1. パエリアの色と匂いの元は?
パエリアといえば明るい黄色をイメージするかもしれない。この色付けに使われているのがサフランというスパイスだ。サフランはアヤメ科の多年草でクロッカスの仲間である。
- サフランが高価な理由
サフランは1つの花に1本しかない三分裂した雌しべを抜き取り、乾燥させたもの。1gのサフランを取るのに150本以上の花が必要であり、高価なスパイスである。サフランの収穫は伝統的に手で1つ1つ摘み取る必要があり、このことも価格が高くなる原因の1つだ。
- サフランの色や匂いの成分
サフランの黄色は「クロシン」という色素成分である。クロシンは水に溶けやすい性質があり、水やぬるま湯に20分以上付けて色出しするときれいな黄色に仕上がる。また、サフラン独特の上品な芳しい香りは「サフラナール」という成分だ。
- ターメリックとの違い
パエリアの黄色い色付けに、サフランの代用としてターメリックを使う場合もある。ターメリックに含まれるクルクミンは油に溶けやすい性質のため、油と一緒に使うと鮮やかに黄色く色付けすることができる。
2. パエリアにおすすめの具材を紹介
パエリアは具材を変えていろいろなアレンジを楽しむことができる料理である。地域によって具材に違いが表れるのも興味深い。
- 定番のパエリア
パエリアの具材はエビやイカ、ムール貝、白身魚といった魚介類を使ったシーフードのパエリアが定番だ。これは日本だけでなく、スペインやほかの地域に行っても圧倒的人気があり、海の幸の出汁によって自然の旨みを出してくれる。殻付きの貝やエビを使えば、見ためも豪華でパーティーなどにもピッタリだ。
- バレンシア風パエリア
スペインのバレンシア地方で食べられているパエリアは、鶏肉、ウサギ肉、ガラフォン豆、モロッコいんげん、トマト、カタツムリやアーティーチョークなどの具材を使って作られる。シーフードは一切使わないもので、バレンシアの人達にとってパエリアといえばこちらの種類のことである。パエリアには塩とサフラン以外は調味料を入れないため、材料の風味を生かした素朴な味わいになる。
ほかにムルシア地方で食べられている野菜のみのパエリアや、イカ墨パエリアなど、さまざまなバリエーションがある。魚介類と鶏肉の両方が入った「ミックスパエリア」は、比較的新しいジャンルのパエリアである。
3. パエリアの簡単な作り方
パエリアはフライパンだけでなく、ホットプレートや炊飯器でも簡単に作ることができる。ここでは、それぞれの作り方を見てみよう。
- フライパン
玉ねぎ、人参、セロリなどの野菜をみじん切りにして炒め、トマトを煮詰めて酸味を飛ばす。魚介類、水、塩、サフランを入れてひと煮立ちしたら魚介類を取り出し、米をふり入れる。火加減を調整しながら取り出した魚介類を戻して、レモンとイタリアンパセリをのせて完成だ。炊き込みごはんのようにならないためには、米を洗わないこと、炒めないこと、ふたをしないこと、この3つがポイントである。
- ホットプレート
フライパンと同じ要領で作ることができる。ホットプレートなのでここ一番の火力が不足するが、手軽に作るには問題ない。火加減を調整しながら作るとよいだろう。
- 炊飯器
炊飯器で作る場合、米は洗ってザルにあげておく。炊飯器に米を入れたら普通に炊くよりも少し水を少なめに入れ、野菜やトマト、魚介類、サフランを加えて炊く。炊きあがったら塩こしょうで味を調える。
結論
パエリアはスペイン東部のバレンシア地方を発祥とする料理の一つである。黄色い色付けにはサフランが使われるが、ターメリックで代用することも可能だ。定番のシーフードパエリア以外にも、バレンシア風パエリアやイカ墨パエリア、野菜のみのパエリアなどさまざまなバリエーションがある。パエリアの語源であるフライパンを使った調理法以外に、ホットプレートや炊飯器でも簡単に作ることができるので試してみてほしい。
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