1. そうめんの栄養価と不足している栄養素とは?
おかずとは一汁三菜でいう「菜」のことで、その主な役割は主食と汁物だけでは不足してしまう栄養素を補うというものだ(※1)。そのため、栄養面の観点からそうめんのおかずを考える場合は、まず「そうめんそのものの栄養価」と「そうめんに不足している栄養素」を確認する必要がある。
そうめんの栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」にはそうめん(乾)とそうめん(ゆで)の栄養価が掲載されている。そうめん(ゆで)の100gあたりの栄養価は以下のとおりである(※2)。
- エネルギー:127kcal
- たんぱく質:3.5g
- 脂質:0.4g
- 炭水化物:25.8g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.09g
・一価不飽和脂肪酸:0.04g
・多価不飽和脂肪酸:0.20g - ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.1mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.02mg
・ビタミンB2:0.01mg
・ナイアシン:0.2mg
・ビタミンB6:0mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:2μg
・パントテン酸:0.25mg
・ビタミンC:0mg - ミネラル
・ナトリウム:85mg
・カリウム:5mg
・カルシウム:6mg
・マグネシウム:5mg
・リン:24mg
・鉄:0.2mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.05mg - 食物繊維:0.9g
(・水溶性食物繊維:0.3g)
(・不溶性食物繊維:0.6g)
なお、一般的には「そうめん一人前は乾麺100g程度」とされている。これは茹でると270g程度になる。上記はあくまで100gあたりの栄養価であるため、実際の食事の量とは異なる点は注意しよう。
そうめんに不足している栄養価
小麦粉でできているそうめんには炭水化物が多いものの、たんぱく質・脂質・ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などは少ない。そのため、たんぱく質の多い肉類・魚類・卵などを使った主菜と、ビタミンやミネラルが多い野菜類・キノコ類などを使った副菜をそれぞれ用意するのがおすすめだ。
2. 肉を使ったそうめんに合うおかず
肉料理では主にたんぱく質や脂質などを補うことができる。しかし、部位によっては脂っこさがしつこく、暑い時期に食べにくい場合も多い。そのため、味付けや調理方法を工夫するのがポイント。主な肉料理には牛肉・豚肉・鶏肉の三つがあるが、ここでは豚肉と鶏肉それぞれのおかずを紹介する。
豚バラの味噌炒め
濃厚でボリュームたっぷりの肉料理を食べたいなら、豚バラのスライス肉を使って味噌炒めがおすすめ。豚バラ肉以外にピーマンやナスなどの夏野菜を入れれば、不足気味のビタミン類やミネラル類を補うこともできる。味噌の香りが食欲をそそるため、夏バテ気味のときにも食べやすい。
サラダチキンとみょうがの和え物
ヘルシーなサラダチキンに、キュウリとみょうがを混ぜ合わせて和え物にするのもよい。みょうがのさわやかな香りがアクセントとなり、さっぱりとしたおかずを楽しむことが可能。そうめんの薬味にもなるみょうがを食材に使うことで、薬味感覚で鶏肉の和え物を食べることができる。
3. 魚を使ったそうめんに合うおかず
魚料理は肉料理ほどしつこくないため、夏バテ中でも食べやすい。また、栄養面に関していうとたんぱく質やカルシウムのほか、EPAやDHAなどに代表される不飽和脂肪酸が多いことが特徴。魚には数多くの種類があるが、ここでは丁度夏の時期に旬を迎える「アジ」を使ったおかずを紹介する。
アジのなめろう
アジの刺身にみょうが・大葉・ごまなどの薬味を加えて叩くだけの簡単料理である。薬味がアジ特有のニオイを消してくれるため、クセなく食べることができる。しかも、そうめんとの相性が抜群にいい。梅を加えてから叩いた「梅風味のなめろう」は、そうめんのトッピングとしてもおすすめだ。
アジの南蛮漬け
アジの南蛮漬けもそうめんのおかずにピッタリだ。魚のうま味と甘酸っぱい味付けのバランスがよく、ニンジンやパプリカなどを加えれば見た目もよくなる。また、ニンジンやパプリカは緑黄色野菜であるためビタミンA(βカロテン)が豊富。栄養バランスもよくなるのでおすすめの一品である。
4. 野菜を使ったそうめんに合うおかず
野菜類にはビタミン類・ミネラル類・食物繊維が多く含まれている。これらの栄養素は身体の機能を正常に働かせるために欠かすことができない。そのため、食欲がない夏の時期にも野菜類は食べるほうがよい。ナス・ピーマン・トマト・キュウリ・トウモロコシなどの夏野菜を使うのもおすすめだ。
ゴーヤチャンプルー
夏に旬を迎えるゴーヤを使ってゴーヤチャンプルーを作ってみるのもいいだろう。たんぱく源となる豆腐や卵なども一緒に炒めるため、一品でバランスよく栄養を摂ることができる。「そうめんチャンプルー」があるように、そうめんとゴーヤチャンプルーの味の相性も非常にいいのでおすすめだ。
夏野菜の天ぷら
ナス・オクラ・カボチャ・トウモロコシ・枝豆などの夏野菜を使って天ぷらを作っても美味しい。ナス・オクラ・かぼちゃなどは適当なサイズに切ってから揚げればよく、トウモロコシ・枝豆などは粒とつなぎを合わせてから揚げるとよい。カラッと揚げた天ぷらは、食欲をそそること間違いない。
夏野菜の和え物
ナスやオクラなどを小さくカットして、ポン酢醤油・ゴマ・鰹節などと混ぜるだけの和え物もおすすめだ。夏野菜のみずみずしさや香りを楽しむことができる一品で、そうめんの箸休めにもちょうどいい料理である。栄養バランスもよくなるため、一緒に作ってみるといいだろう。
結論
そうめんは炭水化物が多いものの、そのほかの栄養素が少ない。そのため、肉料理・魚料理・野菜料理などのおかずであれば、不足している栄養素を補うことができる。料理によってはそうめんに合う・合わないがあるため、栄養面だけでなく調理方法や味付けなども工夫するといいだろう。
【参考文献】
- ※1:厚生労働省「日本人の長寿を支える「健康な食事」」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000096855.pdf - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01044_7
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