1. 刺身に合わせる献立のポイント

刺身の献立を考える前に、まずは刺身でどんな栄養素が摂れるのか確認しておこう。刺身の種類や量によって摂れる栄養素は異なるが、例えば、マグロ・ブリ・タイ・甘エビ・タコ・イカ・ホタテ・カツオ・サバなどの「盛り合わせ」の場合には、栄養面について以下のような特徴が見られる。
【刺身の栄養面のメリット】
- 良質なたんぱく質を摂ることができる
- ビタミンD、B6、B12などを多く含む
- カリウム、マグネシウム、リンも摂れる
【刺身の栄養面のデメリット】
- 炭水化物・食物繊維はほとんど摂れない
- ビタミンA、K、Cなどもほとんど含まれない
- カルシウム、マンガン、クロムなども少ない
※醤油を使うとナトリウム摂取量が増える
刺身を食べるときの献立の方向性
刺身の種類にもよるが、一般的には魚介類由来の良質なたんぱく質、ビタミン類、ミネラル類を補える。また、中トロや大トロなどがあれば、脂質や不飽和脂肪酸も摂ることが可能だ。しかし、刺身だけだと、炭水化物や特定のビタミン類・ミネラル類が不足している。そのため、ご飯などの主食を加えるとともに、野菜類や豆類、乳製品など使った副菜・汁物なども食べるようにしよう。
2. 刺身に合う献立~主食4品~

刺身はご飯が進む主菜であるため、白飯でも美味しく食べられる。しかし、刺身と白飯だけでは栄養面が偏ってしまうため、白飯にちょい足しして栄養バランスを整えるのがおすすめだ。ここではそんな刺身に合う主食を4品紹介する。
主食1.野沢菜漬けの混ぜご飯
野沢菜(野沢菜漬け)は、刺身に不足しているビタミンAやカルシウムなどを多く含んでいる。そんな野沢菜漬けを適当な大きさに切って、炊き立てのご飯に混ぜて「野沢菜漬けの混ぜご飯」を作ってみるのもおすすめだ。また、トッピングにおかか(鰹節)や白ゴマを加えると、味も香りもグンとよくなる。簡単に作れるだけでなく、アレンジ性も高いのでおすすめの一品となっている。
主食2.大葉と梅の混ぜご飯
刺身の薬味として使われることもある「大葉(しそ)」を使うのもおすすめだ。大葉はビタミンAやカルシウムなどを豊富に含んでおり、栄養面でも刺身と相性がいい。そんな大葉の使い道はさまざまあるが、例えば、細長く切っておき、潰した梅干しや白ゴマなどと一緒に白いご飯に混ぜるだけでも美味しく食べられる。また、刺身を乗せて「海鮮丼」にしても美味しく食べることが可能だ。
主食3.枝豆ご飯
たんぱく質、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維が豊富な枝豆をご飯と一緒に炊いて「枝豆ご飯」を作ってみよう。作り方は簡単で、炊飯器で白飯を炊く際に生の枝豆を加えるだけ。あとは普段どおりスイッチを入れるだけで、美味しい枝豆ご飯が完成する。枝豆の香りや味わいがご飯に広がり、美味しい主食を楽しめるようになる。市販の冷凍枝豆を使うと手早く作ることが可能だ。
主食4.とうもろこしご飯
食物繊維を多く含んでいる「とうもろこし」をご飯に混ぜるのもおすすめとなっている。作り方は枝豆ご飯のときと同じで、白飯を炊くときにとうもろこしを一緒に加えるだけである。とうもろこしの甘みが加わり、美味しい主食を楽しむことができる。なお、炊き立ての白飯にバター醤油で炒めたとうもろこしを加えるという方法もある。
3. 刺身に合う献立~副菜・おかず4品~

刺身とご飯だけだと、どうしても食物繊維やビタミン類が不足しがちになってしまう。そのため、刺身を食べるときには、野菜類や豆類などを使った副菜も用意しよう。ここでは刺身にも合って栄養面も優れている副菜・おかずを4種類紹介する。
副菜1.きんぴらごぼう
ごぼうや人参といったシャキシャキとした根菜を使った「きんぴらごぼう」はおすすめの一品。食物繊維を多く摂れるだけでなく、ビタミンAや葉酸といった刺身で不足しがちな栄養素を補うことも可能だ。なお、「ごぼうや人参を調理するのが大変だ」と感じる場合には、市販の「きんぴらごぼうミックス」を使ったり、出来合いのきんぴらごぼうを食べたりするのもよいだろう。
副菜2.かぼちゃの煮物
栄養満点のかぼちゃを使って「かぼちゃの煮物」を作ってみよう。かぼちゃはビタミンA、ビタミンK、ビタミンC、食物繊維を多く含み、刺身に不足している栄養素を補ってくれる。ただし、かぼちゃの煮物を作るのが大変なときには、市販の「冷凍かぼちゃ」が便利なのでおすすめだ。鍋に煮汁を作っておき、そこに冷凍かぼちゃを加えて煮るだけで、あっという間に煮物を作ることができる。
副菜3.茶碗蒸し
メインが刺身のときのおすすめ副菜のひとつが「茶碗蒸し」だ。使う食材によって異なるが、しいたけ・かまぼこ・ぎんなん・鶏肉などを入れれば、ビタミン類・ミネラル類などをバランスよく摂ることができる。普通、茶わん蒸しは蒸し器でていねいに蒸す必要があるが、電子レンジを使って時短することも可能だ。手軽に茶碗蒸しを楽しみたいときには、ぜひ電子レンジを有効活用してみよう。
副菜4.なすの揚げ浸し
程よい苦味やうま味が楽しめる「なす」も刺身とよく合う。定番は天ぷらなどだが、素揚げしてから漬けダレに浸して作る「なすの揚げ浸し」もおすすめだ。ジューシーな味わいが楽しめる一品で、温かいままでも、冷たくしても美味しく食べることができる。旬の時期なら生のなすを使うのがおすすめだが、そうでないなら市販の冷凍なすを使ってもよい。
4. 刺身に合う献立~汁物4品~

刺身を食べるときには、温かい汁物・スープも用意しよう。定番は味噌汁やお吸い物であるが、かきたま汁や豚汁などもおすすめとなっている。ここではそんな刺身に合う汁物を4品確認しておこう。
汁物1.のりと小ネギの味噌汁
刺身に合わせて海の幸を使いたいなら、「のりの味噌汁」を試してみるのもよい。作り方は、鍋にお湯を沸かしてからだし入り味噌を溶かしておく。そこに手でちぎったのりと刻んだ小ネギを加えたら完成だ。磯の香りがして、刺身をより美味しく食べることができる。ちなみにのりにはビタミン類・ミネラル類・食物繊維など、刺身に不足している栄養素が多く含まれている。
汁物2.ふわふわ卵のかきたま汁
「完全栄養食品」といわれている卵を使ってスープを作るのもおすすめ。卵のスープにはさまざまな種類があるが、和食である刺身と合わせるなら「かきたま汁」にするとよい。鍋にだし汁・醤油・みりんなどを入れて沸騰させる。そこに溶き卵を細く入れれば、かきたま汁の完成である。最後に小ねぎを散らしたり、三つ葉をトッピングしたりすると見た目も華やかな汁物に仕上がる。
汁物3.具だくさんの豚汁
豚肉・人参・ごぼう・大根・ネギなどを使った「豚汁」もおすすめの汁物である。一度にさまざまな具材を使えるため、食物繊維やビタミン類を多く摂ることが可能だ。なお、具材を準備するのが大変なら、市販の「豚汁ミックス」を使うのもおすすめだ。必要な具材(野菜類)がカットされた状態で梱包されているため、豚肉や調味料などを用意すれば簡単に豚汁を作ることができる。
汁物4.エビ団子のお吸い物
刺身に合わせる汁物を上品なものにしたいなら「エビ団子のお吸い物」などを作ってみよう。エビや魚のすり身(はんぺん)、片栗粉、生姜の絞り汁などを合わせてエビ団子を作る。そして、出汁を沸騰させておいた鍋に入れて、中までしっかりと火を通せば完成だ。エビ団子を作るのが大変なら、市販のエビ団子を使うのもいいだろう。
結論
刺身の種類にもよるが、一般的な刺身の盛り合わせの場合はたんぱく質、ビタミンD、B6、B12、カリウム、マグネシウムなどを摂ることが可能だ。そのため、栄養バランスを整えるために、ビタミンA、K、Cやカルシウム、食物繊維などを含む食品を合わせるとよいだろう。栄養面や調理法、味付けなどに気を付けながら、美味しくて栄養バランスの取れた献立を立てるようにしよう。
【参考文献】
- ※:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
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