目次
1. 米油とは

米油とはどのような油なのか、その特徴や製造方法について簡単に解説していこう。
米ぬかが原料の油
米油は、玄米を生成した際に出る米ぬかが原料の油だ。米ぬかには約20%の油分が含まれており、抽出したものが米油となる。米ぬかは精米した途端に脂質分解が始まり、遊離脂肪酸が増加する。そのため米油を速やかに抽出する必要がある。
米油の抽出方法
【圧搾製法】
原料に物理的な圧力をかけて油を絞る方法だ。手間や時間がかかり、後述する方法よりも採れる油量が少ない。
【溶剤抽出製法】
ノルマルヘキサンという溶剤を使用し、高温で加熱処理する方法だ。米ぬかに含まれるすべての油分を抽出できる。しかしノルマルヘキサンは化学物質であり、食用油に使うことに懸念を示す向きもある。
2. 米油のメリット

デメリットの前に、米油が持つ多くのメリットからお伝えしていこう。
米油の主な栄養素
【γ-オリザノール】
米ぬかから抽出される成分だ。消化管からコレステロールが吸収されるのを抑え、血清コレステロールを下げる作用がある。
【オレイン酸】
善玉コレステロール値を下げず、悪玉コレステロール値を下げる効果をもつ。
【リノール酸】
必須脂肪酸のひとつ。悪玉コレステロール値を低下させ、血栓を防止する効果がある。ただし過剰摂取は善玉コレステロールを低下させるため注意が必要だ。
【ビタミンE】
抗酸化作用があり、体内の酸化を防いで細胞の健康維持を手助けする効果が期待できる。
酸化に強く揚げ物にも最適
米油は抗酸化作用を持つ成分が豊富なため、油自体が酸化しにくい。脂肪酸のバランスもよいため、泡立ちにくくムラなく食材を揚げられる。油ぎれもよいのでカラッと揚がり、油特有のにおいもない。こうした点が、揚げ物に向いた油といわれる理由だ。
3. 米油のデメリット

多くのメリットがある一方「デメリット」「危険」といった噂を耳にすることもある。実際、米油を食用とするデメリットはあるのだろうか?
ノルマルヘキサンがデメリット?
ノルマルヘキサン自体は石油系の溶剤だ。だが食品中に残っていなければ、食品衛生法で使用が認められている。米油の溶剤抽出製法でノルマルヘキサンを使うが、蒸留により完全除去されるため、人体へのデメリットを心配する必要はない。
トランス脂肪酸がデメリット?
もうひとつ、米油には多量摂取すると人体に悪影響を及ぼすといわれている、トランス脂肪酸も含まれている。これがデメリットといわれる理由か?と考えるかもしれないが、1日100g以上米油を摂らないと害はない。したがってこちらも気にする必要はないだろう。
米油のデメリットは価格である
米油は、玄米100kgに対する抽出量がおよそ1kgと希少性が高い。大量生産が難しいため価格が高騰しがちなのだ。上述したさまざまなメリットを享受するためにはランニングコストがかかる、という点こそが米油のデメリットであろう。
4. 米油のいろいろな活用方法

米油の揚げ物以外への使用方法についても解説しておこう。
ドレッシングに
まろやかな口当たりなのでドレッシングにも向いている。臭みやクセがなく、さまざまな調味料と相性がよい。わさびや醤油、酢と混ぜ合わせて和風ドレッシングに、トマトやレモン汁と合わせて洋風ドレッシングになど、幅広く使える。
お菓子やパン作りに
サラッとしていてクセもないため、シフォンケーキなどのお菓子やパン作りにも適している。生地に混ぜ込むことで、軽くなめらかな口当たりと風味に仕上げられる。
米油でツヤツヤごはんに
炊飯の際、米油を垂らすだけでごはんがふっくら・ツヤツヤになる。米油の保水力によるものだ。米本来の旨みや甘みを感じることができるだろう。
結論
米油のデメリットといえば、採取量が少ないことによる価格の高騰だ。懸念される石油系溶剤は、精製過程で完全除去されているので、健康上問題はないといえる。お伝えしたようにメリットが多い油なので、その点(価格)さえクリアできれば、ぜひ一度試してみてほしい。
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