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【管理栄養士監修】いくらの栄養素と効能を解説|栄養図鑑

【管理栄養士監修】いくらの栄養素と効能を解説|栄養図鑑

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 藤江美輪子(ふじえみわこ)

鉛筆アイコン 2020年11月 1日

卵の代表格であるいくらは、ぷちぷちとした独特の食感で不動の人気を誇る。一方で、いくらはカロリーやコレステロールが高いというイメージがあり、中高年には敬遠されることもある。いくらに含まれる栄養素は、具体的にどのような効能があるのだろうか。健康だけではなく美容の面でもメリットが多いいくらの栄養についてみていこう。

  

1. いくらが豊富に持つ栄養素は?脳を活性化してくれるDHAなどの脂質

まずは、いくらの脂質からみていこう。脂質というと減量の敵のように思われるかもしれないが、いくらに含まれる良質な脂質は健康維持のために大きな役割を果たす。それはなぜだろうか。

魚卵の中でも優秀な食材であるいくら

2017年に麻布大学が実施した調査(※1)によると、魚卵100gに含まれるEPA(またはIPA)とDHAと呼ばれる脂肪酸の量はいくらとすじこ、そしてししゃものそれが突出して多かったことが報告されている。EPAとDHAはn-3系不飽和脂肪酸に属し、30~49歳の男性の1日あたりの摂取目安量は2.0gとされている(※2)これはいくらを40g食べれば摂取できる量である。一方、いくらに含まれる塩分は同摂取量でも通常の人ならば問題がないと明記されている。つまり、美味しくて豊富な脂肪酸に恵まれたいくらは理想的な食材なのである。

そもそも脂肪酸とは

EPAやDHAと呼ばれる脂肪酸は、近年とくに注目を浴びている栄養素である。これらの脂肪酸は、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病に効能があるだけではなく、脳や神経にもよい影響を与えることが明らかになっている(※3)。つまり、中高年こそいくらを適度に摂取するべきなのである。

2. いくらが豊富に持つ栄養素は?免疫力を上げてくれるビタミン

いくらとビタミンというイメージはあまり結びつかないが、実際にはビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEが豊富に含まれている。とくに特筆すべきはビタミンDの量である。このビタミンDが免疫力上昇におおいに寄与してくれるのである。いくらに含まれるビタミンのはたらきをみてみよう。

免疫力を高めるビタミンDといくら(※4)

いくらに含まれるビタミンで注目すべきはビタミンDである。海外にはビタミンDを強化した食品を販売している国もある。ビタミンDはカルシウムの吸収を調節するはたらきがあるため、骨に影響するが、ほかにも免疫力にも大きな影響を与えている。いくら100g中には、このビタミンDが44㎍も含まれている。これは、ビタミンDの1日摂取量の目安を大きく超える数値である。またビタミンDは日光に当たると皮膚で合成されるのだが、日照時間が短い地域などでは皮膚からのビタミンD合成が減少しビタミンD不足を招く可能性がある。日照時間が短い時期にいくらを食べることは有益なのである。

3. いくらが豊富に持つ栄養素は?老化を防ぐアスタキサンチン

アスタキサンチンとは、海洋性生物が多く有益な栄養素である。別名を「海からの贈り物」と呼ばれるほど、強い抗酸化作用をもっている。いくらをはじめとする海の赤い生物が有するアスタキサンチンについて詳細をみてみよう。

エイジングケア成分をいくらから

アスタキサンチンは、いくらだけではなく鮭やエビ、カニにも含まれている。共通点は赤い色だが、これらの生物がアスタキサンチンを作り出しているわけではない。食物連鎖が繰り返される中で、海藻がもつアスタキサンチンがプランクトンへ、さらにエビや魚へと蓄積された結果、鮮やかな赤色となったのだ。アスタキサンチンは、抗酸化作用を有することが明らかになっている(※5)。つまり、アスタキサンチンを豊富に含むいくらを食することは美容にもよいことになる。

4. いくらが豊富に持つ栄養素は?疲労回復や美肌へ導くたんぱく質

健康を維持するために不可欠なたんぱく質は、もちろん良質なものであることが望ましい。いくらに含まれるたんぱく質の量は、魚介類の中でも多いほうだ。その効能とともにみてみよう。

肉よりも豊富ないくらのたんぱく質

一般的に大人が1日に必要とされるたんぱく質の量は、50~60gとされている。いくらは、100g中に32.6gのたんぱく質を有している。高たんぱく質な食品と聞くと肉類をイメージするかもしれないが、この量は肉類に含まれる量よりも多い。たんぱく質は、筋肉や、肌のためには不可欠の栄養素であり(※6)、人間が健康を維持するために不可欠の栄養素とされている。厚生労働省は2019年に、食事摂取基準2020年度版において、高齢者が摂取すべきたんぱく質の目標量の下限値の引き上げも行った(※6)。いくらを食べることで、たんぱく質不足の解消につながる。

5. いくらは栄養豊富なのに実はカロリーが低い!?

いくらが美味しく栄養価が高くても、コレステロールやカロリーを考えると避けたほうがいいと思い込んでいる人も多い。しかし、実際に数字で見てみると意外な事実が浮かび上がってくる。

いくらの気になる数値

まず、いくらのカロリーを見てみよう。いくら100gあたりのカロリーは、272kcalである。決して低いわけではないが、同量の豚のロース肉と比べれば低い。白飯1杯を食べるのに妥当ないくらの量は30gほどである。つまり、それほど目くじらを立てるほどのカロリーではないことがわかる。巷で「コレステロールの取りすぎに注意」という言葉を耳にしたことがある人も多いだろう。確かに取りすぎはよくないが、実は身体にはコレステロール量を厳密に制御する機能が備わっている(※7)。また先に挙げたEPAとDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸はコレステロールのうち、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを低下させる役割をもつ(※2)。また、痛風や肝臓病の人にはいくらが含むプリン体は避けるべきと勘違いされがちだが、日本痛風・核酸代謝学会の基準によれば1日に摂取が許容されるプリン体の量は400mgである(※8)。いくら100gに含まれるプリン体の量は、3.7mg(※9)。つまり、栄養面でのメリットを考えると、常識的ないくらの量であれば積極的に摂取してよい食材であるといえる。

結論

健康面を考慮していくらを我慢すべきという考えは、もはや捨てるべきであることがよくわかっていただけたと思う。むしろ、いくらは積極的に食べてもよい食材なのである。外見・内面の美に気を使っている男性・女性ともにおおいに食べてもらいたい美味、それがいくらなのである。
(参考文献)
※1 脂質栄養学 26巻 225-230ページ 2017年「市販されている魚卵の脂肪酸組成とその特徴について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/26/2/26_225/_pdf/-char/ja

※2 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)脂質」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586558.pdf

※3 厚生労働省 「不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html

※4 厚生労働省「ビタミン(脂溶性ビタミン)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf

※5 厚生労働省「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

※6 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)たんぱく質」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf

※7 管理栄養士養成シリーズ 分子栄養学
「第5章 5.1 脂質の消化吸収と胆汁酸の腸肝循環」

※8 公益財団法人 痛風・尿酸財団
該当ページ名:食品・飲料中のプリン体含有量
https://www.tufu.or.jp/gout/gout4/447#:~:text=%E3%80%8E%E9%AB%98%E5%B0%BF%E9%85%B8%E8%A1%80%E7%97%87%E3%83%BB%E7%97%9B%E9%A2%A8,%E3%81%8C%E7%A4%BA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

※9 公益財団法人 痛風・尿酸財団
該当ページ名:食品中プリン体含量(mg/100g)
https://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf
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  • 更新日:

    2020年11月 1日

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