1. 年取り汁とは

年取り汁とは、大みそかに食される具沢山の汁物のこと。年取りとは、大みそかに行われる風習で、大みそかの夕食に、年取り膳と呼ばれる豪華な食事を食べることを意味している。
昔は、大みそかには、1年間無事に過ごせたことを、年神様に感謝し、新しい年神様をお迎えするために供えた膳と同じものを家族で食べていたようだ。
年取り膳の内容は、地域によって異なるものの、年神様にお供えする膳であるだけに、縁起がよいものや豪華なものになる。中でも、魚は年取り魚と呼ばれ欠かせなかったようだ。日本において、魚は昔からお祝いごとに欠かせない食べ物であり、めでたいを意味する「鯛」や出世魚である「鰤(ぶり)」「栄える」を意味する「鮭」などが年取り魚として食べられていた。そのほか、紅白なますや黒豆、昆布など、現在のおせち料理の定番といえる食べ物が、年取り膳に入っていた。
そして、年取り汁は、年取り膳で出される汁物になる。正月に食べる雑煮は、年取り汁をリメイクして作られていたようだ。
2. 年取り汁を食べる主な地域

大みそかに年取り膳や年取り汁を食べるという風習は、かつては、全国各地で行われていたようだ。時が経つにつれ、その風習が徐々に薄れた地域もあれば、いまだに根強く残っている地域もある。とくに、北海道、東北地方、長野県、岐阜県にある市町村の多くは、年取りの行事を行い、年取り汁を飲む風習が残っているようだ。
上記でもお伝えしたように、年取り膳は、おせち料理を兼ねているので、その中身は、黒豆や数の子、田作り、なますなど、おせち料理の定番といえる食材が使われている。
年取り汁の作り方は、地域によって多少異なるものの、かつお、昆布、いりこなどで出汁をとり、醤油で味付けされるという点は、ほぼ共通している。
年取り汁に使用される具材は、厳密には、地域によって異なるが、にんじん、大根、ごぼうなどの根菜類、しいたけ、しめじなどのきのこ類、里芋やじゃがいもなどの芋類、そしてたんぱく源として、豆腐や魚、肉類などが使用されるようだ。たんぱく源となる食材は、地方によって違いが大きく、北海道では鯨、長野県では昔はうさぎなどが使用されていたようだ。
それではこれから、基本的な年取り汁の作り方の手順について紹介しよう。
3. 年取り汁の作り方

材料(4人分)
- 大根 200g
- ごぼう 100g
- にんじん 100g
- 里芋 4個
- 長ねぎ 1本
- こんにゃく 1/2丁
- 焼き豆腐 1/2丁
出汁
- 昆布 適宜
- かつお節 適宜
- 水 4カップ
調味料
- 醤油 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 酒 大さじ2
1.材料を切る
にんじんは半月切り、大根はいちょう切り、ごぼうは縦半分に切ってから3cm程度の長さに切る。里芋は、厚さ1cm程度の輪切りにする。長ねぎは、3cm程度の長さに切る。焼き豆腐は、一口大に切る。
2.こんにゃくを下茹でする
こんにゃくを短冊切りにし、下茹でしアクをとる。
3.出汁を作る
鍋に水4カップと昆布を入れ、火にかけ、沸騰したら火を止め、素早くかつお節を投入する。その後、布巾などで出汁をこす。
4.材料を出汁で煮る
鍋に出汁と材料を入れ、火にかける。煮立ったら、アクをとり火を弱め、すべての材料に火が通るまで煮る。
5.調味料を加える
材料に火が通ったら、上記の調味料を加え、味を調えればできあがり。
結論
年越しの大みそかに食べる年取り汁について紹介した。ご理解いただけただろうか?もっともいまは、年取り汁を食べる地域でも、年取り汁でなく年越しそばを食べる家庭や、年越しそばと年取り汁の両方を食べる家庭など、それぞれの家庭によってばらつきがあるようだ。これを機に、お住まいの地域の年越しの風習を確認されてはいかがだろう。
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