1. 粕漬けの作り方Step1:粕床の準備

粕漬けは、野菜や魚などの食材を粕床に漬け込んで作る漬物のことだ。粕漬けを作るには、はじめに粕床と呼ばれるものを準備する必要がある。基本の作り方を見ていこう。
粕床とは?
粕床は、粕漬けにする食材を漬け込んでおくもののことで、酒粕をベースに作られる。酒粕は、酒を絞ったあとに残るかすだ。酒の絞り方、つまり酒粕の作り方は酒蔵によっても異なる。いずれの場合も粕床のメリットとしては、日本酒の風味や米の栄養が含まれている酒粕を有効活用できるという点が大きいだろう。また、粕床は使い方によっては再利用も可能である。
粕床の基本の材料
粕床の材料に厳密な決まりはないが、基本的には酒粕をベースに味噌やみりん、塩、砂糖などを使用する。
粕床の作り方
酒粕と酒をボウルに入れ、酒粕を柔らかくする。硬いものは電子レンジを使って柔らかくする方法もある。味噌、砂糖、塩などすべての材料を酒粕に加え、もみながらよく混ぜ合わせよう。酒粕300gに対し、酒50㏄と味噌30gを加えるとちょうどよい。砂糖と塩の量は好みで調整しよう。硬さの目安は、味噌よりもやや柔らかめを目指す。完成した粕床は、密閉容器に入れて冷蔵保存しておこう。
2. 粕漬けの作り方Step2:粕床に漬け込み

粕床ができたら、好みの具材を漬け込んでいこう。粕漬けに使える具材は非常に幅広い。おすすめの具材と、それぞれの粕漬けの作り方のポイントを紹介する。
野菜
きゅうり、なす、うり、大根などが定番だ。漬ける前にヘタや皮は取り除いておく。また、粕床の傷みを防ぐために、水気をしっかり拭き取ってから漬け込むのも、作り方のポイントだ。24時間漬け込んだら、表面を軽く拭き取りそのまま食べられる。ブロッコリーなど加熱が必要な野菜の場合は、トースターやグリルで焼いて食べる。長く漬け込みすぎると水分が出てくるため、2~3日ほどで取り出そう。
魚
鰆や鮭、サーモンをはじめ、赤魚などさまざまなものが使える。切り身はそのまま漬け込めるが、内臓や骨などが付いている魚はあらかじめ取り除いておこう。24時間~4日ほどで取り出し、表面に付いた粕床を拭き取ってから焼いて食べる。魚焼きグリルでも焼けるが、フライパンで蒸し焼きにすると美味しい。魚のほか、イカやたらこの粕漬けもおすすめだ。
肉
豚ロース肉が定番だが、鶏肉やローストビーフなども美味しい。厚い肉を使う場合は、筋を切りフォークで数ヶ所穴を開けておくとよい。魚と同様に24時間~4日ほどで取り出す。焦げ付きやすいため気を付けながら、フライパンで焼いて食べよう。
その他
豆腐やチーズ、こんにゃく、茹で卵なども粕漬けにすると美味しい食材だ。豆腐は水切りをする、こんにゃくは下茹でする漬けるなど、水分を抜いてから漬けよう。粕漬けの作り方は、食材を漬け込むだけというシンプルさが魅力だ。さまざまな食材で試してみよう。
3. 粕漬けの作り方Step3:粕床の手入れ

野菜を漬けたあとの粕床は、数回のみ再利用が可能だ。ただし、食材から水分が出ると粕床が傷んでしまう。そのため、再利用したい場合は基本の粕漬けの作り方に加えて、塩漬けなどで水分を抜いた野菜を粕床に入れるとよいだろう。
粕床は冷蔵保存が基本
粕床は、ぬか床のように材料を継ぎ足しながら長期間使い回すことはできない。しかし、水分を抜いた野菜を漬けた粕床なら、密閉して冷蔵保存しておくことで2~3回ほどなら再利用できる。それでも2回目以降は粕床の旨みが落ちることが避けられないため、酒粕を足すなどの手入れを行うとよい。いずれにしても、衛生面を考慮した粕床の作り方と漬け方を守ることが大切である。
野菜と肉・魚の粕床は分けよう
野菜など、漬けたあとそのまま生で食べる粕漬けを作る場合は、肉や魚を漬けた粕床を使うことはできない。一緒に漬け込むのもNGだ。とくに、生肉を漬けた粕床は傷みが早いため、加熱して食べる粕漬けにも再利用はNGだ。粕床を再利用したい場合は、野菜を漬け終わってから肉を漬けるなど、粕漬けの作り方の段取りを工夫するとよい。
4. 番外:簡単な粕漬けの作り方

一度作った粕床は使えても2~3回ほどが限度のため、少量の粕漬けを作りたいなら粕床を作らず簡単に漬ける方法もおすすめだ。粕床を使わない粕漬けの作り方なら、1回分のみでも気軽に試せる。そこで最後に、保存袋を使用した簡単な粕漬けの作り方を紹介しよう。
粕床の材料と食材を袋に入れてなじませるだけ
ジッパー付きの保存袋に酒粕と酒、調味料を入れ、手でよくもみ込む。酒粕が柔らかくなったら、粕漬けにしたい食材を袋に入れてなじませる。空気を抜いて密閉し、冷蔵庫で24時間~3日ほど寝かせたら完成だ。少量の粕漬けなら、この簡単な作り方で十分である。
結論
粕漬けは、酒粕を有効活用できて風味も楽しめる合理的な食べ物である。ただし粕漬けにはアルコール分が含まれるため、家族が食べる際には注意が必要だ。粕床を作って本格的な粕漬けに挑戦する場合は、2~3回ほど粕床を再利用できるように、食材の水分をしっかりと抜いてから漬けるとよいだろう。
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