1. 柿の渋みのもとタンニン:摂り過ぎはよくない?

タンニンには健康上の効能があるといわれる(※1)ものの、摂り過ぎるとリスクがあるため要注意だ。
胃や消化器へのリスクあり
タンニンの摂り過ぎは、胃に結石を作る原因になるといわれている。とくに柿の摂り過ぎによる結石は有名で、柿胃石という名称が付いている。一度に柿を何個も食べるとリスクがある、という程度の話ではあるものの、基本的には食べ過ぎを避けたい。また、タンニンの摂り過ぎは便秘にもつながるおそれがある。柿を食べると食物繊維も摂れそうなイメージがあるものの、実質は期待しないほうがよいだろう。
柿にタンニンがどのくらい含まれるか
摂り過ぎ注意とはいうものの、柿にはどのくらいのタンニンが含まれるのだろうか。奈良県の研究(※2)によれば、甘柿100gあたりに可溶性タンニン400mg、不溶性タンニン680mgが含まれ、干し柿100gには可溶性タンニン100mg、不溶性タンニン4500mgが含まれる。とくに干し柿には多くのタンニンが含まれており、食べ過ぎにはより一層注意が必要だといえる。
2. 柿の渋抜きの原理:タンニンは不溶化させると渋くない

渋柿はそのままでは渋みが強いが、渋抜きをすれば甘みが出て美味しく食べられる。ここでは、渋抜きについて詳しく見ていこう。
渋みの原因は?
柿の渋みは、可溶性タンニンによるものだとされる。渋柿の場合は実が熟しても可溶性タンニンが減りにくいため、そのままでは食べにくい。一方甘柿は、成長とともにタンニンが不溶性に変化するため、そのままでも甘みが強いのだ。
渋抜きでやること
渋柿の渋みを抜くためには、可溶性タンニンを不溶性に変化させることが必要だ。方法はいくつかあるが、アルコールを使う方法が簡単だ。柿に焼酎などのアルコールを少量かけ、しばらく置いておく。アルコールからできるアセトアルデヒドが可溶性タンニンと反応し、不溶性に変化する。数日もすれば、渋みが抜けて美味しく食べられるはずだ。
ほかにも、皮をむいて干し柿にすれば、水分が抜けるとともにタンニンが反応し、渋みが抜ける。渋抜きの方法は品種や好みによって選べるので、手間なくできる方法を採用したい。
3. 柿タンニンを摂取できる飴4選

柿の加工品として、柿を使った飴が販売されている。さまざまな飴があるが、ここでは例をいくつか見ていこう。
一心堂本舗「富有 柿飴」
福岡県筑後地方で栽培された柿を使った飴だ。富有柿の特徴である甘みをしっかり楽しめる。
いしい「柿渋飴」
奈良県で栽培された平種無柿が使われる。京飴に柿渋粉末を配合して作られるのが特徴だ。果汁を使った飴との味わいの違いを楽しめるかもしれない。
大文字飴本舗 「柿渋エチケット飴」
タンニンを使った口の消臭を狙って作られた飴だ。味を楽しめるほか、仕事などの際にも嬉しい。
飴匠さわはら「 柿渋のど飴」
喉のケアのほか、上と同じく口臭対策にももってこいの飴だ。ニッキ味が付いており、さわやかな風味を楽しめる。
あくまで食生活の若干の足し程度に考えよう
柿の飴の中には、柿タンニンが含まれていることが強調されているものもある。柿タンニンを適度に摂ると健康効果が期待できる(※1)ものの、飴で摂れる量でどれほどの効果があるかははっきりしない。また、食べ過ぎると糖質過多などにもつながる。したがって、効果には期待し過ぎないのがオススメだ。たとえば、あくまで味を楽しみつつ、普段の食生活に若干のタンニンをプラスする、くらいの心持ちで食べるのがよいだろう。
結論
柿に含まれるタンニンには健康効果を期待できそうだが、摂り過ぎはむしろリスクを生むため注意したい。タンニンは渋みの原因でもあるが、渋抜きをして不溶化すれば美味しく食べられる。また、飴でも若干のタンニンを摂れるので、食べ過ぎに注意しつつほどほどに補いたい。まずは、柿の味を楽しむことを考えるのがオススメだ。
(参考文献)
※1 公益財団法人 日本醸造協会「タンニンの効用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/78/10/78_10_728/_pdf
※2 奈良県「奈良県産柿果実を利用した機能性食品の開発~柿果実に含まれるポリフェノールについて~」
http://www.pref.nara.jp/secure/85103/www.pref.nara.jp_niit_publication_reseach_report_h18_11.pdf
※1 公益財団法人 日本醸造協会「タンニンの効用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/78/10/78_10_728/_pdf
※2 奈良県「奈良県産柿果実を利用した機能性食品の開発~柿果実に含まれるポリフェノールについて~」
http://www.pref.nara.jp/secure/85103/www.pref.nara.jp_niit_publication_reseach_report_h18_11.pdf