1. 温海かぶの特徴や旬

かぶといっても温海かぶという言葉は、あまり聞きなじみのない人が多いかもしれない。温海かぶの歴史は大変古く、1600年代に記された松竹往来という書物の中にも、庄内地方の産物として記載があるほどだ。外皮は鮮やかな赤紫色だが、果肉は白色。漬物などにすると全体が紫色になる。温海かぶの色素であるルブロラッシンは、アントシアニンの一種である。
また温海かぶは、一般的な白かぶと比べて旨み成分であるグルタミン酸をより多く含んでいるのが特徴。旨みに加えてほどよい辛味と、コリコリとした軽快な歯ざわりが魅力的な野菜だ。しっかりとした肉質、パリッとした歯ごたえは、とくに漬物に向いている。温海かぶの特徴的な焼畑農法は、地面を焼くため害虫や雑菌を駆除できるのがメリット。焼畑でできた灰により土壌のミネラルやカリウムが豊富になるため、無肥料・無農薬で栽培ができる。
2. 温海かぶの美味しい食べ方

生の温海かぶが手に入ったら、まず試していただきたいのが甘酢漬けだ。しっかりした肉質、甘さと辛さの絶妙なバランスは温海かぶならでは。美しい赤紫色の見た目を楽しめるのもうれしい。作り方は簡単なので、料理初心者でも無理なくチャレンジできるだろう。
材料は温海かぶのほかに酢と塩、砂糖のみでOK。葉の部分は切り落として、2等分または4等分にカットしておく。容器の底に、一握りの塩を入れてかぶを並べる。一段ごとに塩を入れて最後に残った塩と酢をかけたら、漬物石をのせて数日漬け込もう。その後、酢と砂糖を煮立たせ冷ましたものを、漬け汁を捨てたかぶにかける。漬物石をのせて漬け込んだら、7~10日程度で完成だ。基本の漬物以外には、煮物やサラダなどに使っても美味しく食べられるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。
3. 生の温海かぶを通販するには

温海かぶは、山形県鶴岡市の在来作物のひとつ。採れたての生の状態を入手するのは容易ではないが、遠方であっても通販で温海かぶの漬物を購入することは可能だ。しかし近年は、生産者の高齢化が進んでいることから生産量が限られているという。気になる人は、ぜひ早めにホームページをチェックしてみてほしい。温海かぶの漬物は、かぶ以外に塩と砂糖、酢のみのシンプルな原材料で作られているので、できるだけ早めに食べきってしまうのがよい。
漬物を保存する際のポイントは、なるべく空気に触れさせないことだ。開封後は、タッパーのような密閉できる容器に移し替え、空気に触れない状態であることを確認してから静かに冷蔵庫に入れて保存する。漬物の冷凍保存は、しゃきしゃきとした食感が失われてしまうため、あまりおすすめはできない。ぜひ美味しく食べられるうちに温海かぶの旨みを堪能しよう。
4. 温海かぶの栽培方法

400年も前から、伝統的な焼畑農法で作られている温海かぶ。水はけのよい傾斜地で栽培されているのが一般的。とくに杉の伐採地は長い間蓄積された腐葉土が豊富であるため、温海かぶの栽培に適しているという。そんな温海かぶは、焼畑をせずとも実は家庭での栽培が可能。種は、種苗店の通販サイトなどで購入することができる。
温海かぶを家庭栽培する場合、土に苦土石灰を適量混ぜておくのがポイントだ。発芽と発育に適した温度は15~20℃で、栽培には保水性のよい土壌が適している。一般的にかぶは、葉が生育したのちに根が大きくなるため、葉が間延びしないようこまめな間引きが欠かせない。収穫が遅れると根に亀裂が生じてしまうため、あまり大きくせず適期収穫がよいだろう。
結論
温海かぶは、何百年も前から変わらない伝統農法で作られている山形県の在来作物。農薬や肥料を使用せずミネラルが豊富な灰を栄養にして発育するため、ち密で歯ごたえのよい肉質に仕上がる。温海かぶならではの美しい赤紫色の見た目で、冬の食卓を鮮やかに彩ってくれるに違いない。冬の間にはぜひ一度、温海かぶを堪能してみてはいかがだろうか。
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