジア・シベリア・東ヨーロッパにあたる幅広いエリアで活動していた、遊牧民・タタール人なのだという。タタール人は、現在のロシアにおいて2番目に多い人種でもある。限られた食材を大切に食べていた彼らは、筋張って固い羊の屑肉(馬肉だったという説もある)を調理する時に、ある工夫をした。遠方へ移動するついでに皮に包んだそれらを鞍の下に入れておき、馬の動きによる上下運動と自らの体重でこねることで、柔らかく食べやすいよう加工していたのである。
一部のタタール人は後に自らをモンゴル民族と称し、後にヨーロッパの他の国々、特にロシアを度々侵攻することとなる。結果ロシアに定住の地とする者が現れ、そこでタタール人が食べていた肉料理をロシア人が「タルタル・ステーキ」と呼んでいたものが、ハンバーガーに使われるハンバーグの原形だ。
ちなみにこの"タルタル"という言葉には、ギリシア神話に出てくるタルタロスに由来するという説がある。タルタロスとは神さえも怖れる地獄の底のような空間のことで、13世紀頃のヨーロッパ各地では脅威的に恐ろしいモンゴル人のことを「地獄から来た者」という意味を込め、タルタルとも呼んでいたらしい。
一部のタタール人は後に自らをモンゴル民族と称し、後にヨーロッパの他の国々、特にロシアを度々侵攻することとなる。結果ロシアに定住の地とする者が現れ、そこでタタール人が食べていた肉料理をロシア人が「タルタル・ステーキ」と呼んでいたものが、ハンバーガーに使われるハンバーグの原形だ。
ちなみにこの"タルタル"という言葉には、ギリシア神話に出てくるタルタロスに由来するという説がある。タルタロスとは神さえも怖れる地獄の底のような空間のことで、13世紀頃のヨーロッパ各地では脅威的に恐ろしいモンゴル人のことを「地獄から来た者」という意味を込め、タルタルとも呼んでいたらしい。
2. タルタル・ステーキが、ハンバーグになるまで

ハンバーグの原型であるタルタル・ステーキは、加熱せずに食べる料理だ。日本でもおなじみの韓国料理「ユッケ」のような、細かくなった生肉を想像するとわかりやすいだろう。それがどのようにしてハンバーグになったのかは、ロシアとドイツの関係が鍵を握る。タタール人を通してロシア中に広まったタルタル・ステーキは、まず羊肉から牛肉を使ったものへと変化し、玉ネギのみじん切りや生卵が加えられるようになった。その後盛んな交易をきっかけに、ドイツの港・ハンブルグに持ち込まれることとなる。タルタル・ステーキを気に入ったドイツ人は、塩・胡椒や様々なスパイスを混ぜ合わせ、さらなる改良を重ねた。この状態のものは、現在でもフランス・ドイツ・スペイン・イタリアなどロシア以外のヨーロッパ諸国でも人気料理として親しまれている。
それではいつ頃からタルタル・ステーキを焼いて食べるようになったのかというと、実のところ定かではない。17世紀頃のある時、食べきれなかったタルタル・ステーキを焼いて食べてみた誰かが、外側のカリカリ感と内側の柔らかくジューシーなハーモニーに驚き、知り合いに話したものが伝わっていったという説だけが知られている。そしてこの時点では、このタルタル・ステーキを焼いた料理は、まだハンバーグと呼ばれていない。それどころか現在も、一部ではハンバーグよりも、ハックフライシュフリカデレやグリレッタいう呼び名の方が浸透している。
それではいつ頃からタルタル・ステーキを焼いて食べるようになったのかというと、実のところ定かではない。17世紀頃のある時、食べきれなかったタルタル・ステーキを焼いて食べてみた誰かが、外側のカリカリ感と内側の柔らかくジューシーなハーモニーに驚き、知り合いに話したものが伝わっていったという説だけが知られている。そしてこの時点では、このタルタル・ステーキを焼いた料理は、まだハンバーグと呼ばれていない。それどころか現在も、一部ではハンバーグよりも、ハックフライシュフリカデレやグリレッタいう呼び名の方が浸透している。
3. ハンバーグと呼ばれ、ハンバーガーになるまで

味と見た目だけはハンバーグとなったタルタル・ステーキだが、ハンバーガーとなるには、今度はドイツとアメリカの関係が鍵を握ることになる。18世紀~19世紀の頃、世界の港として知られるようになったドイツのハンブルクとアメリカのニューヨークとの間に航路が結ばれると、両国を行き来する者やアメリカに移住するものが出てくるようになる。当時ハンブルクでは、タルタル・ステーキを焼き、目玉焼きやパンなどを添えて提供される料理が広まっており、この料理がアメリカにも持ち込まれた。するとこの料理は「ハンブルク生まれ」だということで、ようやく「ハンバーグ」と呼ばれるようになる。地名である「Hamburg」と料理名の「hamburger」。英語で綴りを書くと、両者の名前がよく似ていることがわかるだろう。
こうしてアメリカでも市民権を得たハンバーグは、20世紀の初頭にはパンに挟んで食べられるようになる。ハンバーグを挟むスタイルは、1900年にコネチカットの食堂で生まれたとか、ウィスコンシン州のチャーリー・ナグリーンという男が売れ残りのミートボールを売り捌くために始めたのがきっかけだとか諸説あり、いつ頃から「ハンバーガー」と呼ばれるようになったのかという事実ははっきりしていない。名前に関しては、自身が由来だと主張するニューヨーク州のハンバーグ村という場所まで存在している。
1904年にセントルイスで行われた万国博覧会の会場内では、すでに「ハンバーガー」という表記で販売されていたという記録だけが残っている。
こうしてアメリカでも市民権を得たハンバーグは、20世紀の初頭にはパンに挟んで食べられるようになる。ハンバーグを挟むスタイルは、1900年にコネチカットの食堂で生まれたとか、ウィスコンシン州のチャーリー・ナグリーンという男が売れ残りのミートボールを売り捌くために始めたのがきっかけだとか諸説あり、いつ頃から「ハンバーガー」と呼ばれるようになったのかという事実ははっきりしていない。名前に関しては、自身が由来だと主張するニューヨーク州のハンバーグ村という場所まで存在している。
1904年にセントルイスで行われた万国博覧会の会場内では、すでに「ハンバーガー」という表記で販売されていたという記録だけが残っている。
結論
ハンバーガーのルーツを紹介してきたが、ドイツとの関係は知っていても、ロシアとの関係はご存じなかった方も多いのではないだろうか。とはいえ、ハンバーグやハンバーガーがロシア発祥かといわれると、それもまた疑問が残る。ルーツとしては間違いないかもしれないが、鞍の下の生肉がハンバーガーになるまでには、あまりにも沢山の人々や国が関わっており、どの段階を発祥とするのかで考え方も変わってくるだろう。ちなみにタルタル・ステーキがドイツに伝わるのにロシアは関係なかったという説や、ハンブルグの領主が生肉を焼くよう命じてハンバーグが誕生したという説もある。普段何気なく食べているハンバーガー、ぜひその歴史にまで思いを馳せながら食してみてほしい。