1. へぼ飯とは?

へぼ飯とは、へぼ(蜂の子)の炊き込みご飯のことである。愛知県の西三河地域・東三河地域・奥三河地域などで食べられている郷土料理の一種であるが、昨今はへぼの採取量が減っているためごちそうの一つになっているという。へぼが芋虫のような見た目をしているため苦手という人も少なくないが、一口食べてみると香ばしさと優しい甘みがあるため非常に美味しい料理となっている。
へぼ採りとは?
へぼ採りとは、へぼ飯に欠かせないクロスズメバチの巣を採ることをいう。かつては水田の畔などさまざまな場所に巣を作っていたというが、農薬などの影響により現在は山の中に作ることが増えているそうだ。また、昨今はへぼの採取量も、へぼを採る人も少なくなっている。しかし、現在もへぼ愛好家は少なくなく、産地では「へぼの巣の品評会(コンテスト)」なども行われている。
へぼの巣の品評会とは?
へぼ採り自体は少なくなっているが、現在でも秋頃にへぼの巣の品評会などが行われている。有名なものには、岐阜県恵那市串原では毎年11月頃に「くしはらヘボまつり」がある。ここではへぼ愛好家の方々が集まり、へぼの巣の重さを競っているという。こうした場所ではへぼを使った「へぼ飯」「へぼ五平餅」なども売られており、またへぼの巣の販売なども行われているという(※1)。
2. へぼ飯に含まれる主な栄養素

へぼ飯には各種調味料も使われているが、メインとなるのはご飯とへぼ(蜂の子)の二つである。そこでそれぞれの食材の特徴的な栄養素について確認しておこう。
その1.ご飯(白米)
ご飯の栄養素といえば「炭水化物」をイメージしがちだが、実は炭水化物のほかにもたんぱく質・ビタミン類・ミネラル類などの栄養素をバランスよく含んでいる(※2、3)。また、ご飯に最も多く含まれる炭水化物(糖質)は、主に即効性の高いエネルギー源となる(※4)。摂りすぎは肥満に繋がるため注意が必要だが、元気に活動するためには必要不可欠な栄養素といえる。
その2.へぼ(蜂の子)
へぼ(蜂の子)は、昔から貴重なたんぱく源として食べられていたという。実際、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を見ると、はちの子缶詰100gあたりのたんぱく質量は16.2gと多く含まれていることがわかる(※2)。そんなたんぱく質は体内では筋肉や臓器などを作るための材料になる(※4)。なお、たんぱく質以外にも、へぼにはビタミン類やミネラル類などが含まれる。
3. 美味しいへぼ飯の作り方

へぼ飯に使用する材料は、白米・へぼ(蜂の子)・各種調味料(砂糖・しょうゆなど)だけとなっている。また、作り方は比較的シンプルで、炊いたご飯の中に味付けしたへぼを入れるだけだ。具体的には以下のような手順なので、もし興味があるならお家でもへぼ飯を作ってみよう。
- へぼをフライパンで空炒りする
- フライパンに砂糖としょうゆを加え煮立たせる
- 炊きあがったご飯にへぼを加えて混ぜればへぼ飯の完成
4. へぼ飯のリメイク料理2選

へぼ飯を作りすぎたら、リメイク料理に挑戦するのもおすすめだ。へぼ飯があまりメジャーではないためリメイクするのは難しそうだが、たとえば、海苔巻きやチャーハンなどにするとまた別の味わいを楽しむことができる。そこでへぼ飯のリメイク料理についても2種類紹介しておこう。
その1.へぼ飯のピリ辛海苔巻き
へぼ飯を使った海苔巻きはおすすめだ。特にラー油を少し加えてピリ辛に仕上げると、海苔の風味も合わさってより美味しくなる。作り方は、あらかじめへぼ飯にラー油を合わせておき、それを海苔で包むというもの。また、具材にキュウリや卵焼きなどを加えてみてもよい。韓国の海苔巻きのようにひと口大に切れば、食べやすさもある「へぼ飯のピリ辛海苔巻き」の完成となる。
その2.へぼ飯のチャーハン
へぼ飯を使ってチャーハンを作るのがおすすめだ。作り方は普通のチャーハンと同じで、油を引いたフライパンで長ネギを炒め、しんなりしてきたら卵を投入。卵に火が通ったら、へぼ飯を入れて鶏がらスープ・醤油・塩コショウで味を調えれば完成だ。チャーハンの香ばしさとへぼ飯の香ばしさが合わさり美味しくなる。簡単にリメイクできるので、へぼ飯が余ったらぜひ試してみよう。
5. 人気の市販の蜂の子を紹介!

へぼ飯は愛知県の郷土料理であり、ほかの地域ではあまり食べることができない。そのため、もしへぼ飯を食べたいなら市販の蜂の子缶詰・瓶詰めを購入するのがおすすめだ。そこでAmazonなどで人気の蜂の子缶詰・瓶詰めをいくつか紹介しておこう。
その1.原田商店「花九曜印 蜂の子」
花九曜印 蜂の子は、1886年(明治19年)に創業した原田商店の蜂の子である。天然のクロスズメバチを採取して、創業以来ずっと続けてきた伝統製法で作り上げた一品だ。甘辛の味わいであり、へぼ飯をはじめへぼ料理には欠かすことができない。缶タイプと瓶タイプがあり、サイズは65gから800gまで幅広く取り扱っている。初めての人でも使い勝手がいい蜂の子といえるだろう。
その2.つかはら「蜂の子田舎炊」
蜂の子田舎炊は、長野県伊那市にある伊那の幸 塚原信州珍味が販売している蜂の子である。クロスズメバチを使っており、伝統の田舎炊きで仕上げており濃い目の味わいが特徴だ。へぼ飯に使ってもいいし、お酒のおつまみなどもおすすめ。また、サイズは60gから300gまであり、こちらも使い勝手がよくなっている。
結論
へぼ飯は愛知県の郷土料理の一種であり、へぼ(蜂の子)の採取量が少なくなった現在はごちそうとして振る舞われている。そんなへぼ飯は「蜂の子」をネット通販などで購入すれば、自宅で作ることも可能だ。もし興味があるならへぼを買ってみて、へぼ飯づくりに挑戦してみるとよいだろう。
【参考文献】
- ※1:岐阜県観光連盟「くしはらヘボまつり(ヘボの巣コンテスト)」
https://www.kankou-gifu.jp/event/3138/ - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - ※3:米穀安定供給確保支援機構「茶わん1杯のごはん」
https://www.komenet.jp/_qa/chawanippai/chawan_ippai04.html - ※4:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 へぼ飯
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/hebomeshi_aichi.html
農林水産省 うちの郷土料理 へぼ飯
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/hebomeshi_aichi.html
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