1. ばくだんおにぎりの特徴・歴史や由来
島根県の主に出雲地方と隠岐地域に伝わる郷土料理のばくだんおにぎりの特徴・歴史や由来を紹介しよう。島根県の北東に位置する隠岐の島は、4つの主島と約180の小島で構成されており、面積は346.22k㎡、海岸線は延長468kmにおよぶ。海に囲まれており収穫できる海藻類が多彩で、冬はアラメ・のり、春はひじき・天草がとれる。
北風が吹く12~2月にかけては岩のり漁が始まり、海面が静まる凪の日に水際の岩場に集まり岩に生えているのりを丁寧に集める「のり摘み」は隠岐の冬の風物詩だ。隠岐でとれる岩のりは繊維が太く歯ごたえがあり、香りが高いと評判を集めている。収穫後は小石などを取り除き板のり状に加工。ほとんど地元で消費されるが、一部は県内外へ流通する。
また岩のりは隠岐で親しまれている岩のり雑煮の必需品で、正月に欠かせない食材のひとつ。その岩のりを贅沢に使用し弁当や間食で食べられているのが、ばくだんおにぎりだ。ばくだんおにぎりの特徴は、丸く大きくにぎったおにぎりを覆うように岩のりが巻かれており、その見ためからばくだんと名付けられた。
2. ばくだんおにぎりの主な使用食材・栄養
次に、ばくだんおにぎりの主な使用食材・栄養を紹介しよう。ばくだんおにぎり作りに使用する食材は、米・岩のり・しょうゆの3つだ。のりには視力低下を防ぎ健康な皮膚や髪を作るビタミンAや、ごはんをエネルギーに変えるビタミンB1、貧血を予防する鉄分、歯や骨を丈夫にしストレス解消の手助けをするカルシウム、腸内をキレイにする食物繊維、コレステロールの低下に効果が期待できるEPAやタウリンなど、さまざまな栄養素が含まれている。
ばくだんおにぎりに使用する米の主な栄養素を紹介すると、炭水化物77%・たんぱく質6%・脂質1%など。消化吸収率は98%と高めで、精白米100gあたりのカロリーは358kcalだ。また身体を作るたんぱく源でもあり、米に含まれるたんぱく質にはアミノ酸がバランスよく含まれている。たとえば卵のたんぱく値を100とすると精白米は81で、牛肉の79や大豆の70よりも高い値だ。ほかにもビタミンB1・B2やナトリウム、食物繊維、カルシウムなど、米にはさまざまな栄養素が含まれている。
3. ばくだんおにぎりの食習の機会や時季
次に、ばくだんおにぎりの食習の機会や時季を紹介しよう。ばくだんおにぎりに使用する岩のりは漁期の間に1年分を収穫し乾燥保存されている。通年流通していることから、ばくだんおにぎりは弁当の主食や子どものおやつなどで日常的に食べられており、地元民から親しまれている。
ほかに地元の食堂や惣菜屋、スーパーでも購入可能だ。ちなみに隠岐では海水に海藻のアラメを浸し、藻塩(もしお)を抽出している。この藻塩を散布して育てる藻塩米の栽培が推進されており、藻塩米を使用したばくだんおにぎりは、隠岐の恵みを存分に堪能できると観光客から人気を集めている。
4. ばくだんおにぎりの作り方
次に、ばくだんおにぎりの作り方を紹介しよう。米を洗い普通に炊く。炊けたらばくだんのように大きく丸く握り、おにぎりを作る。岩のりをガスコンロの火であぶる。目安は岩のりの色が少し緑色に変わるくらいでOK。端のほうまでまんべんなく火を通したいなら、魚焼きの網を使用するとよい。
あぶった岩のりを半分にカットし、片面にしょうゆをつける。醤油がついた面をおにぎりにあてて包んでいけば、ばくだんおにぎりの完成だ。ちなみに島根県内の高等学校では、食堂の売店に唐揚げ入りのばくだんおにぎりが販売されており人気だという。
5. ばくだんおにぎりの食べ方
次に紹介するのは、ばくだんおにぎりの食べ方だ。基本的に具材が入っていないシンプルなばくだんおにぎりが多いが、中には先述した唐揚げや、たくあんなどを入れて食べることもある。
具材なしでも岩のりに味がついているので食べごたえがあり、ほおばると口中にふくよかな磯の香りが広がる。気になる人は岩のりを使用して、ばくだんおにぎりを作ってみてはいかがだろう。
結論
島根県の郷土料理である、ばくだんおにぎりの特徴や作り方を紹介した。1個でもボリュームがあり腹持ちがいいのが、ばくだんおにぎりの最大の魅力といえるだろう。ふくよかな磯の香りを楽しみながら、食べごたえのあるばくだんおにぎりをぜひ味わってもらいたい。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 ばくだんおにぎり
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/bakudanonigiri_shimane.html
農林水産省 うちの郷土料理 ばくだんおにぎり
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/bakudanonigiri_shimane.html
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