1. 「ひじきは鉄分が多い」は嘘で実は少ない?
文部科学省の食品成分表によると、ひじきの鉄分はもともと100gあたり55mg含まれているとされていた。しかし、2015年に食品成分表が改定された際、鉄分の含有量は100gあたり6.2mgと大幅に減らされているのだ。主な理由はひじきを調理する際の釜が従来の鉄鍋から、ステンレス製のものに変わってしまったから。ちなみに、同じ理由で切り干し大根の鉄分含有量も100gあたり9.7mgから3.1mgに減少している。鉄鍋で調理すると、食材に鉄分が入り込むため鉄分含有量がグッとアップするのだ。鉄分の王様とも称されるひじきだが、2015年の改定で王様ではなくなってしまった。とはいえ、ひじきには鉄分以外にもカルシウムや食物繊維といった成分も豊富に含まれているため、積極的に摂取したい食品の1つといえるだろう。
2. ひじきの鉄分は産地で違う?
日本で流通しているひじきにはさまざまな産地のものがあり、産地や製法によって鉄の含有量が異なる。最初に紹介した6.2mgは国産のもので、韓国産のひじきには100gあたり47.6mg、中国産のひじきには47.7mgの鉄分が含まれているというデータもある。どれもステンレス製の釜で作られたひじきのため、韓国や中国産のひじきのほうが鉄分の含有量が多いことになる。これらはすべて乾燥した状態のものを指し、水戻し後に加熱調理するとさらに鉄分の含有量は変化する。国産のひじきを油炒めにした場合、100gあたりの鉄分含有量は0.3mgとかなり少なめ。茹でただけのものも同じく、0.3mgと少ない値。鉄鍋を使って加工されたひじきの場合は、水戻し後に油炒めにすると100gあたり2.9mg、茹でたものには2.7mgの鉄分が含まれている。全体的に見て、鉄鍋を使って加工されたひじきのほうが圧倒的に鉄分が多いのが分かるだろう。
3. ひじきの鉄分の吸収率はよい?
鉄分は大きく2種類あり、ヘム鉄と非ヘム鉄に分けられている。ヘム鉄の吸収率が20〜30%ほどなのに対し、非ヘム鉄の吸収率は約5%とかなり低い。ひじきの鉄分は非ヘム鉄に分類されるため、かなり吸収率が悪いのだ。そもそもひじきにはそこまで多くの鉄分が含まれていないため、そのうちの5%となると微々たるものしか摂取できない計算になる。より多い鉄分を摂取したい場合は、鉄製のフライパンなどを使って調理するのがおすすめ。加工段階で鉄鍋を使っているひじきを選ぶのが一番だが、現在ではほとんどがステンレス製の釜で加工されている。自宅で調理する際に鉄製のフライパンを使えば、ひじきの鉄分含有量を多少増やすことができるのだ。加熱時間が長ければ長いほど、フライパンから鉄分が溶け出してくる。しかし、加工時のような数時間単位での調理を行うことはほとんどないため、そこまで鉄分の含有量を増やすのは難しいだろう。
4. 鉄分を摂るにはひじきよりレバーがおすすめ?
先ほどヘム鉄と非ヘム鉄を紹介したが、鉄分が豊富なことで知られるレバーに含まれているのはヘム鉄。また、鉄分の含有量もひじきより多いため、鉄を効率よく摂取できる食品といえるだろう。鶏レバーには100gあたり9mg、牛レバーには4mg、豚レバーには13mgもの鉄分が含まれている。ひじきを一度に大量に食べるのは難しいが、レバーであれば100g程度なら1食で摂取できるのも魅力的。レバーは苦手な人も多いが、味付けを濃くしたり下処理を工夫したりすれば食べやすくなる。ほかにも、赤身肉や赤身の魚などにも豊富な鉄分が含まれている。鉄分は意識して摂取しなければ不足しがちな栄養素なので、レバーや赤身肉を食べて十分な量の鉄分摂取を心掛けよう。
結論
ひじきは鉄分の王様と称されるほど鉄分の多い食品として知られていたが、現在ではかなり含有量が減っているとは驚きだった。ひじきだけで必要量の鉄分を摂取するのはなかなか難しいため、レバーやほかの食材を上手に組み合わせながら摂取してみてほしい。
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