1. 宮重大根にはどのような歴史があるか?

大根には分類があるが、最も広く知られているのは青首大根だろう。一般的な青首大根のルーツとされているのが宮重大根だ。見ためは一般的な青首大根と似ているが、ややずんぐりしており、先端が丸みを帯びている。旬は11~12月頃とされており、一般的な大根とほぼ同じと考えてよいだろう。宮重という名前は原産地である愛知県の宮重に由来する。現在は清須市に含まれており、宮重大根は清須の名物ともされている。栽培が始まったのは江戸時代初期とされており、美味しさから大名に献上されるようになった。それにより、宮重大根の名前が全国に広まったといわれる。時代を経るにつれ産地が広がっていったのだが、改良品種の台頭などにより一度は生産されなくなってしまった。しかし、現在は宮重大根に類するさまざまな品種が作られており、宮重大根の名前はブランド名として使われている。また保存会の活動により、純正の宮重大根の復活が試みられている。
- 切り干し大根も有名
宮重を中心とした地域では、切り干し大根も名産だ。冬には息吹おろしと呼ばれる季節風が北西から吹く。この風を大根の干しあげに利用できるため、この地域は、切り干し大根を作りやすい環境なのだ。宮重大根を使った加工品として、切り干し大根が親しまれている。
2. 宮重大根の甘みを活かす!美味しい食べ方

宮重大根は水分が多めで甘みが強い。また、煮崩れしにくいという特徴もある。幅広い調理に対応できるため、一般的な大根と同じように気軽に使えばよいだろう。ただ、宮重大根そのものの味をじっくり楽しみたいなら、まずはシンプルな料理を作ってみたい。その筆頭はふろふき大根だ。そもそも宮重大根が大名に献上されるきっかけになったのが、ふろふき大根にして食べたことだという説がある。したがって、この食べ方なら間違いなく美味しく食べられるはずだ。作り方は一般的な大根と同様だ。宮重大根の崩れにくいという特徴を活かすなら、じっくり煮込んで柔らかくし、出汁の旨みをしっかりしみ込ませるのがよいだろう。ほかにも煮物を中心に幅広い料理に使える。また、大根おろしにしてもよい。甘みが強いものの、青首大根ならではの辛さも感じられるため、薬味としてうってつけだ。ほかにもいろいろ試したい。
- ご当地グルメとして、変わり種の使い方もある
宮重大根の名産地である清須市では、宮重大根を使ったレシピが考案されている。中には変わり種もあるのだ。たとえば餃子の具に使う、カレーの具にするなど、意外だが美味しそうな例も多い。甘みが強い宮重大根ならではの使い方だといえる。
3. 宮重大根は自分で栽培もできる!

宮重大根は清須市などで買うこともできるが、じつは自分で栽培することもできる。種が販売されており、品種によっては家庭菜園のサイズでも栽培可能だ。気候にもよるが、おおまかには夏の後半に種を蒔き、11~12月頃に収穫というスケジュールになる。タイミングを調整すれば、寒冷地(早め)や温暖地(遅め)での栽培も可能だ。間引きや肥料の管理が必要になるため、決して手軽ではない。ただ、家庭菜園を試したい、あるいは宮重大根を食べたいがなかなか手に入らないという人は、栽培を検討してみるのもよいだろう。
結論
宮重大根は青首大根のルーツだといわれている。純正の宮重大根はいちど途絶えてしまったが、復活の試みが進められている。現在手に入るものも味がよく、煮込みをはじめとしてさまざまな料理に合わせられる。栽培もできるため、なかなか手に入らないという人も食べるチャンスを作れる。興味を持った人は、ぜひ一度宮重大根を食べてみてはどうだろうか。
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