1. 串カツとは

串カツといえば、大阪名物のひとつ。さまざまな素材を串に刺して揚げたもので、家族や仲間内で共有できるソースにつけて食べるのが一般的だ。みんなで同じソースを使うことから、「二度漬け禁止」という名台詞が生まれた。
庶民の味方から高級店まで
通天閣があることでも知られる大阪の繁華街、新世界。ここは串カツの聖地とも呼ばれる場所だ。とんかつよりもリーズナブルで、庶民に親しみやすい味として発展した串カツだが、いまでは高級素材を使用する店も多い。東京で串揚げ、串カツというと豚肉と玉ねぎやネギを交互に串刺しにして、それをフライにしたものをイメージする人も多いようだが、関西地方でいうところの串カツは、素材が多種多様。肉はもちろん、野菜、魚介類をはじめ、各店趣向を凝らした素材を使用している。定番素材といえば、紅生姜やハムカツ、肉詰めや肉巻きアスパラなど、手の込んだものも。
串カツとキャベツ
串カツには、キャベツがお通しとしてついてくるのが一般的。この場合、千切りではなくざく切りなど、大きめのフォルムが定番である。実はこれ、ソース二度漬け禁止を救う救世主でもある。一度では足りなかったソースをこのキャベツですくうことが許されているのだ。
2. コロナ禍と串カツ

この度のコロナ禍で衛生に関する概念も大きく変わりつつある。その波は串カツ文化をも直撃。これまで二度漬け禁止とされていたソースが、二度漬けのみならず、一度漬けも敬遠されることになってしまったのだ。
コロナと串カツのソース
コロナの感染防止策のひとつとして、共有のソースを撤廃する店が増えている。どうしても欲しいという客に対しては、別料金で提供するなどの工夫がされるケースも。ただその一方で、グループごとにソースを破棄することで、一度漬けはOKとしている店もある。店ごとにさまざまな対応を行うことで、安心や安全を提供しているようだ。
3. 串カツ以外にもコロナ禍で変化する食文化

カウンター人気
新しい生活様式では隣り合った席での食事が推奨されている。そのこともあり、カウンターを所有している店舗が人気を集めている。カウンターは横並び以外にも、仕切りが設置しやすいなどの利点もある。またいままで目につかなかった近所の店にも足を運ぶ機会が増えた人も多い。しばらくの間は、外食は地元でという人も多くなりそうだ。
新しい価値
これまでの外食は、薄利多売の傾向が強かった。ところがコロナ禍で行動が制限されると、その方法では集客を生み出すのが困難な店が続出してしまった。外食産業だけに限ったことではないが、淘汰される時代に突入したともいえるだろう。これからは食に新しい付加価値を見出していく必要性がある。これは消費者側も然り。何を選び、何を食べるかということがよりフィーチャーされるようになる。
食の変化で得られるメリット
ただそれは悪い点ばかりではない。よりクオリティーの高いテイクアウトや通販、宅配サイトが続々と登場したことで、中食のバリエーションが一気に広がりを見せた。たとえば、串カツにも持ち帰り、通販が急速に増えた感がある。いままでなかなか進まなかった食とITとの関連も加速するだろう。そのほか、コロナ禍において料理を始めたという人も多く、それに伴って売れる食材にも変化が起こりそうだ。
結論
コロナ禍は、私たちの生活を一変させた。生きるうえで欠かせない食も大きく変化が求められている。大阪発の人気フード、串カツに欠かすことができないソースにも変化が訪れているようだ。食は文化のひとつである。廃れないよう、工夫を重ねて継承していきたいものだ。