1. せりの旬と主な産地
まずは、一般的にスーパーなどに流通するせりの旬や産地について紹介しよう。
一般的に流通しているせりの旬
せりは、ビニールハウスなどでも栽培されているため、一年を通して購入することができる。一般的にスーパーなどに流通しているせりの旬は、11月中旬〜3月下旬。この旬の時期に、鍋の材料や、七草粥の材料としてスーパーでよく見かけるようになる。せりにはさまざまな種類があるが、スーパーなどで売られているのは、茎が長い特徴がある長ぜり、栽培せり、水ぜりと呼ばれているものだ。
せりの主な産地
せりの収穫量が最も多いのは宮城県で、全体の収穫量の約37%を占める。宮城県では、根まで美味しくいただくせり鍋が有名だ。続いて茨城県が全体の収穫量の約24%を占める。宮城県と茨城県だけで、全国に流通するせりの約60%を生産しているのだ。どちらの県も、露地栽培が中心となっている。
2. 天然せりの旬
次に、日本全国で自生している天然せりについて紹介していこう。
天然せりの旬
せりは夏に花をつける野菜である。そのため、2〜4月頃の春先に柔らかい芽が成長するのだ。この時期の柔らかい茎や葉が美味しい、春が旬の野菜である。1月に食べる春の七草粥のイメージが強いため、1月頃が旬だと思われるかもしれないが、この頃にはまだ育ちきっておらず小さいので、見つけることが難しいのだ。
見ための似ているドクゼリに注意
天然せりは、旬である2〜4月頃に水田の近くで採取できる。しかし、旬を過ぎた4月に入ると、見ためのよく似たドクゼリも成長してくるので注意が必要だ。このドクゼリは、日本三大有毒植物に数えられるおそろしい植物である。誤って食してしまうと、下痢、嘔吐、腹痛、目眩、痙攣、呼吸困難、意識障害などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあるのだ(※)。せりの旬が過ぎた時期の採取は避けるようにしよう。
3. せりの家庭栽培と旬
耐寒性があり、多年草であるせりは、一度栽培を開始すると、毎年収穫ができる野菜だ。家庭でも手軽に栽培をはじめられるので、ぜひ試してみてほしい。
プランターで栽培する方法
せりの種は発芽率が低いので、市販の苗を購入することをおすすめする。せりは乾燥や暑さに弱い野菜であるため、栽培場所は半日陰を選び、9〜10月頃に植え付けを行うとよい。手軽に栽培するには、ベランダなどに水持ちのよい野菜用培養土を入れたプランターを用意し、苗同士を10cm以上離して根が埋まるように植える。せりは湿度の高い環境を好むので、土が乾いていたらたっぷりの水を与えよう。肥料がなくても育つ強い野菜だが、生育が悪い場合は、月に一度ほど、野菜用の化成肥料を土に混ぜ込むとよい。収穫時期は天然せりの旬である2〜4月。この旬の時期に収穫できる若葉は柔らかく、甘みが強いのが特徴だ。
食べたあとに水耕栽培する方法
苗を買わずとも、根のついたせりを買ってくれば水耕栽培で簡単に育てることもできる。根から5cm程度のところで茎をカットし、水を張った容器に浸けておくだけでよい。半日ほど浸けたあと、土に植えて栽培することも可能だ。そのまま水耕栽培を続ける場合は、根の部分だけが水に浸かるようにし、こまめに水を換えるようにしよう。葉の部分を料理に使用したあとに、旬の時期を気にせず、手軽にキッチンガーデンとして栽培ができるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。
結論
せりについて新たな知識は得られただろうか。七草粥のイメージが強いため、正月頃が旬だと思われがちだが、自生している天然せりの旬は春なのだ。買い物に出かけても、せりが置いてあるか気にして見ることは少ないだろうが、旬の時期にはチェックしてみてほしい。七草粥だけでなく、せりを使ったさまざまな料理にチャレンジしてみるといいだろう。
(参考文献)
※ 厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ドクゼリ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082096.html
※ 厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ドクゼリ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082096.html