1. 大蔵大根とはどのような野菜?
大蔵大根は東京都世田谷区の特産品だ。世田谷区の南西部にある大蔵近辺はかつて大蔵原と呼ばれており、大蔵大根という名前はここで栽培が始まったことに由来する。といっても、元からいまの品種だったわけではない。元々は源内つまり大根という品種が大蔵原に伝わり、品種改良が進むうちに現在の品種になったといわれる。広く栽培されるようになったものの、青首大根の栽培が普及するにつれ、徐々に数を減らしてしまった。青首大根は栽培が比較的簡単で、かつ病気に強いという特性があるのだ。平成時代に入ってから、生産者の努力により大蔵大根が再び栽培されるようになった。復活した大蔵大根はより伝統的な品種であるため、とくに「伝統大蔵大根」という名称で区別して呼ばれるようになった。現在では、JA東京中央会選定の「江戸東京野菜」にも選ばれている。直売所を中心に売られているので、興味がある人は足を運んでみてはどうだろうか。
2. 大蔵大根を食べるなら、部位による味の違いを意識しよう
大蔵大根は一般的な大根と同様に、部位によって味が違う。そのため、相性のよい調理法も異なってくる。首側は甘みが強く辛みが弱いため、大根おろしやサラダといった生食向きだ。一方で先のほうは辛みが強く、どちらかといえば加熱調理するのがおすすめだ。もちろん、辛みが好きな人はあえて先のほうを生食するのもよい。また、大蔵大根は水分が少なめで煮崩れしにくいという特徴もある。したがって、煮物にはうってつけだ。じっくり煮込むおでんなどに使うのもよいだろう。また、形が円筒形で、ほぼ均一な太さだ。そのため、輪切りにすると形がきれいに整う。料理の見ためにこだわる場合でも、大蔵大根なら問題ないだろう。
3. 大きい大蔵大根を、無理なく使いきるための食べ方
大蔵大根は幅広い食べ方で楽しめる。とはいえ、実が大きいので使いきるのは簡単ではない。目安となる食べ方をいくつか把握して、食べきれるようにどんどん料理していこう。おすすめの食べ方をいくつか紹介する。
- 漬物にする
漬物にはさまざまな食材を使えるが、大根は簡単に作れるもののひとつだといえる。最も手軽なのは浅漬けだろう。短冊切りにした大根を塩もみし、しばらく重しで押さえたうえで置いておけばよい。1時間もしないうちに水分が抜けてくるので、その水分を捨てれば完成だ。冷蔵庫で2、3日程度は保存できるため、食事に少しずつ取り入れれば食べきるのも難しくない。
- 煮物のメインにする
先述のように、大根は煮物とも相性がよい。複数具材のひとつではなくメインの具材にすれば、たくさん食べられる。たとえば、シンプルにふろふき大根にしてみてはどうだろう。薄味の出汁で煮込んで好みのタレを使えば、味の調整ができるので無理なく食べられるはずだ。カロリーも少ないため、量を食べるのにも抵抗がないだろう。
- 混ぜごはんに使う
大蔵大根をごはんに混ぜ込む形で使えば、無理なく量を食べられる。余ったら冷凍保存すればよいので、たくさん作っても問題ない。大蔵大根の甘みをしっかり味わいたいなら、うってつけの料理だろう。大蔵大根の葉にも栄養が含まれるので、せっかくなら刻んで加えて、さらに栄養を補いたい。
結論
大蔵大根は、青首大根の台頭により一度は数を減らしてしまった。しかし復活し、現在では世田谷区の特産品となっている。部位によって味が違い、使い分ければ幅広い食べ方で楽しめる。大蔵大根は大きいが、使い方を工夫すれば無理なく食べきれるだろう。大蔵大根が手に入ったら、新鮮なうちに料理して楽しんでいただきたい。
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