1. みかんの栄養素やカロリー
みかんは、日本人に最も愛されている果物のひとつではないだろうか。年末年始の家族の団らんに欠かせないみかんは、栄養が豊富なフルーツでもある。具体的にどんな栄養がどのくらい含まれているのか、詳細を見てみよう。
みかんの栄養素
みかんといえばビタミンを含んでいるイメージがあるが、5大栄養素についてはどうだろうか。
温州みかん100g当たりの栄養(※1)
- たんぱく質 含有量 0.7g
- 脂質 含有量 0.1g
- 炭水化物 含有量 12.0g
次に、ビタミンについて見てみよう。みかんはそもそも、多量のビタミンCを含んでいることはよく知られている。しかし、それ以外のビタミンも豊富である(※1)。
- βカロテン 含有量 180μg
- βクリプトキサンチン 含有量 1700μg
- ビタミンB1 含有量 0.1mg
- ビタミンC 含有量 32mg
みかんにはまた、ミネラルの存在も認められる(※1)。
- カリウム 含有量 150mg
- カルシウム 含有量 21mg
- マグネシウム 含有量 11mg
- リン 含有量 15mg
上記の5大栄養素に加え、葉酸や食物繊維も豊富である。みかんと同様に冬によく摂取するりんごやいちごと比較すると、ビタミンCの量はりんごより多いがいちごより少ない。いずれにしても、ビタミンやミネラルを多く含む健康的な果物であることに変わりはない。
みかんのカロリーや糖質
つぎに、みかんのカロリーと糖質を見てみよう(※1)。
うんしゅうみかん100gあたり
- カロリー 含有量 49kcal
- 糖質 含有量 11g
みかんのカロリーは、同量のりんごと大差はなく、いちごと比較すると14kcalほど高い。また糖質も、りんごよりは少なくいちごよりは多いという位置づけとなっている。
みかん1個当たりの栄養やカロリー
みかんは、品種や栽培状況によってサイズや重さが異なる。たいていは、1個の重さが80g前後であることが多いようだ。つまり、平均的なみかん1個分のカロリーは39kcal前後となる。厚生労働省が推奨している理想的な間食のカロリーは、200kcal以下である(※2)。みかん1個はそれよりはかなり低いことから、カロリーを気にする人にとっても理想的なおやつである。一方、みかん1個分の糖質量は8.8gほどである。また、ビタミンCに関しては1日当たりの成人男性の摂取推奨量が100mgに設定されている(※3)。そのため、2~3個のみかんを摂取すれば1日の推奨量に達することができる。
2. みかんの栄養素と健康への効果
みかんには豊富なビタミンやミネラルが含まれていることは明らかであるが、それぞれの栄養はどのような作用をもたらすのだろうか。みかんを食することで得られる健康上のメリットとともに、みかんが含有するそれぞれの栄養素の特徴を紹介する。
みかんの成分1:ビタミンC
ビタミンCは、みかんをはじめとする果物や野菜に多く含まれる栄養素であり、熱に弱いという性質がある。ビタミンCが風邪の予防に効果があることは、すでによく知られた事実である。つまり、病気に対する抵抗力を発揮できる特徴がある(※5)。そのほか、歯や軟骨を正常に保持する役割を果たし、皮膚のメラニン色素を抑制する働きもある(※4)。
みかんの成分2:食物繊維
食物繊維は体内に入ると、大腸に到達するまで消化されない栄養素である。厚生労働省によれば、近年の平均的な日本人の食物繊維摂取量は減少していることが報告されている。食物繊維は大腸において整腸作用を発揮するだけではなく、コレステロール値の低下のための一助となることも判明している。
みかんの成分3:プロビタミンA
プロビタミンAとは、動物の体内でビタミンAに変化する要素の総称である。小腸の粘膜においてビタミンAに変化することが多く、その作用もビタミンAと同じである(※7)。ビタミンAの不足は、発育不良や皮膚の乾燥を誘発することが多い(※8)。
みかんの成分4:クリプトキサンチン
クリプトキサンチンとは、カロテンに類似したカロテノイドの一種である。植物の花や実に含まれる物質であるが、量自体は少ないとされている。βカロテンの約60%の活性を有するプロビタミンAであるため、その働きもビタミンAと同じと考えてよいだろう。
3. みかんの缶詰の栄養素
冬に口にすることが多いみかんであるが、缶詰であれば通年で食することができる。その独特の甘さは、生のみかんとは趣を異にする美味しさである。それでは、生と缶詰のみかんでは栄養に差異があるのだろうか。カロリーやいくつかの栄養素を比較すると、以下のようになる。
- カロリー (生) 49kcal (缶詰) 63kcal
- カリウム (生)150mg (缶詰)75mg
- βカロテン (生)180μg(缶詰)91μg
- βクリプトキサンチン(生)1700μg(缶詰)640μg
- ビタミンC(生)32mg(缶詰)15mg
- 食物繊維(生)1.0g(缶詰)0.5g
糖分が加わるため当然であるが、カロリーに関しては缶詰のみかんのほうが14kcal高い。みかんの主要栄養素は、缶詰にすることによってほぼ半減する。糖質に関しては、生のみかんのそれが11gであるのに対し、缶詰の場合は14.8gに上昇する。そのため、みかん本来の栄養素をヘルシーに摂取したいのであれば、生のみかんのほうが好ましいのである。
4. みかんの栄養素の効果的な摂取方法
栄養価の高いみかんは、旬の時期に率先して食べたい果物である。美味しいから食べるというのは当然の理由であるが、栄養面からもみかんを再評価したいものである。より効率的にみかんの栄養を摂取するためのコツはあるのだろうか。
薄皮やすじも食べる
みかんを豪快に頬張る人も多い一方で、薄皮やすじの食感を好まないという人もいるだろう。みかんの薄皮やすじには、水溶性の食物繊維ペクチンが含まれている。ペクチンには、整腸作用や善玉菌を増加させるなどの作用が認められている。また、代謝を促したり血圧を下げるビタミンPも、みかんの薄皮やすじには含まれているのである。健康のためには、これらもともに食べるのがベターである。
みかんの1日の摂取量の目安
みかんに含まれる豊富な栄養は、妊婦やダイエット中の人にも有益である。それでは、みかんの1日の摂取量はどのくらいが適宜なのであろうか。みかんに含まれるビタミンCは、過剰摂取するとお腹の不具合を喚起する可能性もある。そのため、1日2個ほどが適量とされている。
5. みかんの栄養を長持ちさせる保存方法
みかんの栄養を余すところなく摂取したいところであるが、糖分の多いみかんは傷みやすいという欠点もある。みかんの保存のための理想的な温度は、5~10℃とされている。そのため、旬の冬場であれば常温での保存も可能である。暖房などの影響がない涼しい場所に置くようにしよう。条件が重なれば、10日~1ヶ月の保存ができる。冷蔵庫で保存する場合には、乾燥に留意して袋などに入れるといいだろう。冷凍保存でも1ヶ月の保存が可能であるが、皮をむいてカットしたみかんはすぐに食べきるのがベストである。
結論
みかんは冬の団らんのおともであり、価格的にもごく気軽に食べることができる果物である。また栄養面におけるメリットも多く、ビタミンやミネラルを豊富に含むフルーツである。風邪の予防にとどまらず、生活習慣病の予防にも役立つ栄養素を有しているのである。旬の時期には度を越さぬ食べ方で、みかんを日常的に取り入れてその栄養を吸収したいものである。
(参考文献)
1.文部科学省「食品成分データベース(果実類・かんきつ類・うんんしゅうみかん)
2.厚生労働省「間食のエネルギー(カロリー)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
4.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
5.医療法人清友会笠松病院「ビタミンCについて」
https://www.seiyuukai.or.jp/health/vitamin/vitamin.htm
6.厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
7.岩波書店「生物学辞典(プロビタミンA)」
8.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンA)」
9.森北出版「デジタル化学辞典(クリプトキサンチン)」
10.文部科学省「食品成分データベース(果実類・かんきつ類・うんしゅうみかん)
1.文部科学省「食品成分データベース(果実類・かんきつ類・うんんしゅうみかん)
2.厚生労働省「間食のエネルギー(カロリー)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
4.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
5.医療法人清友会笠松病院「ビタミンCについて」
https://www.seiyuukai.or.jp/health/vitamin/vitamin.htm
6.厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
7.岩波書店「生物学辞典(プロビタミンA)」
8.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンA)」
9.森北出版「デジタル化学辞典(クリプトキサンチン)」
10.文部科学省「食品成分データベース(果実類・かんきつ類・うんしゅうみかん)
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