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焼き海苔の材料【スサビノリ】とは?その生態と養殖技術に迫る!

焼き海苔の材料【スサビノリ】とは?その生態と養殖技術に迫る!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 佐々木 倫美(ささきともみ)

鉛筆アイコン 2020年7月25日

スサビノリという海藻の名前を聞いたことはあるだろうか。おそらくなじみのない人も多いだろう。しかし実は、我々の食生活にとってきわめて身近な存在でもある。知らなくても困りはしないだろうが、知って損はないだろう。本記事では、スサビノリがどのような海藻なのか、どのような特徴をもっているのかを説明していく。

  

1. スサビノリは焼き海苔の材料、食生活と切っても切り離せない!

まず、スサビノリとは一体どのような海藻か。実は、日常的に食べられている焼き海苔の原料は、ほぼすべてスサビノリなのだ。もっといえば、ナラワスサビノリという種が最も多く食べられている。この種の名前は、千葉県の奈良輪という地名からとられた。ところで、海苔といえばアサクサノリだ、という印象をもつ人もいるかもしれない。ある意味では正しいのだが、実は天然のアサクサノリは絶滅危惧種に指定されており、加工はおろか見かけることすら難しいのだ。養殖のアサクサノリなら食べられるが、スサビノリのほうが盛んに生産されている。実際、現在日本で生産されている海苔は、ほぼすべてスサビノリなのだ。ほかに、海苔の佃煮にも本種が使われることがある。スサビノリという名前だけ聞いてもなかなかなじみがないが、実は日本人の食生活と密接に結びついているのだ。

2. 天然のスサビノリは意外に複雑なメカニズムで生きている

スサビノリの養殖が日本各地で行われることからわかるように、スサビノリは幅広い環境下で生息できる。天然のスサビノリも北海道から瀬戸内海や九州まで幅広く分布している。繁殖期は冬から春にかけてで、生育期間が長い。面白いのは、夏の動きだ。繁殖により生まれた胞子が糸状体と呼ばれる形態になり、貝殻などに穴を開け潜り込むのだ。そして水温が下がると胞子から発芽し、よく見る海藻の形(葉状体)となる。スサビノリは単にじっと波を受けているだけにも思えるが、実は意外と複雑なメカニズムで生きているのだ。ちなみに繁殖期である冬から春は、スサビノリが葉状体となっているため、収穫できる時期でもある。ただ、海の冷たい時期にスサビノリを探して獲るのも大変だ。それもあって、効率のよい養殖が求められているといえる。

3. スサビノリの養殖技術は、絶えず開発されている

ノリの養殖自体は、江戸時代には始められていたようだ。とはいえ、当時は東京の沿岸のみで、普及しているとはいいがたかった。養殖が全国に普及したのはもっとあと、1940年代終わりごろからの技術開発の進展に伴ってだと考えられる。現在はさまざまな湾内でノリが養殖されているが、その9割以上はスサビノリ、残りがアマクサノリという内訳になる。これは、スサビノリのほうが病気に強く、かつ見ためもよいためだと考えられる。アサクサノリは独特の香りがあり美味しいのだが、海水の汚染に弱いという弱点がある。公害が社会問題となるのに伴い、アサクサノリの養殖も数を減らしていったのではないだろうか。2012年の時点では、たとえば下記の県でスサビノリが盛んに養殖されている。
佐賀:21.4億枚
福岡:14.1億枚
熊本:11.8億枚
(全国:87.8億枚)
かなりの枚数にも思えるが、実際には年によって生産量にばらつきがあり、大きな変動もありうる。時には不作の年もあり、海苔が手に入らないこともある。近年ではアサクサノリとスサビノリの交雑種なども開発され、より安定した供給に向けて努力が続けられている。

結論

スサビノリは我々が日常的に食べる焼き海苔に使われている、きわめて身近な食材だ。また、単に岩などに張り付いているだけのようにも思えるが、実は意外と複雑な方法で生き延び、繁殖している。養殖技術が発展してからは全国で生産されるようになったが、年によっては生産量が大きく減ることもある。それらを克服すべく、研究が進められているのだ。海苔を食べる際、少しだけ思いを馳せてみてはどうだろうか。
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  • 更新日:

    2020年7月25日

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