1. 赤魚(アカウオ)とは?

赤魚(アカウオ)には「ハゼ科の魚の一種を指す場合」「体色が赤色の魚類の総称を指す場合」「カサゴ目フサカサゴ科の魚の通称を指す場合」などいくつかの意味がある。このうち一般的に赤魚というと、カサゴ目フサカサゴ科の魚の通称であることが多い。また、赤魚は日本近海でも漁獲されているが、スーパーなどで売られている赤魚の多くは海外産のものである。
赤魚の年間の流通量と主な産地
東京都中央卸売市場の「市場統計情報(月報・年報)」によれば(※1)、2020年の年間流通量は約21トンであった。また、年間通じて月に1~2トン程度取引されており、最も多く取引されたのは8月の約2.6トンとなっている。出荷地別に見ると、赤魚は全国的に漁獲されているが、最も多いのは茨城県の約6.5トン。それから宮城県(約6.1トン)、東京都(約5.3トン)と続いている。
2. 赤魚と呼ばれる魚の一覧

水産庁の「魚介類の名称のガイドラインについて」によれば(※2)、アラスカメヌケ、モトアカウオ(タイセイヨウアカウオ)、チヒロアカウオ(オキアカウオ)の3種に、「赤魚」という一般名称を付けることができることになっている。ここではそんな3種類の赤魚について詳しく解説する。
種類1.アラスカメヌケ
アラスカメヌケは全長40~50cm程度で、赤色の体色とメバルのような見た目が特徴の海水魚。日本近海でも漁獲されるが、名前の通りアラスカ湾などで多く漁獲される魚である。そのため、通常は冷凍輸入されることが多く、スーパーなどでも冷凍状態で売られていることが多い。また、アラスカメヌケはアコウダイに代わり、「鯛粕(たいかす)」の原材料として使われることもある。
種類2.モトアカウオ(タイセイヨウアカウオ)
モトアカウオは全長35~55cm程度で、黄色っぽい紅色の体色と飛び出した大きな目玉が特徴の海水魚。アラスカメヌケの近縁種ではあるが、名前の通り大西洋に生息している魚である。また、水深100~1000mの海底に生息するが、特に400m以浅に生息することが多い。肉質は非常によくて、日本にも冷凍輸入されている。1990年代以降は「鯛粕」の原材料として使われている。
種類3.チヒロアカウオ(オキアカウオ)
チヒロアカウオは全長40cm程度で、モトアカウオよりもやや小ぶりの海水魚。アラスカメヌケと同じように大西洋に生息しているが、水深400~600mに多く生息しているという。利用方法はモトアカウオと同じで、冷凍輸入されることもあれば、「鯛粕」の原材料として使われることもある。
3. 赤魚(アラスカメヌケ)の基本的な栄養価

文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には(※3)、「赤魚」という項目名はないが、「アラスカめぬけ(生)」の栄養価は収録されている。これによれば100gあたりの「アラスカメヌケ」の栄養価は以下のようになっている。
アラスカメヌケ(生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:96kcal
- たんぱく質:17.2g
- 脂質:3.4g
- 炭水化物:0.1g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.49g
・一価不飽和脂肪酸:1.46g
・多価不飽和脂肪酸:0.59g - ビタミン
・βカロテン:0μg
・ビタミンD:3μg
・ビタミンE:1mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.04mg
・ビタミンB2:0.05mg
・ナイアシン:1.1mg
・ビタミンB6:0.07mg
・ビタミンB12:1.6μg
・葉酸:2μg
・パントテン酸:0.24mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:Tr - ミネラル
・ナトリウム:81mg
・カリウム:290mg
・カルシウム:22mg
・マグネシウム:26mg
・リン:170mg
・鉄:0.2mg
・亜鉛:0.4mg
・銅:0.02mg
・マンガン:0.01mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:- - 食物繊維:0g
この記事もCheck!
4. 赤魚の美味しい食べ方5選

ふっくらとした白い身と淡白でクセのない味わいが特徴の赤魚(アラスカメヌケ)は、煮付け・味噌漬け・塩焼き・唐揚げなどさまざまな料理で楽しめる。また、和風な味付けだけでなく、ムニエルやソテーなどにしても美味しい。ここではそんな赤魚の美味しい食べ方を5種類紹介しておこう。
食べ方1.赤魚の煮付け
赤魚の定番の食べ方の一つが「煮付け」。甘辛く味付けした身はふっくらとして柔らかく、非常に美味しい一品ができ上がる。作り方はフライパンに下ごしらえした赤魚を置き、水・砂糖・醤油・料理酒・みりんなどと一緒に10分ほど煮詰めるだけだ。一般的に鮮魚を使ったほうが美味しいとされているが、冷凍ものでも十分美味しい。赤魚を手に入れたら、ぜひ一度は煮付けを試してみよう。
この記事もCheck!
食べ方2.赤魚の塩焼き
煮付けと並んで人気があるのが「赤魚の塩焼き」。淡白な味わいである赤魚は、塩焼きにすることでほのかな甘みを楽しめるようになる。塩焼きにするときは、小ぶりなものは丸のまま焼くことも可能だが、大きいものは3枚におろしてから降り塩をするとよい。それから15分程度置いてから、魚焼きグリルで焼くようにしよう。簡単だが赤魚の食べ方としてはおすすめの一つとなっている。
食べ方3.赤魚の味噌漬け・西京漬け
味噌(西京味噌)に漬ける「味噌漬け」も美味しく、塩焼きよりも味噌漬け(西京漬け)のほうが好きという人も少なくない。作り方は、保存容器に味噌とみりんを混ぜ合わせたものを入れる。それからガーゼで包んだ赤魚を入れて、味噌ダレを被せておこう。その状態で一晩寝かせれば下ごしらえは完了で、あとは味噌を落としてから魚焼きグリルなどで焼けば美味しい味噌漬けの完成だ。
食べ方4.赤魚のパン粉焼き
あっさりとしてクセの少ない赤魚は、洋風な仕上がりにしてもよい。例えばパン粉焼きにするなら、切り込みを入れた赤魚に塩こしょうを振る。それから、パン粉・パルメザンチーズ・ガーリックパウダー・乾燥パセリを混ぜた衣を赤魚の表面にまんべんなくつける。そして、オリーブオイルを入れたフライパンでしっかりと焼きあげれば完成だ。アレンジとしてカレー粉を混ぜるのもおすすめ。
食べ方5.赤魚の唐揚げ
赤魚を唐揚げにするのもおすすめ。作り方は、ひと口大に赤魚をカットしてから醤油・酒などで下味を付ける。それから衣を付けて、170℃程度の油でカラっと揚げれば完成だ。また、赤魚の唐揚げはそのまま食べても美味しいが、ネギダレや甘酢ダレなどをトッピングしても美味しい。ご飯のおかずにも、お酒のおつまみにも適した一品である。
5. 冷凍赤魚の正しい解凍方法

冷凍販売されていることが多い赤魚を煮付けなどにする場合は、冷凍されたまま調理することも可能だ。しかし、塩焼きや味噌焼きなどにする場合は解凍することが多い。冷凍された魚類は通常、冷蔵庫などに一晩移して自然解凍するほうがよい。ただし、時間がないときは流水解凍や電子レンジ解凍することも可能である。なお、解凍した魚は1~2日以内には食べ切るようにしよう。
結論
赤魚と呼ばれる魚はいくつかあるが、現在はアラスカメヌケやモトアカウオなどが冷凍販売されていることが多い。これらの魚はあっさりとした味わいとふっくらとした身が特徴であり、煮付け・塩焼き・味噌漬けなどにすると非常に美味しい。スーパーの鮮魚コーナー・冷凍コーナーなどで売られていることが多いので、もし興味があれば赤魚を探してみよう。
【参考文献】
- ※:水産物市場改善協会「「あかうお」とは何か」
http://www.osakana-center.com/q&a/009/2.htm - ※1:東京都中央卸売市場「市場統計情報(月報・年報)」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/geppo/ - ※2:水産庁「魚介類の名称のガイドラインについて」
https://www.maff.go.jp/j/heya/pdf/guide_line.pdf - ※3:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
この記事もCheck!